雪の中でもポカポカで過ごすためのコツ
「冬キャンプの良さは、その自由度の高さ。夏は山に入ってもテントを張る場所が限られるけど、冬は人が少ない上、見渡す限り雪面がフラットだから、どこでも自由に使えるんです」
と教えてくれたのは、冬キャンプの達人、立本明広さん。
山岳ガイドオフィス「NORTE」(ノルテ)を主宰し、グリーンランドやアリューシャン遠征、南極観測隊経験もある立本さんの指導のもとで、今回は北海道在住の田辺さん一家がスノーキャンプに初挑戦! 冬のキャンプを楽しく過ごすコツを教えてもらった。
テントは食事用と寝室用を分ける
雪の中のキャンプでは、テントがなくても、雪洞を掘ったりイグルーを作ったりすることができる。雪洞などを作ることで、寒さから体を守ることができ、楽しみ方も倍増するのだという。
「最近は薪ストーブを使ったキャンプにはまっています」
と語る立本さんは7年ほど前から薪ストーブを使ったスノーキャンプツアーを実施している。
一酸化炭素中毒の危険をさけるため、薪ストーブのあるテントでは煮炊きと団欒を楽しみ、寝室はテントを分けている。グリーンランド遠征など海外渡航旅の経験が豊富な立本さん曰く、海外では安全のためキッチンテントと就寝テントを分けることが多いのだとか。
キャンプ人口が少ない降雪期なら、テントを張るスペースを気にせず、ゆったり広めのサイト作りができる。広々したもキャンプサイトは冬のキャンプならではの楽しみだ。
雪中キャンプに必要な道具
荷物運搬用のそり、深い雪の中でも闊歩できるスノーシュー、雪面をならしたり、スノーチェアを作るなど何かと便利なシャベル。この3つが雪中キャンプに必須だ。
雪の中でテントを設営する
今回、雪中キャンプを教わる田辺明彦さんは、
「僕は登山でテント泊してるんですが、妻と娘はキャンプの経験もほとんどないんですよ。好きになってくれるかなぁ……」
と不安そうにつぶやく。
寒くて当たり前の冬キャンプだが、いかにポカポカ快適に過ごせるかが、家族のハートを射止める鍵だ。
テント場をスノーシューで整地
設営場所を決めたら、テントのサイズよりもひと回り大きくなるように雪面を踏み固め、整地する。
スノーシューやスキー板を履いて作業すると効率的。踏んで踏んで踏みまくろう!
ある程度平らになったら、シャベルなどで表面を平らにならす。
荷物の運搬にはそりが最強
駐車場からサイトまで車で乗り入れできないキャンプ場も多いので、荷物の運搬にはそりを活用。遊びにも使えて一石二鳥なアイテムだ。
ペグは横にして雪中に固定
雪が深い場合、ペグを横に寝かせて置き、雪をかけて踏み固める。
紐をかけやすいように中央に刻みを入れた手作り竹ペグが活躍。
テントは用途に合わせて2棟張る
薪ストーブを設置できるリビング兼食事用のティピー型テントと、寝室用のかまぼこ型テントの2棟を設営し、安全対策も万全を期したい。
ティピー型テントのポールは雪に沈み込まないよう下に土台を挟む。
●「NORTE」(ノルテ)
http://www.norte-sapporo.com/JP/
※取材・文/大石裕美 撮影/二木亜矢子 (BE-PAL 2021年3月号より)