幸せの二拠点生活!仕事と豊かな田舎暮らしを両立するコツとは?
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  • 田舎暮らし・移住

    2020.10.27

    幸せの二拠点生活!仕事と豊かな田舎暮らしを両立するコツとは?

    西村 誠さん(63歳)眞喜子さん(62歳)

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    ピザ焼いて待ってまーす

    誠さんは木工職人、眞喜子さんは機織り職人でお菓子教室も主催。対岸の山並みの風景が、この家を選んだ理由。

    京都府・京都市ー和歌山県・日高川町

    木工職人にカフェオーナー。多才な夫婦の豊かな田舎暮らし

    和歌山県日高川町は、人口9000人余り。和歌山県のほぼ中央に位置し、東西約35㎞と細長く、東西に蛇行しながら流れる日高川に沿うように、家々が軒を連ねている。カフェ「サイテラス」もそんな中の一軒。古びた民家に、やさしいオレンジ色の明かりが灯る。

    雨が降りしきるなか、笑顔で迎えてくれたのは、この地でデュアルライフを楽しんでいる、西村さんご夫妻。すっかり地元の人のように馴染んで見えるが、それもそのはず、二拠点生活をはじめて、9年になるという。

    「京都で木工職人をしているんだけど、もともと自然が好きで、いつか自給自足の暮らしをしたいって思っていてね」と、夫の誠さん。「そう、火のある生活がしたかったし田舎暮らしが若いころからの夢だったの」(眞喜子さん)

    そんな思いを抱えつつ、年齢も50を過ぎ、子供たちも巣立っていった。そこで人生最後のチャンスと、移住相談イベントに参加し、縁あって日高川町を移住先に決めた。

    「でも、夫は木工職人の仕事、私はお菓子教室と、それぞれ京都で仕事をしているので、完全移住は難しい。だから、二拠点生活を選択したの」(眞喜子さん)

    車で移動するには、片道2時間半の道のり。毎週往復するのはキツいので、半月ずつ京都と和歌山を行き来している。
    「最初はどっちつかずで、ここでは肩身が狭くてね。でも、地元の人たちはおおらかに迎えてくれて。5年前にオープンした『サイテラス』が交流の場になっていますよ」(眞喜子さん)

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    「SAI」は地名の佐井からとったら名前。カフェの修繕は、地域おこし協力隊や地元ボランティアにも助けてもらった。

    来るたびに「おかえりー」「カフェはいつ開けるの?」と、声をかけられるのがうれしい。

    「立地もいいんですよ。高速を降りたらすぐだし、田舎町だから大きなスーパーはないけど、車で20分ほどの御坊市に行けば、買い物はすむし、病院もある」と、誠さんも満足げだ。

    「移住できるかどうかは、そこに住んでいるイメージが持てるかどうか。私たちの場合、半月ごと暮らすのって、無駄が多いけど、それを楽しむのも二拠点生活の醍醐味、と思えばいいんです」(眞喜子さん)

    「そう、あんまり便利でもしょうがない。とにかくやることがたくさんあって、体動かしてないと。ここではボーッとしてる時間はないからね(笑)」(誠さん)

    和歌山でのタイムスケジュール in 和歌山

    眞喜子さん

    6:00 起床、家事
    8:00 ピザ生地や料理の仕込み
    11:00 カフェオープン
    (接客、調理、配膳)
    16:00 カフェクローズ
    18:00 家事、夕食
    21:00 入浴、リラックスタイム
    23:00 就寝

    誠さん

    5:00 起床、外で過ごしつつ
    SNSチェック、朝食
    8:00 ピザ窯の火をおこす
    9:00 物作り作業
    11:00 カフェオープン
    (ピザ焼き担当と畑仕事)
    16:00 カフェクローズ
    18:00 入浴、夕食
    21:00 就寝

    地産地消を目指すカフェは地域の憩いの場

     

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    カフェにはイートイン・スペースがあるほか、オリジナルグッズの販売も行なっている。

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    木製のガチャガチャがお出迎え!

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    木製のガチャガチャは誠さんの手作りで、中身は木製のアクセサリーなど。スウェーデントーチも誠さんの手作り。

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    調理しやすいよう鍋用のゴトク付き。

    手作りのキッチン&ピザ窯で
    夫婦で作るピザが人気メニュー

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    ピザ窯ももちろん手作り。目の前の日高川から家族総出で石を運び、組み立てた。

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    カフェのオープンの3時間前から火を起こし、窯を温めるのが誠さんの仕事。

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    あっという間に焼けるよ!

