今回は、バックカントリー初心者にオススメのルートとして、白馬エリア(長野県)の鵯峰(ひよどりみね)をご紹介します。このルートは、栂池高原スキー場のゲレンデトップから、1時間半程度で登れてしまいます。お手軽ではありますが、日本屈指の絶景と雪質を味わえる人気のルートです。鵯峰へ行けない方も、今回の記事をお読みいただくことで、バックカントリーのイメージがわき、近くのどのような場所でチャレンジするのがいいか、ルート選びの参考になるはずです。
鵯峰とは?
鵯峰は、栂池高原スキー場の最上部にある、「栂の森ゲレンデ」の北側の山です。山域では北アルプス北部の、白馬乗鞍岳や天狗原などと同じ稜線上の東に位置する標高1923mの山になります。
ただし、実際にバックカントリーとして滑るのは、この鵯峰本峰ではなく600mほど西にある小ピーク(標高1930m前後)になります。
鵯峰までの登り方
目指すべきポイントが分かったと思いますので、どうやって登っていくか紹介します。まずは、栂池高原スキー場のベースエリアから、ゴンドラリフト「イヴ」に乗って出発し、「栂の森駅」を目指します。そして、栂の森駅からさらに1本リフトを乗り継ぎ、スキー場の最上部まで行きます。その際リフト券は、「ゴンドラ1回券」+「リフト1回券」が必要となります。
リフトを降りて、林道まではゲレンデをトラバース(横移動)しながら少し滑っていきます。林道まで出たら、そこでシール装着や、スノーシューに履き替え、ビーコンのスイッチをONにして行動開始です。
しばらくは、林道に沿って歩きます。早大小屋のところから林道を外れて、尾根上の地形に沿って「P」のポイントを目指します。ちなみに林道から早大小屋は、見えにくくなっていますので注意が必要です。歩くペースによっても異なりますが、林道を歩き始めておおよそ1時間半ほどで、「P」のポイントまで登ることができます。
滑走ルート
鵯峰には滑走できるラインが何本かあります。基本的には鵯峰周辺は樹林帯でツリーラン(樹林を縫うように滑走)が楽しめ、悪天候時にも滑走が可能となります。
北面~北面・沢筋
北面は登ってきた方向と稜線を挟んで、逆の方向に滑っていきます。距離は短いですが、斜度はそこそこ急で40度近い急斜面を楽しめます。急斜面を滑り終わった後は、沢に沿って滑っていくことも可能です。
ただし、登ってきた方向とは反対側の斜面を滑ることになるので、登り返す必要があります。あまりに気持ちよくて、長い距離を滑りたくなってしまいますが、登り返しが大変になってしまうので、ほどほどのところで登り返すようにしましょう。
ちなみに北斜面は日射が当たらず、厳冬期はフワフワなパウダースノーを楽しめる確率が上がります。特にシーズンイン~厳冬期にオススメです。
南面
南面は登ってきた周辺を、そのまま引き返すルートになります。尾根地形のところは、後続者も登ってくる可能性がありますので、滑走ラインは少しだけ東側の沢地形を滑ります。しかし、滑り始めたらすぐに林道まで戻ってしまいます。時間が限られている時や、北面を滑った後、帰りのルートとして使うといいでしょう。
ちなみに南面のルートは、降雪中や降雪直後であれば十分に楽しめます。しかし日射が当たりやすいので時間が経つにつれ、雪が重たくなるので注意が必要です。逆に春のザラメ雪になると、この日当たりが硬いバーンを程よい硬さに緩め、楽しむことができます。
南西面
南西面を滑ると、栂池自然園の方へ出ることができます。ちなみに3月頃になるとロープウェイの運行が始まります。ロープウェイに乗って南西面から登るのもいいでしょう。その場合は南西面を登り北面を滑走。登り返して、登ってきた南西面を滑って栂池自然園に。そこからロープウェイ線下を滑ると充実したロングルートを楽しむことができます。
ロープウェイ線下
ロープウェイ線下周辺は、複雑な沢地形が入り混じります。しっかり地形図を読み取り、ゴンドラの栂の森駅周辺に確実に戻るようにしましょう。栂の森駅の南側の沢は、深く急峻な沢ですので入り込まないように注意が必要です。
注意すべき点
今回紹介したのは、鵯峰の本峰の1つ西側のピークからの滑走になります。本峰の南面は気持ちよさそうな斜面ではありますが非常に雪崩の発生しやすい斜面となっています。雪崩が発生した場合はご自身の命にも関わってきますし、下部のゲレンデで滑られている方を巻き込む可能性もあるため「滑走禁止」になっています。
また、本峰の北面は非常に急峻で、地形が複雑です。こちらは経験豊富なエキスパートのみが、滑ることを許されていますので、本峰周辺は絶対に近づかないようにしましょう。
まとめ
今回ご紹介の鵯峰周辺ルートは、スキー場からのアクセスも良くとてもお手軽なルートです。オススメのシーズンは12月下旬~4月中旬と、長い期間楽しむことができるエリアとなっています。基本的には樹林帯なので雪崩の発生リスクも開けた斜面に比べると低くなります。(だからと言って雪崩が起きないという訳ではありません。)
天候が良ければ眺望も楽しめ、悪くても樹林帯のため、ある程度の視界が確保できるので滑走ができます。どんな状況でも楽しむことができる数少ないルートですので是非一度、楽しんでみてください。鵯峰に行くことができない方は、注意点などを参考にしていただき、身近な初心者オススメルートを楽しんでいただければと思います。