【クック諸島滞在記】第1回目 今日から昨日へ - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2017.10.31

    【クック諸島滞在記】第1回目 今日から昨日へ

    日本出発前、クック諸島に行ってくると伝えると、大半の人が「どこ、それ?」と尋ね返してきた。その問いに簡単に答えるとしたら、南太平洋にある島国で、ニュージーランドとタヒチの中間ぐらいにある国、となる。
    もう少し詳しく答えるとしたら、人口およそ2万人。大小15からの島から構成され、中心の島はラロトンガ島。マオリ族を中心としたポリネシア文化圏にある島国となる。

    さらに踏み込んで答えると、1773年にキャプテンクックが西洋人としてはじめて訪れ、イギリス保護領、ニュージーランド属領を経て、1965年に国としての歩を始める。しかしながら未だに国連非加入であり国交を結んでいる国も30カ国ほどと少なく、日本とは2011年に国交を結んでいる。つまり日本としてはその年から国として認めている新しい国である。と答えることができる。しかし、クック諸島人が持つパスポートはニュージーランドのパスポートであり、通貨はニュージーランドドル、国家元首はエリザベス2世女王である。なかなか国として曖昧なのである。

    しかし、そんなこといくら口酸っぱく言われても、結局は「クック諸島って、何?」という質問になってしまう。どういう人たちが住んでいて、何を考えていて、何をしているのか。そういうことがわかなければ、やはりその国を知ったことにはならない。
    今回、縁があってクック諸島に数ヶ月滞在することになった。いままで世界各地145カ国以上を旅してきたが、クック諸島を訪れるのははじめてである。

    日本から乗った飛行機はニュージーランドのオークランドを経由して、ラロトンガ島へ。オークランドまでは東京から10時間。そこからラロトンガ島へは3時間半のフライト。

    飛行機は到着前、島の近くを島の西側から北へと旋回した。眼下にラロトンガ島が見えた。島の中心部にいくつかの岩山がそそり立ち、熱帯の植物に覆われている。裾野はココナッツ林が広がり、そこからすぐに青い海へと繋がっている。緑と青しか目に入らない。人は一体どこに住んでいるのだろう? と思っていたら、飛行機は空港に着陸した。

    飛行機にかけられたタラップを下りると、熱帯の湿った空気が体の隅々まで覆われた、ということはなく、からっとした乾燥した風が吹き、肌寒かった。
    ラロトンガとは、ラロが「果て」、トンガが「南」意味する。南の果てという意味である。南の島のわりには緯度が高く、冬は気温が16度近くまで下がることもある。

    到着すると、荷物受け取りの回転台の上で荷物が廻っているその真ん中で、まるまると太ったクック諸島人のおじさんがウクレレを演奏して、到着客たちを歓迎していた。
    空港を出ると、これまたふくよかな女性に花飾りを首かけてもらい、無事に到着。どうも到着からふくよかな人たちしか見かけていない。それもそのはずで、クック諸島は肥満率世界1位(WHO 2014年)の国なのだ。ふくよかな人ばかりに囲まれていると、巨人の島に迷い込んだ気分になってくる。

    時差はマイナス19時間。日付を見たら、日本を出発した日よりも一日遡っていた。ニュージーランドからラロトンガに来るまでに、日付変更線をまたいでいたのだ。今日から昨日へ。明日からようやく今日が始まる。

    ラロトンガ島はかつてヌクテレ(浮いている島)と呼ばれていた。ポリネシアの人々は自然豊かなラロトンガを目指して遙か彼方から航海してきたが、非常に見つけるのが難しかったようである。そのため浮いていつも動いている島であると信じられ、そのような名前が付けられたという。現代においても、我々日本人にとっては、いまだにクック諸島自体がヌクテレである。

    しかし、私はいまこの地に降り立ち、色鮮やかな花々の香りを感じ、青い波が砕ける音を聞いている。情報ではなく、心と体で知覚されるクック諸島ラロトンガ島に到着したのである。

    クック諸島滞在が始まる。

    次回に続く

    写真・文 竹沢うるま

    (プロフィール)1977年生まれ。写真家。
    ダイビング雑誌のスタッフフォトグラファーとして水中撮影を専門とし、2004年よりフリーランスとなり写真家としての活動を本格的に開始。2010年〜2012年にかけて、1021日103カ国を巡る旅を敢行。写真集「Walkabout」(小学館)と対になる旅行記「The Songlines」(小学館)を発表。2014年第三回日経ナショナルジオグラフィック写真賞受賞し、2015年に開催されたニューヨークでの個展は多くのメディアに取り上げられ現地で評価されるなど国内外で写真集や写真展を通じて作品発表。世界各地を旅しながら撮影をし、訪れた国と地域は145を越す。近著にチベット文化圏をテーマとした写真集「Kor La」(小学館)や「旅情熱帯夜」(実業之日本社)がある。

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