ここ最近、ビールをテイクアウト(量り売り)できる店がちらほら出てきた。アウトドアメーカーからはグラウラーボトルなるビール専用のボトルもリリースされている。アメリカのビアバーでは定着しているというこのグラウラー。さまざまな状況が相まって、日本でもグラウラー定着の兆し見えてきた気がする。
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Revomax2、32オンス(950ml)のラインアップ。RevomaxとPDX TAPROOMのロゴが両方入っているコラボボトル。6,600円(税込)。保冷は36時間だ。
ビールをテイクアウトする。さして珍しいことではない気もするが、飲食店が持ち帰り用に酒類を販売するにはじつは免許が必要だ(自己で経営する店内で提供するぶんには免許は不要)。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けていまだ自粛ムードは続いている。さまざまな業種が苦しい状況になり大打撃を受けているが、飲食店はとくに厳しい状況だ。国税庁は飲食店への特例措置として2020年4月9日に酒類のテイクアウト販売できる免許にあたる「期限付酒類小売業免許」を新設し、申請から付与までの手続きも簡素化した。食事のテイクアウトにあわせて酒類も販売できるようになったのだ。
東京・渋谷にある「PDX TAPROOM」が、店でグラウラーボトルを販売し量り売りを後押しするというので、さっそく行ってみた。同店も4から5月はクローズを余儀なくされ、現在も昨対の4~5割程度に売上が落ち込んでいると聞く。
さて、店名のPDXはポートランド(アメリカ・オレゴン州)の空港コード、TAPROOMは生ビールが飲める空間を意味している。ポートランドといえば、アウトドアに適した自然の宝庫であり、コロンビアスポーツウェアやキーンといったアウトドアブランドにナイキやアディダスも本拠地を置いている町。また、小規模のビール醸造所(マイクロブルーワリー)がひしめくクラフトビールの聖地でもある。
そうPDX TAPROOMはポートランドの雰囲気漂う、アウトドア好きには知られた人気店なのだ。オーナーの平松美幸さんは高校から大学にかけてポートランドへ留学し、ビールの味も現地で覚えたという本場仕込み! 帰国後はオレゴン州発のアウトドアブランドの広報を長らく勤め、2015年に大好きなポートランドとビールの店を始めようと独立してこの店をオープンした。ビールとアウトドア両方のカルチャーに精通している。
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PDX TAPROOMのオーナー平松美幸さん。今年の11月でお店はオープン5周年を迎える。
「現地にあるビアバーのプライスリストに、“Growler”というのが書いてあって、なんだろう?って思ってたんです。ある日聞いたら、持ち帰り用のボトルにビールを入れてもらえるというのが分かって。店にはオリジナルボトルなどがならんでいるんです。向こうではみんなごく当たり前に大きなグラウラーボトルにビールを詰めてもらっていました」
日本ではその持ち帰りのハードルが高かったが、期せずして免許付与が緩和され量り売りカルチャーが走り始めたといったところ。
グラウラーボトルは、炭酸飲料に対応したボトルだ。真空断熱ボトルは従来から巷に存在しているが、ほとんどは炭酸飲料には対応していないので注意しよう。炭酸が抜けたり、吹き出てしまったり、せっかくの旨いビールが台無しになる。PDX TAPROOMでは、ビールの持ち帰りを始めた当初から炭酸用のペットボトルを用意しているが、やはり短時間の利用ですぐゴミになってしまうことが気になっていたという。
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こちらは、20オンス(592ml)のラインアップ。普段も使いやすいサイズだ。6,050円(税込)。
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フタがスクリューではない! それが、このRevomaxボトルのいいところ。フタにある白い3つのボタンを同時に押し込んで持ち上げるだけでオープン。閉めるときは、フタをさし込んで「PULL ↑LOCK」の部分を引き上げればカチッとロックされる。片手で開閉できてフタをねじ込む煩わしさがない。
「グラウラーボトルはビールはもちろん普段使いのマイボトルとして使用でき、繰り返し使ってもらえます。グラウラーボトルの多くは1Lや2Lなど容量が大きいものが主流ですが、今回コラボしたRevoMaxのボトルは20オンス(592ml)や32オンス(950ml)という小ぶりで使い勝手がいいんです。パーティがあるならいいのですが、なかなか一気に2Lのビールは飲み干せませんよね(笑)」
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容量のイメージ。20オンスは592ml。1パイント(473ml)カップにプラスα、もう少し入る感じだ。
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30オンスの950mlは、パイントカップ2杯分の容量だ。
グラウラーボトルは環境にも優しい一面がある。ビール好きとしては、これはひとつ持ちたい。
この取材日当日は猛暑日だった。日中は35度Cに迫る危険な暑さ。1秒でも速くこの取材を終えてビールを解禁したいところ。しかし! 筆者にはこの日のうちに仕上げねばならない原稿があった。まだ飲めない。ああ、無念。…待てよ、そういうときのグラウラーではないか! 早速1本購入し、ビールを持ち帰ることにした。
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通常は常時10種類の樽が繋がれているのだが、コロナの影響もありこの日のラインアップは8タップ。悩んだ末に、20オンスのシルバーにROGUEのJust a Pnch Sour Aleを入れてもらった。シーソルトを使用した酸味のある爽やかなビールだ。この暑さにはぴったり。
PDX TAPROOMでのビールテイクアウトの場合、500mlは1パイント(473ml)の価格と同じ。1パイントの価格は各種ビールによってことなる。1パイント1,300円のビールは、2.6円/ml。1,400円のビールは2.8円/ml。1,500円のビールは、3円/ml。この日のビール代は、1,539円(500mlが1,300円+92ml×2.6円=1,539円)だった。
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初めてのマイグラウラー! ポップとともに記念撮影だ。早く飲みたい。
7月にはプラスチック製買い物袋が有料化されたことだし、使い捨て容器を使わない脱プラスチックの気運もいい追い風になるかもしれない。つい先日ザ・ノース・フェイスなどを手がける株式会社ゴールドウインが、社内に設置された自販機でのペットボトル飲料の販売を廃止し、さらに社内へのペットボトル持ち込みも禁止にしたというニュースも聞いたばかり。
店で軽く飲んで、もう1杯飲みたいけど持ち帰る!
在宅ワークの終了時に、グラウラーのビールで乾杯!
しかも環境に優しい。自然派の新たなスタンダードになること間違いなし。
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翌朝。飲み干したボトルは、こんな感じでフタ部分は分解して洗えた。手入れも楽。
TAKEOUT BEER MAP
PDX TAPROOM(ピーディーエックス タップルーム)
東京都渋谷区神宮前5-30-2 2F
電話03(6450)5455
営業時間:月〜金 15:00~22:00、土 12:00−22:00、日祝日 12:00−21:00
※営業時間はFBでチェック!→https://www.facebook.com/pdxtaproom/
※構成・撮影/須藤ナオミ