ソロキャンプは、「焚き火をひとりで楽しみに行くため!」といっても過言ではない。夕暮れ前から薪をくべ、肉を炙り、パチパチ空中を舞う火の粉を見つめているだけで、日常のストレスはすべて一緒に燃やしてくれそうな気さえするのが焚き火の魅力だろう。昨今はマナー違反の増加や自然への配慮から焚き火台はマストアイテムとなっている。今回は、自分にとって最高の相棒となってくれる焚き火台選びについて考えてみたい。
1:はじめに
焚き火台を選ぶときに、いろいろ考えすぎて「もしかして失敗したかも…」「いまいち使いづらい…」「あの人の焚き火台の方が…」となりがち。焚き火の一番の目的は焚き火をすることなはず。今回のを参考に、購入したらとことん使い倒して欲しい。そうすることでその焚き火台を使いこなせるようになり、良さや”かわいい癖”がわかり、よい相棒になるはず。
2:焚き火台のタイプ
まずは、焚き火台の”タイプ”から考えてみよう。大きく分けると「燃焼効率優先型」と「醍醐味優先型」の2タイプからと認識すれば選択しやすいので参考にしてみてほしい。
①燃焼効率優先型
少量の薪(燃料)を最大限に無駄なく燃焼させてくれるのがこのタイプの特徴。どちらかというと、焚き火の火自体を目と耳で楽しむと言うよりも、高火力を少ない燃料で得たいときに有効で、特に料理としての高火力は期待できる。最近では、ついでに発電してくれたり、小枝のみで楽しめる小型のものなど、様々なレパートリーがあるジャンルでもある。また、ある意味”火器”として使用でき、短時間で冷えた体も温められ、燃料は現地調達型のカヤック旅などには最高の相棒になってくれる。
②醍醐味優先型
目、耳、舌、薪の置き方、などなど、様々な視点で楽しめる、いわゆる”焚き火”を楽しみたいなら迷わずこっちを選ぼう。初心者にも使用用途を簡単に広げられ、かつ重さやサイズ、形状などバリエーション豊かなのが特徴。「トライポット(三脚)で鍋を吊したい!」「焚き火を見つめて癒されたい!」「ブッシュクラフト的にファイヤースターターで着火したい!」など、焚き火を通してやりたいことがたくさんある人には最適だ。
3:焚き火台を選ぶときのポイント
焚き火台は、実に様々なものが市場に出ている。はっきりいって、どれを選べばいいか分からないくらい多種多様だ。基本的にはコンパクトで軽量、地面への影響が可能な限り少ないなものであればまずはOKだが、さらに次のような視点も加えてみると、より自分にピッタリな焚き火台が探せるはずだ。
①火床の形、大きさと本体重量
火床とは、焚き火をするスペースのこと。自由に焚き火を楽しむことを考えると、火床は大きいにこしたことはない。ただし、火床が大きくなればなるほど構造上丈夫さも必要になるので、本体重量も重くなっていく。また、火床の形もポイントのひとつだ。平らな形状なら薪を様々な形に組みやすいが、凹みがあったり特殊な形は薪の置き方がある程度固定される。ちなみに、火床はその面積全てを使えるわけではない。薪の落下や安全な使用を考えると、火床面積の80〜90%の面積が使用エリアと考えておこう。
②強度
「焚き火で何がしたい?」これを考えるときは、焚き火台の耐荷重を気にする必要がある。例えば、雑木の太い薪を使ってじっくり長く焚き火を楽しみたい場合は、その薪が乗っても十分に耐え、かつ多少の衝撃でも焚き火台が崩れたり倒れたりしないバランスが必要だ。さらに、焚火台の上にダッチオーブンやスキレットを置きたいとなればなおさら。軽くてコンパクトな焚き火台は、強度をある程度犠牲にしているものもある。自分のやりたいことを想定しながら選ぼう。
③焚き火台上部の構造
焚き火台の上部構造は焚き火の楽しみ方に大きく関わってくる。トライポットを使って料理や湯沸かしを楽しむなら焚き火台は火床のみで上部はなにもなくていい。でも、焚き火台の上に鍋や食材を置いて焼いたり湯沸かしをしたい場合は、上部構造は物が置けるタイプのものがいい。様々な付属品やサードパーティーで焚き火台をグレードアップできる場合もあるので、周辺機器も考慮して選んでみよう。
④収納方法とサイズ
ソロキャンプにおいて、収納サイズも焚き火台選びの重要なポイントだ。当たり前だけど、収納状態の容積がそのまま必要な収納スペースになるため、「装備の運び方」「移動方法」などを考慮して選ぼう。大きく分けると3タイプあるので参考にしてみてほしい。
・そのままのサイズ
主に「燃焼効率優先型」に多いのが「そのままサイズ」だ。収納時は少し小さくなる程度で、おおむねそのままのサイズが収納サイズになる。出したらそのまますぐ使えたり、収納の際に必要なギミックが無い分丈夫といった良さがある分、収納スペースがそれなりに必要になる。もちろん折りたたみタイプもあるが、燃焼効率型の場合は組み立てが複雑な場合も多い。
・細長型
焚き火台の収納方法の多くがこれ。「巻く」「収束させる」「畳む」などの方法で、立体的な焚き火台を最終的に細長い形に収納するタイプ。収納形態が細長いためバックパックの隙間などに簡単におさめやすい利点があるが、可動部分が多くなる分強度や故障の可能性も考えておこう。焚き火台の癖やウィークポイントを知った上で使う事が重要になる。
・ノート型
「パーツをバラす」「畳む」などの工程を通して、薄いノート型に収納できるタイプ。とにかくどんなに薄い隙間でも収納できるのが大きなメリットで、収納面ではもっとも場所を取らない。しかしその分、細長型と同様に可動部分や接続部分などが多くなる分強度や故障の可能性を考えておこう。また、ノート型タイプはより癖が強いものも多いので、それを楽しんで使うのがポイントだ。
今回紹介した焚き火選びの視点があれば、きっと自分にピッタリの焚き火台を見つけることができるはず。楽しみ方、別売のオプションなども考慮しながら焚き火選び自体も楽しんでほしい。