新潟の田舎で野山に親しんで育った信濃川日出雄さん。大学卒業後に上京し、漫画家として多忙な生活を送るなか、体を動かしたい、という衝動と自然回帰への想いから登山を始めた。
主人公・日々野鮎美の朝食におすすめ山ごはんレシピ
「登山を趣味として過ごすなか、経験やアイデアがたまってきたこともあり、2015年から『山と食欲と私』を描き始めました」
この漫画の主人公は、会社の経理課に勤める、ごく普通な女性の日々野鮎美27歳。山ガールと呼ばれたくない、中級登山者だ。ときには、信濃川さんの登山仲間のエピソードや、自身が登山中に出会った人を描くなど、ユニークでリアリティーのある設定が、読者の共感を呼び、人気を博している理由のひとつだ。
そんな信濃川さんに、山での朝ごはんのエピソードを訊いた。
「北アルプスの涸沢カールにテント泊したときのこと。晩ごはんにアルファ化米を使った栗の炊き込みごはんを作ったんです。大好物なもので、朝の分まで炊いて半分おにぎりにしてラップに包み、残しておきました。翌朝目にしたのは、コチコチに凍りついた、栗ごはんの成れの果て……。まだ雪は降っていなかったんですけど、初冬だったんでね……。インスタントのみそ汁とあわせて、雑炊にして食べました。朝ごはんには気候や天気も重要ですね!」
山の朝ごはんで大事にしているのは、エネルギーがちゃんととれるかどうか。炭水化物+ツナや豆類などのタンパク質の組み合わせがおすすめだと話す。
「あと、必ず温かいものをお腹に入れて、エンジンをかけます」
雑炊はもともとよく食べるメニューのひとつだ。
「そんなときにカレー粉は最強! 味に飽きたら、みそ汁にカレー粉を混ぜて雑炊にしたり。チリパウダーや黒コショウも食欲が湧くので必ず携行します」
夜ごはんで、網で焼いて残ったおかずを細かく切り、それを食パンに挟んでチーズをのせ、ホイルで包んでじっくり焼いた、簡易ホットサンドもおすすめ。
今後も『山と食欲と私』では、斬新な朝ごはんを楽しませてもらえそうです!!
きのこと豆のスープパスタ
味がよく絡む螺旋状のパスタを使った時短メシ。1分30秒と早茹でなので、小腹が空いたときにすぐ食べられる。いろんなスープでアレンジ可能!
作り方
材料 早茹でパスタ………………………30g
フリーズドライのきのこスープ…1個
ドライパックの豆…………………15g
お湯…………………………………適量
❶コッヘルに湯を沸かし、フリーズドライのきのこスープを入れて混ぜる。
❷早茹でパスタを加えて1分30秒煮る。
❸❷にドライパックの豆を散らす。
中華粥と炙りチャーシュー
深酒した臓腑に染み渡るメニュー。炙ってアツアツのチャーシューがアクセント。おかゆにするのでお水は通常より多めに。
作り方
材料 アルファ化米………100g
水……………………270㎖
鶏ガラスープの素…小さじ2
松の実………………20粒
クコの実……………20粒
乾燥ネギ……………適量
チャーシュー………4枚
❶コッヘルに乾燥ネギとチャーシュー以外の材料をすべて入れ、火にかける。
❷中火で10分ほど煮たら、乾燥ネギを入れて全体を混ぜ合わせる。
❸ロースターでチャーシューを炙りながら、中華粥とあわせて食べる。
かき揚げライスバーガー
ボリューム満点の斬新ホットサンド。シングルタイプでごはんをてんこ盛り! 腹持ち抜群!! パリッとした表面がグ〜。
作り方
材料 ごはん……250〜300g
市販のかき揚げ…1個
サラダ油……………少々
天つゆ………………適量
❶ホットサンドメーカーにサラダ油を薄く塗り、ごはんの半量を詰める。
❷かき揚げをのせてその上に残りのごはんを広げたら ホットサンドメーカーで挟み、両面を弱めの中火で焼く。
❸ごはんの表面がこんがり焼けたら、半分に切り天つゆをつけていただく。
焦がしメープルシロップの
塩フレンチトースト
甘さのなかにベーコンの塩気が生きるおかずスイーツ。夏の山行では、常温保存可能な牛乳か、冷凍したものを使おう!
作り方
材料 食パン(4枚切り)……1枚
卵…………………………1個
牛乳……100㎖
塩………少々
バター…15g
ベーコン(やや厚め)…100g
メープルシロップ………適量
黒コショウ………………適量
❶食パンは4等分、ベーコンは1㎝幅に切る。
❷コッヘルに卵を割り入れ、牛乳、塩を加えてよく混ぜ、食パンを浸す。
❸フライパンを弱火で熱し、バターを溶かす。ベーコンを半量並べてその上にパンをのせて焼く。残りのベーコンはパンの上にのせてくっつけておき、返して焼く。
❹両面に焦げ目がついたら完成。メープルシロップをかけ、黒コショウを振る。
アルファ化米お赤飯
+スライス餅
炭水化物×炭水化物でパワーアップ! すぐに食べて即行出発したい、縦走の日の朝ごはんにうってつけ。
作り方
材料 アルファ化米お赤飯…100g
スライス餅……………2〜3枚
お湯……………………160㎖
❶コッヘルにアルファ化米お赤飯と手でちぎった餅を入れ、熱湯を注いで戻す。
❷食べごろになったら赤飯付属の塩を振って食べる。
漫画家 信濃川日出雄さん
北海道で薪ストーブ生活を営みながら漫画を執筆。趣味は登山に家庭菜園、サッカー観戦、将棋と幅広い。『少年よギターを抱け』(集英社)など著書多数。
(BE-PAL 2020年6月号より)