『栗原心平のごちそうキャンプ』発売記念。BE-PAL編集長が心平流キャンプ術の真相に迫る!
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    2021.03.19

    『栗原心平のごちそうキャンプ』発売記念。BE-PAL編集長が心平流キャンプ術の真相に迫る!

    みなさん!もうお手元にお持ちですか?
    ナニを?って……そりゃあ、料理家 栗原心平さんの初のアウトドア料理レシピ本『栗原心平のごちそうキャンプ』に決まっているじゃないですか!
    料理の専門家だからこその、間違いなくおいしくなるレシピで、ソロキャンの方もファミリーキャンプに役立つこと間違いなし。
    ということで、発売を記念して、BE-PAL編集長との対談、はじまりはじまり。

    質問になんでもテキパキ答えてくれる心平さん。

    BE-PAL編集長 沢木拓也(以下、沢木)
    初のキャンプレシピ本、発売おめでとうございます。非常にいい本ですし、評判も上々ですね。ご自身のご感想は?
    栗原心平(以下、栗原)
    ありがとうございます。今回の本に限らず、毎回レシピ本をつくるたびに思うんですが、「もっとこうしておけばよかった」というのがありました。
    沢木 おっ、なるほど……たとえば?
    栗原 つくる段取り、調理工程、「こうしておけば、こう変化したかも」というレシピがあるんですよ。
    沢木 ゲラ(*印刷所から刷り上がってきたチェック用のページ)を確認しているうちにアイデアが出てくるとか?
    栗原 はい。それがまた、次の原動力になるんですけどね。
    沢木 今回は初のアウトドア料理本ですが、心平さんがキャンプにハマったきっかけは?
    栗原 友だちにアウトドア好きがいて。無理矢理連れられたのが最初です。
    沢木 何年ほど前ですか?
    栗原 わりと最近のこと、5、6年前ですよ。
    沢木 それがはじめてのキャンプ?
    栗原 中学、高校生のときに、友だちの親御さんに何度か連れていってもらったことがありました。でも、あまりいい印象がなくて(笑)
    沢木 ハマるきっかけとなった初キャンプはどちらに? オートキャンプですか?
    栗原 はい、千葉の市原に。
    沢木 楽しいと感じた理由はなんですか?
    栗原 やっぱり、雨が降らなかったというのが大きい(笑)。
    沢木 ああ……心平さん、自他ともに認める雨男ですもんねぇ。
    栗原 それまでの数少ないキャンプ経験もすべて雨で。それがキャンプをしない理由のひとつだった。時期的にもよかったんでしょうね。朝晩の寒暖差が少なくて。
    友だちの家族同士だったので、いい意味でルーズで。ゆっくり時間が流れる感じでした。到着してクルマから降りたらすぐに、ビールを渡されて。「まずはテントから行こうか」とみんなでダラダラやるのがよかったですねぇ。
    気がついたら、晩ごはんをつくりはじめて……、


    沢木 その調理は心平さんが?
    栗原 スモーク班、前菜班、メイン班と分かれて。奥は前菜班でね。
    沢木 じゃ、最初につくれば……あとは楽しむだけだ! これをきっかけにハマったんですね。
    栗原 ですね。それで、ほかの友だちとも行くようになって。あ、仕事仲間が独立して、キャンプ用品屋をはじめたんですよ。彼の存在、けっこう大きいですね。
    沢木 道具について教えてもらえるというメリットもある。
    栗原 はい。グッズは自分の目で確認したいんですけど、海外からの輸入品はなかなか難しくて。彼にいろいろ訊いてそろえましたね。
    沢木 道具を見てさわって、欲しくなって。どんどん増えていくという。
    栗原 まさに。僕は夏よりも冬……過酷な状況でのキャンプが好きなんです。で、居住環境の快適さを求めて、寒い時期にはどんなテントがいいのか、どういう暖の取り方をするのか、というのも彼から教わりました。
    沢木 調理道具に関してはどうでした?
    栗原 最初は、フライパンと鍋と食器が簡単に収納できるタイプを買ったんですが、すぐに物足りなくなって。
    キャンプ場に置いてある姿を“絵”として切り取ったときに、自分の満足感が満たされず(笑)。
    沢木 さすが(笑)。
    栗原 実際の調理でも、鉄素材のほうがおいしくできますしね。

    焚き火を見ながら料理をつまむ。まさに至福のひととき。

    メスティン、スキレット、ダッチオーブンを駆使!

