テントやタープが汚れたら丸洗いできる?カビは落とせる?キャンプブームで人気急増中の、テントクリーニング専門店で疑問に答えてもらいました。
完全に乾かさずに放置していたというタープ。カビはなかったがはっ水力はなく、ところどころに汚れが。
キャンプ歴もクリーニング歴も40年を超えるという岩本政一さんが、1996年に、『テントクリーニング・ドットコム』をスタート。汚れやカビを落とすのはもちろん、はっ水加工や、要望に応じてメッシュの張り替えなどにも対応している。
「キャンプブームもあって、昨年夏は1日500張りほど届いたこともありました。月平均にすると1500張りほどクリーニングをしています」。そう教えてくれたのは二代目で、常務取締役の岩本 篤さん。
多いのはコットンテントの黒カビ落としや、化繊テントの加水分解の処理の依頼だとか。
「カビ取りは塩素系漂白剤で落とす人もいますが、生地が傷むし色も抜けるので、やめたほうがいいですね。加水分解も重曹などでベタつきを落としたとしても、コーティングが剥がれてしまいます。そのあたりはプロに任せてほしいですね」
カビや加水分解を防ぐための普段のメンテナンスは?
「湿った状態で保管するのがいちばんよくないので、とにかく乾かすことが大切です。湿気はカビや加水分解の原因ですから。朝起きたら、テントについている朝露をゴムワイパーで取り除く。それだけでも、だいぶ違うと思います」
テントやタープを家で丸洗いする場合は、コーティングなどが剥がれないよう、やさしく水洗いするのが安全だ。中性洗剤を使うと洗剤が残り、シミになることがあるので注意しよう。
テントクリーニング.COM
1996年からサービスを開始したテントクリーニングの草分け。熟練の職人がメンテナンスをしてくれる。寝袋やザックもOK。
所在地:山梨県南都留郡河口湖町船津3161-2
電話:0120(399)403
営業時間:10:00~17:00
無休
https://tent929.com/
いらっしゃいませ!
テントやタープのクリーニングを請け負っている。持ち込みでも郵送でも受け付けOK。
受け付けたテントやタープの汚れ具合や状態をプロがチェック。病院の問診票のよう。
樹液
コットンタープによく見られる汚れ。林間サイトを利用する場合、樹液汚れは避けられない。
すす
タープの近くで焚き火を楽しんで付いたすす。コットンのすす汚れは厄介。
愛用のギアを長く使うための
メンテナンスのコツ
私たちがお答えします!
Q. テントはすぐに干さないとダメですか?
A. 1週間以内に干してください。
水分はカビやコーティング剥がれなどの原因に。収納前にいかに水分を取り除くかはメンテナンスの基本。地面に置いて干すと蒸れるのでNG。晴れた日、風が通る場所で裏面→表面の順で干そう。
Q. 汚れにはどんな種類がありますか?
A. 泥汚れ、カビ、すす、樹液が多いです。
コットンなのか、化繊なのかで汚れの落とし方が異なるが、ごしごしこすると汚れが広がったり、コーティングが浮くことが多いので要注意。水で軽く拭き取るだけにとどめておこう。
家では水をつけて拭き取るか、丸洗いをしよう。
Q. はっ水力は戻りますか?
A. 戻ります。
一般に、低温でアイロンをかけたり、はっ水スプレー後にアイロンなどで熱処理する方法が知られるが、家庭用アイロンでは痕がつくことも。ここでは低温スチームアイロンではっ水力を回復。
クリーニング後、はっ水力が格段に向上。感動~♡
Q. テントから異臭がするのですが……。
A. 生地が加水分解したにおいです。
加水分解は化学物質と水が反応して起きる現象。ギンナンのような異臭と生地のベタつきが特徴。化繊テントなどは加水分解しないよう、乾かしてから高温多湿の場所を避けて保管しよう。
※構成/松村由美子 撮影/中村文隆
(BE-PAL 2021年3月号より)