ビネガルーン染めに挑戦してみよう
革製品の色を変えたい…。イメージチェンジがしたい…。そう思われることはありませんか?
染料を使うのが手軽ではありますが、条件が合えば「鉄錆」と「お酢」という2つの材料だけで革を染めることができるんです!
今回は革を真っ黒に染められる「ビネガルーン染め」で、1枚の革から2色でできたレザーコースターを作ってみたいと思います。
材料
染液作り
- スチールウール
- 酢
- 適当なビン
スチールウールは、表面に洗剤や錆止めのコーティングがされていないものを選んでください。もし錆止めのコーティングがされている場合はアセトンが入った除光液などで軽くすすぐか、しばらく雨ざらしにして錆びさせてから使ってください。
酢は種類を問いません。穀物酢、米酢、薄めた氷酢酸、酢であればなんでも大丈夫です。
入れ物は酸に強いガラス瓶やホウロウなどを選んでください。入れ物まで錆びてしまっては大変です。
コースター作り
- 革(10cm×10cmを2枚)
- 紅茶(濃く煮出して冷ましたもの)
- 銀ペン
- 革包丁
- 革用針
- 麻糸
- トコノール
- コバ磨き
革はヌメ革またはタンニンなめしの革を使ってください。タンニンなめしの革でも表面にコーティングがされていたりすると、上手く染まらないこともあるので、切れ端を使って一度テストするといいでしょう。
作り方
染液を作る(1週間程度かかります)
スチールウール(または錆のついた鉄製品)とお酢を瓶に入れます。
このとき、瓶は密封せず、空気が抜けるようにしておいてください。鉄とお酢が反応して酢酸鉄ができる途中で、副産物として水素ガスが発生します。密封すると爆発の危険があるため、必ず空気が逃げるようにし、火器も近づけないようにしてください。
1週間〜10日間ほど放置すると、液体が錆色になります。
布やコーヒーフィルターを使ってこしたら染液の完成です。
この染液は昔は鉄漿水(かねみず)と呼ばれ、お歯黒の材料のひとつとして使われていました。見た目は毒々しいですが、人体に害などはありません。
また染め物をする方は、草木染めで黒っぽい色を出すときに欠かせない鉄焙煎液としても使えます。もし余ったら、草木染めなどに挑戦してみるのもおすすめです。
革を染めてみる
1.染める革を準備します。革をコースターの形に切り出します。
ちょうどいい大きさの革を使ってもいいですが、今回は染めの風合いを楽しむために端切れを使いました。3分割している革の真ん中だけをビネガルーン染めします。
革は染める前に1度テストし、染まるかどうか確認しておきましょう。ビネガルーンで染められるのはタンニンなめしの革だけです。合皮やクロムなめしの革など、染められない種類の革もあるので、端切れや目立たないところで必ずテストしてください。
2.染めたい革を濃く煮出して冷ましておいた紅茶に漬けます。
3.紅茶に漬けた革の水気を軽く取り、そのまま染液に漬けます。
4.化学反応が起こり、みるみる革が染まっていきます。
表面だけを染めたい場合はすぐ引き上げて構いませんが、革を切って使いたい場合や側面にやすりをかける場合は、革の内部までしっかり染まるよう20〜30分くらい染液に漬けておきましょう。
5.酢酸鉄の影響で酸性になっているので、重曹水で洗って中和し、風通しの良い日陰でよく乾かします。
6.コースターの裏面になる革を切り出し、裏側をサンドペーパーで荒らします。
7.表面の3枚の革も裏面をサンドペーパーで荒らし、革用の接着剤で工程6の革と接着します。
8.表面と裏面の間の革の段差をサンドペーパーで磨いて平らにします。
9.トコノールをつけ、へり磨きで磨きます。
10.お好みでステッチを入れたら完成です。しっかり接着できていればステッチはなくてもOKですが、縫っておくと頑丈になります。
ビネガルーン染めでレザークラフトの幅を広げよう
鉄錆と酢という、手軽な材料で衝撃的に革の色を変えられるビネガルーン染め。
革の性質にもよりますが、なかなか衝撃的なくらい真っ黒に変わります。革の内部まで化学反応で染めるので、色落ちすることもありません。
ヌメ革やタンニン染めの革を黒くイメージチェンジしたい場合は、ぜひ試してみてください。