    沢木 『ごちそうキャンプ』では、「アウトドア調理道具三種の神器を使って」というしばりにしました。メスティン、スキレット、ダッチオーブンへの思いを教えてください。
    栗原 メスティンはそもそも飯ごうですから、炊飯に向いてますよね。サイズ感もソロキャンプなら事足ります。最近、串カツをやる人もいるようで……油、どうしてるんでしょう(笑)。
    沢木 どうしてるんでしょうねぇ(笑)。
    栗原 スキレットは万能です。うちのような三人家族にぴったり。ダッチオーブンは放っておけるのがいいですよね。今回、そういうレシピも多く入れています。
    沢木 時間はかかるけれど手間はかからない。外だからこその醍醐味ですね。
    栗原 ですね。キッチンと違って、完璧に仕上げる必要がありません。例えばシチュー。家だとジャガイモが煮崩れて、ジャガイモの味がスープに出ちゃうのが嫌ですが、キャンプなら、まっ、それもいいかな、って。
    沢木 となると、ふだんのレシピとはちょっと違いますか?
    栗原 分量をきっちり合わせなくてもいい。小さじ1違っても大丈夫なレシピを出しています。塩は小さじ1違うと問題ですけど。
    こねくりまわして、いろんなものを入れるレシピはいっさいありませんし、調味料もきっちり使い切るようにしています。だって、生クリーム残ったらどうするの(笑)?
    沢木 さすがにそのままは飲めないですからね。メスティン、スキレット、ダッチオーブンのうち、実際にキャンプでいちばん使うのは?
    栗原 大人数で行くことが多いのでダッチオーブン。ずっと煮込んでおいてもいいし、地元のスーパーで買った野菜を入れるとか……あれこれと。
    沢木 キャンプ場周辺のスーパーにはよく行くんですか?
    栗原 スーパーや道の駅は必ず探して立ち寄ります。近くにないと嫌……ないところには行きません(笑)。

    気になる店には必ず寄る。食材との新たな出会いが、アイデアに繫がる。

    前日につけ込んで現地では焼くだけの「豚の味噌漬け」。激ウマでしたよ!

    本書『ごちそうキャンプ』の活用法は?

    沢木 今回、「自宅で仕込んでいくと楽だよレシピ」も教えていただきました。書籍のレシピの使い分けはどうしたらいいですか?
    栗原 キャンプ場で過ごす時間軸をどうするかによりますよね。川や湖があって、釣りなりボート遊びなどレジャーをしたい。でも料理も楽しみたい——となれば、時間を節約するしかない。
    ならば、前日から準備して、到着したらサッと焼いて、パッと遊ぶ。そんなふうに逆算して考えればいいかな。
    沢木 家での仕込みは時短になりますしね。
    栗原 はい。しかもおいしい。それに漬け込みすることで日持ちもして衛生上もいいと思います。
    沢木 昨今、ソロキャンプブームですが、ソロキャンデビューの予定は?
    栗原 昔、バイクに乗っていたので、バイクでのソロキャンいいなと思いますが、状況的に難しいですよね。仕事でもないのに、家族を置いてひとりでキャンプなんて。と言いつつも、ソロテントを探しているんですけどね。