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    キッチンは眞喜子さんがデザインしたものを誠さんが手作り。カフェもふたりでリノベーションした。

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    手作りピザやスイーツ、季節のドリンクなどが人気だ。

     

    何十軒も空き家を見て回り、平家を希望していたふたりのお眼鏡に適ったのが今の母屋。
    「修繕が必要でしたけど、自立して離れている子供や友人たちと一緒にリフォームして完成させたんですよ」(眞喜子さん)

    DIYが得意なふたりは、キッチン小屋、ピザ窯、カフェと、順番に手作りしていった。
    「それ以外にも、畑を作ったり、養蜂にチャレンジして。時間があれば鮎釣りに行ってと、とにかく慌ただしい。でも、それが全部楽しいんだよね」と、誠さんが笑みを見せる。

    「だって、移住早々、漁業組合員になってましたからね(笑)。この人はそのために来たようなものよ。周りの友人や子供たちに、いちばん生き生きしてるっていわれてるし」(真喜子さん)

    春は山椒を採り、夏は梅を漬け、冬はみかんを収穫する。薪集めは一年中だ。常に少し先の季節を見て、準備をする。
    「山椒や梅はその時季しかないでしょ。自然は待ってくれないから、何かをしそびれると、1年先まで待つことになる。街では人間に環境を合わせるけど、ここでは自然に自分が添わなきゃいけないのよ」(眞喜子さん)

    昔は当たり前だったそんなことを、移住生活が思い起こさせてくれた。リノベーションした縁側に腰掛け、四季の移り変わりを楽しむ時間も愛おしい。

    3年かけて改修した民家で
    四季折々の食を楽しむ

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    今日は何しようかな~

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    子供や友人たちにも手伝ってもらってリフォームした母屋。手作りデッキは、晴れていればオープンテラスとしても活用。

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    家族でBBQも楽しむ。

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    収穫した梅はシロップに漬け込む。ニンニクはオイル漬け、豆類もすべて畑で収穫したもの。

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    細かくちぎったバジルにオリーブオイルと松の実を加え、滑らかなペーストに。

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    ピザに塗るバジルペーストも手作り。

    自家菜園、養蜂、渓流釣りと遊びも満喫!

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    何でも育てて自給自足!

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    元々、田んぼで水はけが悪かったため、自然農で5年かけて土作り。半月いないため、動物に作物を食べられることも。養蜂は3年目でやっとニホンミツバチが入った。

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    好きなときに釣りができる幸せ!

    とにかく魚釣りがしたいという誠さんの希望どおり、歩いて2~3分で川に出られる。

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    釣った鮎は塩焼きにしてカフェで提供。

    物作りにいそがしい。でも充実した街での暮らし

    京都でのタイムスケジュール in 京都

    眞喜子さん

    6:00 起床、家事
    9:00 仕事
    (お菓子作り、機織りなど)
    12:00 昼食
    13:00 仕事
    17:00 家事、夕食、入浴
    22:00 就寝

    誠さん

    6:00 起床、家庭菜園作業、朝食
    9:00 工房オープン
    12:00 昼食
    14:00 工房(17:00クローズ)
    19:00 夕食、入浴、
    リラックスタイム
    21:00 就寝

    京都では木工職人とお菓子教室の先生に!

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    大学で講師をしていたこともある誠さん。一枚板テーブルやオーダー家具作りが本業で、自宅の家具もすべて誠さんが作製。包丁研ぎも受け付け中だ。

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    手作り家具の工房兼ショールーム「無垢工房」。京都市上京区と、街のど真ん中で35年にわたり活動中。

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    15歳から出身地・神戸で洋菓子を習い、今では菓子工房「シノワ」を主宰。「サイテラス」用に焼きながら、教室も開催している。

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    眞喜子さんは機織り職人でもあり、40年以上織り続けている。これは手つむぎの秋冬物のウール。

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    二拠点生活のコツ

    1 地域の人との繋がりを大切にする

    2 道路が整備されていて往来しやすく、高速を降りてから近いこと

    3 月間ではなく年間スケジュールをたてて、往来の日程を決める

    ※構成/大石裕美 撮影/小倉雄一郎 
    問い合わせ先 サイテラス 090-9706-1558、無垢工房 075(811)2900

    (BE-PAL 2020年9月号より)

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