めいほうキャンプ場代表
大塚義弘さん(40歳)
1980年、滋賀県大津市出身。妻の実家である郡上を訪れた際に、アウトドアで遊べる豊かな自然環境に感銘し移住を決意した。
岐阜県・郡上市
経営を引き継いだキャンプ場は
見違えるほどキレイに!
大塚さんの歴史
2003年 滋賀県大津市から郡上市へ移住し林業に従事。
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2005年 自然体験教室のインストラクターに転職。
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2015年 めいほうキャンプ場の運営を引き継ぐ。
国道から吉田川にかかる橋を渡ると、そこに『めいほうキャンプ場』がある。1981年に地権者たちが組合を作り、山を切り拓いて整備した歴史あるキャンプ場だ。移住者の大塚義弘さんがキャンプ場の経営を引き継いだのは5年前。
「妻の実家がある郡上の自然が大好きで、17年前に滋賀県から移住し、10年ほど郡上にあるグループ向けのキャンプ場で、子供たちにアウトドアの体験を教えていました。そのときに、市役所の方から『キャンプ場を継いでくれる人を探している』という話を持ちかけられたんです。いつか自分のキャンプ場を持ちたい、という夢があったので、すぐに話を聞きに行きました」
役所を通じて、組合長の和田さんと会い、郡上市商工会の事業承継支援センターのサポートを受け、借地料のみでキャンプ場経営を継ぐ契約を結んだ。
「自分では一生かかっても持てない、設備の整った広いキャンプ場を継いだときには、宝くじが当たったようなうれしさでした」
その後、大塚さんは客足が遠のきつつあるキャンプ場に、どうやって人を呼び込むかを模索した。まず老朽化した施設を手入れし、トイレやテントサイトの整備を徹底。それまで観光協会に頼っていたホームページも友人の手を借りて作った。2年目にはキャンプ場の名前を、大谷森林キャンプ村」から、町の名を冠した「めいほうキャンプ場」に変更した。
「ここを継いで5年になりますが、徐々に来場者が増えています。ここの良さを認めてくれるリピーターが増えていることが何よりもうれしいです」
今年からは、妻・智美さんも管理棟で共に働くことに。大塚さんはキャンプ場の整備により長い時間を使い、徹底してサイトや設備をキレイにした。先代の代表、和田淑人さんも新しく生まれ変わったキャンプ場に笑顔で訪れる。
運営は夫婦ふたりで
昨年までは、すべての業務をひとりでこなしていた義弘さん。今年からは妻・智美さんが受付の業務を手伝っている。
管理棟には趣味のカヤックも
「今は遊ぶ時間よりも整備する時間が貴重なんです」趣味のカヤックは出番を失い管理棟の隅に。
バンガローもあるよ
ターゲットを団体から個人客に絞ったため、稼働率が落ちたバンガローだが、貴重な設備の改善策を考案中。
継業とは?
経営者の高齢化などにより、業務の継続が困難となり、後継ぎもいない。そんな廃業に直面した地方の事業者が、移住者にまるまる事業を引き継ぐことを継業という。行政や企業による事業者と移住者をマッチングする取り組みも全国的に進んでいる。継業が成立する職種も多様化している。
キャンプ場を引き継ぎました
キャンプ場を託した先代の和田淑人さん(右)とは良い関係を築く。「困ったら、すぐに相談しています」と大塚さん。
キャンプ場はこうして生まれ変わった
その1
新しいサービスの展開
設営された大型テントやグリルなどを借りられる「手ぶらdeキャンプ」や、ネイチャープログラムなどの新企画も続々考案した。
手ぶらレンタル開始
キャンプファイヤーなどイベントも開催
その2
若い人に来てもらえるよう清潔を第一に
今年新設されたトイレ・シャワー棟。ランドリーも完備。常に施設を清掃し、落ち葉拾いも徹底し清潔さをキープ。
新設したトイレ&シャワー棟
ゴミもこまめに拾います
その3
コストをかけずDIYで設備を新設
新型コロナによる営業自粛期間は、作業場の屋根を自作。雨の日でも、屋根の下で薪割りや、パーテーション作りができるようになった。
目隠し完成!
キレイな川に子供の笑顔があふれる
川で遊び、昆虫を採るために多くの子供たちがキャンプ場に来る。豊かな自然も財産だ。
クワガタもいっぱいいるよ
移住のコツ
1 いろいろな場所に顔を出し、地域の人とつながる
2 常に笑顔でコミュニケーション
3 やれることを常にポジティブにこなしていく
※構成/山本修二 撮影/益田和久
問い合わせ先 めいほうキャンプ場 0575(87)2535
(BE-PAL 2020年9月号より)