気にも留めずに通り過ぎてるいつもの街の風景を、ぺろりと一皮めくってみよう。タヌキ、アナグマ、変形菌…。驚くほど多様な生き物がそこにいるんです。
佐々木洋さんとひがな一日都会の生き物探し
コンクリートに囲まれた都会でも、ちょっとした隙間にある緑や土のなかに、たくさんの生き物が生息している。今回は、そんな身近にいながらも、普段は見過ごしがちな生き物探しに出かけることに。
本日のお道具
「生き物観察は五感を使うのが醍醐味。五感を使うということは、目で見るだけでなく、ときには聴いて、触って、香りを嗅いで、できれば味わって、とにかく自然を感じることですね〜」
と話すのは、プロ・ナチュラリストの佐々木洋さん。じつは佐々木さん、以前本誌で“オタッキー佐々木”として活躍し、自然観察をエンターテインメントにしたレジェンドである。
「でもね、なかでもいちばん大切なのは、“いる”と思って探すこと。最初からいるわけない、と思ってしまうと、見つかるものも見つからないんです」
というわけで、都会っ子のまみちゃんを伴い、東京都心でひがな一日生き物ツアーを開催!
まずは江戸川区にある葛西海浜公園へ。東京湾沿いに造られた公園で、ふたつの人工干潟がある。
1 カニの巣穴を探してみよう
所要時間 約30分@葛西海浜公園
佐々木さん(以下・佐)「ここでは鳥と海の生き物を観察しましょう。あ、ほらほら、砂浜に穴があいてるでしょ。これカニの仕業」
まみちゃん(以下・ま)「えーー、こんなに!?」
佐「違う、違う、それは波の跡。こんなふうに穴の周りに掘った砂が散らばっているのがカニ」
シャベルで掘ってみると…。
ま「ヒィーーーーー!!」
穴から飛び出し、シャカシャカ動き回るカニに右往左往するまみちゃん。
佐「逃げないで捕まえて!」
ま「速すぎてムリ〜〜〜」
波打ち際での攻防の末、スナガニをゲット。ほかにも浜に打ち上げられた、ミズクラゲやアカクラゲを観察できた。
ついでに漂着生物もチェック
コウイカの甲
ミズクラゲ
2 傘で鳥の声を集音しよう
所要時間 約50分
佐「次は鳥といきましょう」
と、おもむろに傘を広げだす佐々木さん。
鳥の声が聞けて 鳥(ちょう)ウレシイ
ま「え、いまさら日除け!?」
佐「こうやって傘を広げると集音器代わりになるの!!」
ま「あぁ! ほんとだ、ニャーニャー聞こえる」
佐「でしょう〜。東京湾の夏といえばウミネコ、冬になるとユリカモメが見られますよ」
ウミネコ
東京湾名物のカワウの集団や、東なぎさには、遠目ながらもコアジサシの営巣地が見られた。
カワウ
ハシボソカラス
足元でトノサマバッタ発見
佐「さあ、午後はさらに都心に向かいますよ」
降り立ったのは、広尾駅から徒歩3分の、港区にある有栖川宮記念公園。
3 生き物の聖地・公園の池で生き物を見まくる
@有栖川宮記念公園
所要時間 約40分
佐「水辺の生き物にはじまり、虫ともたくさん出会える!」
ま「ム、ムシ……」
虫が苦手なまみちゃんは果たして生き物観察を楽しめるのか。
オオシオカラトンボ
カルガモ
ウシガエル
アメリカザリガニ
ミシシッピーアカミミガメ
※生き物の観察は、各公園などのルールに従って下さい。
※構成/大石裕美 撮影/田川哲也 写真協力/佐々木洋、あらいひろし
(BE-PAL 2020年8月号より)