ハレー彗星の落とし物、みずがめ座η流星群も
5月6日、夜明け前午前3時の東の空。月と木星と土星と、みずがめ座の周辺。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)
夜更かしするもよし早起きするもよしのゴールデンウィーク中の早朝に、春恒例の天文現象があります。みずがめ座η(エータ)流星群です。
ペルセウス座流星群やしし座流星群のような知名度はありませんが、春の流星群としては流れ星の数は多い方です。見晴らしがよく、町明かりのないグッドコンディションであれば1時間に10個ほど見られます。ただ、今年は月明かりがあることを考えると、1時間に5個見られればラッキーかもしれません。
流星群には流れ星の供給源になる天体がありますが、みずがめ座η流星群の供給源はハレー彗星です。75〜76年周期で地球に接近してくる、あのハレー彗星です。直近の接近は1986年でした。ハレー彗星は何度も地球に接近しているので、そのたびに残したチリが地球の軌道上にたくさん残っています。ちなみに、約半年後の天文現象オリオン座流星群も、ハレー彗星の軌道を地球が通過することによって見られる流星群です。
みずがめ座そのものは明るい星がなく、有名なわりには見つけにくい星座です。その上、この季節は夜明け前にやっと昇り始めるだけで、低い場所にあります。そのため流星群観測の目印にはなりにくいでしょう。しかし、今年はいい目印があります。夜明け前に土星、木星が上がって来ます。5月6日は木星と月があるあたりが、みずがめ座です。
もっとも、流星はみずがめ座から離れたところでも飛び出します。どの流星群にも言えることですが、「○○座流星群」というのは「その星座で流星が見られる」のではなく、「流星が流れた方向を逆にたどると、その星座の中の一点(放射点)に集まる」という意味です。星座ばかりに注目せず、なるべく広い視野で、月や街灯などのまぶしさを避けながら見るのが流れ星を見つけるコツです。
今年のみずがめ座η流星群は、近くに月も出ていますし、あまりいいコンディションとは言えません。それよりもこの時期、東の空に月と木星、土星が並んで上がっています。
夜明け前の澄んだ空気の中で、月と木星と土星を眺めていると、運よくみずがめ座η流星群の流れ星が見られるかもしれません。早起きは三文の得ともいいますね。
日没後の西、水星が今年一番の見頃を迎える
5月17日の19時20分頃の西の空。金星、水星、火星、月が見える。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)
5月半ば、惑星の水星が見頃を迎えます。
水星と金星は地球の内側を回っているため、いつも太陽の方角にあり、夕方と朝方の短い時間にしかお目にかかれません。特に水星は見えるチャンスが少ない。
その水星の、今年一番よく見えるタイミングが5月17日の日没後です。天文用語で「東方最大離角」といいますが、太陽から一番遠ざかった位置にあります。
水星の下には、10月に東方最大離角となる宵の明星、金星も光っています。地平線すれすれで輝いているので西の空が開けた場所で観察するのが絶対条件ですが、金星の光度はマイナス4等で、0.3等の水星よりも圧倒的に明るいので、先に見つかるかもしれません。
夕焼けが残る中で低空の星を探すのはたいへんですが、「星空ナビ」のようにかざすだけで星がわかるアプリを使うと、とても楽です。
5月半ばの夕暮れの西の空には、まだ冬の星座たちが残っています。オリオン座の1等星、赤色のベテルギウス、ぎょしゃ座のちょっと黄色っぽいカペラが、似た明るさの水星と競演します。
ふたご座のあたりに火星もいます。そして月も太りながら、だんだんと高度を上げていきます。水星が一番よく見えるタイミングは17日ですが、前後5日間は見つけるチャンスです。13日にはとても細い月が水星と金星の間にいるので探してみてください。
5月はゴールデンウィークの夜明け前に土星と木星、中旬の日没後に火星、水星、金星と、肉眼で見られる惑星がすべて見られます。西の空では金星のほうが目立ちますが、この5月、主役は水星! お見逃しなく。
5月6日午前4時の惑星の位置。地球から見える朝方の木星、土星。夕空の水星、金星、火星。きれいに分かれています。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)
構成/佐藤恵菜