    沢木 今、ほしいアウトドア道具ってあります?
    栗原 調理台付きの薪ストーブとドーム型のテントです! 室内(テント)でストーブ調理できるなんて最高ですよね。
    あとは、しっかりした炭台ですかね。天板が鉄で、中は水コンロになっている……なんでしたっけ?
    沢木 国内のガレージブランドも増えてますしね。そうした情報は、ぜひ「BE-PAL」でチェックを!
    栗原 はい。
    沢木 焚き火は好きですか?
    栗原 好きですねぇ。子どものころ自宅に暖炉があって。火の管理は親父に言われて僕が担当してまして。火をおこしたり、絶やさないのは得意だと思います。
    沢木 薪をつけるのも?
    栗原 問題ないと思います。あれ?問題ありました(*本書ロケ中の薪火のこと)?
    沢木 大丈夫でしたよ!火で調理するのはガスとは違いますよね。自然をコントロールするというか。
    栗原 楽しいですよね。でも、炭はおもしろくなくて。炭をいかした料理をするならいいんですけれど、お肉を大量に買ってただ焼くだけは大嫌いです。タレのバリエーションがどんなにあってもすぐに飽きます。
    沢木 なるほど。いわゆるBBQはしない?
    栗原 できる限りしません!
    沢木 今回の本で難しいことありましたか?
    栗原 まったくありませんでした。薪火や炭火の加減はありましたけどね。
    沢木 バーナー調理に関しては?
    栗原 キッチンと極端には変わりませんよね。五徳と火口との距離が短いとか、火の当たり具合が違うとかはありますが。
    一般には火口が小さいので、少しズラしながら使うと焦げにくいです。とくにメスティンは動かしてください。
    沢木 メスティンは最初から動かす?
    栗原 炊飯の場合、吹いてきたあとですね。蒸らし10分の間、動かしたほうがいいです。
    沢木 なるほど。勉強になります。キャンプ場ではずっと火の前に?
    栗原 だいたいツーバーナーの前にいます。飲んでいるのが酒かコーヒーの違い(笑)。家でもキャンプでもつくりながら飲むのが好きなんですよ。

    焚き火を眺めながら飲む!これぞキャンプの醍醐味。

    沢木 仕事もプライベートも、調理は心平さん担当なんですね。さて、この本からキャンプをはじめるという方々にメッセージを。
    栗原 自分が食べたいと思うものを逆算してキャンプに出かけましょう。キャンプでは時間をゆっくり楽しむとはいえ、非効率的なのは嫌ですよね? 料理が完成するのは二時間後、もう夜の7時なのに……ということにならないためにも、逆算して調理時間を考えてみては。
    すごく難しいレシピはありませんので、どれにチャレンジしていただいても大丈夫です。
    沢木 それにしても心平さんは段取り魔ですよね。調理もとてつもなく早い!
    栗原 料理研究家のなかではいちばん早いでしょうね。間延びした時間があるのが嫌で、効率的にしたい。
    揚げ物と煮物、ごはん、サラダをつくるのなら、揚げ物は揚げる直前でスタンバイ、煮物は煮始めて、ごはんは浸水させて、揚げ物を揚げるときに炊き始める。サラダは野菜の水気を切って最後に仕上げれば、同時に完成します。
    沢木 確かに。今回の本も調理時間の目安がありますから、そうした訓練に役立ちますね。
    栗原 なりますね。二品同時につくってもらうといいですね。ダッチオーブンとスキレットからそれぞれ一品ずつ、おすすめです。
    沢木 いやはや、本当次から次へと役立つアイデアが出てきますね。ひとりでも多くのみなさんに買っていただいたあかつきには……続編もぜひ!
    栗原 はい、期待していてください。でも、その前に、この『ごちそうキャンプ』を存分に活用してくださいね。

    YouTube動画も公開中!

     

    『栗原心平のごちそうキャンプ メスティン・スキレット・ダッチオーブンでつくる極旨レシピ』
    著:栗原心平
    B5版・全96ページ 1650円(税込)
    小学館刊

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