はじめての雪山登山は残雪期がオススメ!雪山登山のいろは
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    2021.05.08

    はじめての雪山登山は残雪期がオススメ!雪山登山のいろは

    「雪山にチャレンジしてみたい!」こんな方に、著者がオススメしたいのは残雪期登山です。残雪期の山は、雪が比較的安定している事や、気温も暖かい事から、初心者にも行動しやすい環境と言えます。
    残雪期登山に必要な装備や注意点などをご紹介します。

    残雪期とは?

    残雪期の北アルプス。

    それでは、残雪期とはどんな時期のことなのか説明します。

    一般的に残雪期とは4月~6月の事を言い、私たちの生活する市街地では、春~初夏の季節になります。この期間、雪はしっかり残っているものの、山の上でも暑く感じるような天気が多く、過ごしやすいのが特徴です。しかし、気象条件によっては、真冬のような気温や猛吹雪になる可能性もあるので、天候の変化には注意が必要です。

    残雪期登山に必要な装備

    残雪期の登山では、厳冬期ほどの装備がなくても挑戦することは可能です。それでは、どのような装備があれば挑戦できるのか見ていきましょう。

    登山靴

    厳冬期では冬期用の登山靴が必須ですが、残雪期登山では3シーズン用の登山靴でも問題ありません。

    ・冬期用登山靴

    冬期用登山靴は、3シーズンに比べて保温性が高く、ソールは固く雪や氷などを蹴り込みやすくなっています。挑戦する山によって異なりますが、残雪期では気温の上昇によって雪が緩み、必ずしも冬期用の登山靴が必要ではなく、3シーズン用の登山靴でも代用は可能です。

    ・3シーズン用登山靴

    3シーズン用の登山靴の中でも、防水機能がしっかりしていて、ソールもある程度の固さがあるものを選びましょう。

    アイゼン

    アイゼンは、必ず前爪のある10本歯以上のアイゼンが必要です。ちなみにアイゼンは装着方法によって「ワンタッチ」「セミワンタッチ」「ハーネス」の3タイプがあります。お持ちの靴によって、装着できるタイプが異なります。

    登山靴のアイゼンを引っ掛ける「コバ」がつま先と踵(かかと)に付いていれば「ワンタッチ」、踵のみについていれば「セミワンタッチ」、いずれも付いていない場合には「ハーネス」のアイゼンを付けます。

    つま先のコバ。

    踵のコバ。

    冬期用登山靴にはワンタッチタイプのアイゼン

    冬期用登山靴には、基本的につま先と踵の両方に「コバ」が付いているため、ワンタッチタイプのアイゼンがオススメです。

    ワンタッチタイプのアイゼンのつま先。

    ワンタッチタイプのアイゼンの踵。

    つま先、踵の両方にコバが付いている登山靴は、3タイプすべてのタイプのアイゼンを、装着することができます。中でも一番ガッチリ装着できる、ワンタッチタイプが外れにくく安心です。

    3シーズン用登山靴にはセミワンタッチタイプのアイゼン

    3シーズン用の登山靴の中にはかかとに「コバ」が付き、つま先には「コバ」がないものが多くあります。このような登山靴には、セミワンタッチタイプのアイゼンがオススメです。

    セミワンタッチタイプのつま先。

    セミワンタッチタイプの踵。

    セミワンタッチのアイゼンでは、つま先側はハーネスによって締め、踵は器具によって押さえつけることができます。この場合、つま先側のアイゼンと、靴の間に雪が入り込むことがあり、歩きにくくなったり、アイゼンが外れたりする可能性があります。

    つま先にも踵にも「コバ」がない場合はハーネスタイプのアイゼン

    「コバ」がない場合は、ハーネスタイプのアイゼンを使うしか方法はありません。

    ハーネスタイプのアイゼンのつま先。

    ハーネスタイプのアイゼンの踵。

    ハーネスタイプのアイゼンは、どんな登山靴でも装着することができますが、アイゼンと靴の密着度は甘くなり、隙間に雪が入り込むことがあります。そうなると歩きにくくなったり、アイゼンの効きが弱くなったり、アイゼンが突然外れたりすることがあります。

    ピッケル

    ピッケルは、雪のある山ではマストアイテムです。万が一滑落した場合に停止させるのに使ったり、急な雪の斜面では手掛かりとして使ったり、トラバースをする際のステップを切ったりと、どんな場面でも大きな役割を果たしてくれます。

    厳冬期の登山では、ルートによって最適なピッケルを選ぶ必要がありますが、残雪期登山では、条件がそれほどシビアにならないのでどんなピッケルでも十分に使えます。必ずピッケルを携行しましょう。

    防寒対策

    ウェア

    残雪期登山では、気温がそれほど低くなることはありません。厳冬期にはマストアイテムのハードシェルも、必ずしも必要ではなく、レインウェアでも代用は可能です。しかし、標高が高いアルプスなどでは、急激に気温が低下して真冬並みの天候になることもあるので、事前に登山をする日の天候をしっかりチェックして、状況に応じて防寒性能の高いハードシェルを着用しましょう。

    また、ダウンなどの保温性の高いウェアは、どんな状況であろうと必ず携行し、その他にもフリース、ソフトシェルなど、レイヤリングで調整ができるような準備が必要です。

    手袋

    残雪期の雪は水分が非常に多く、手袋がすぐに濡れてしまいます。著者は残雪期登山をする際に、完全防水の手袋や、保温性の高い手袋など、替えの手袋を2~3枚ほど携行します。濡れた状態で気温が低下した場合は、凍傷になる可能性もあるので、しっかりと対策をしましょう。

    残雪期の登山ルート

    残雪期登山ではルート上とは異なる場所を歩くことも。

    雪のある状態では、地図などで示されたルートを必ずしもトレースする必要はありません。そもそも、夏道を忠実にトレースすることは不可能です。登山道が雪に覆われた場合、従来の登山道が逆に危険なこともあり、別の安全なルートを歩くことがあります。

    慣れるまでは、人の多く入る山やルートを選び、人のトレースを参考にして経験を積んでいただければと思います。

    初めての残雪期登山にオススメの山

    これから初めて残雪期登山にチャレンジしたい!そんな方に、著者が住む長野県周辺のオススメの山を紹介します。

    八ヶ岳周辺

    蓼科山、北横岳、縞枯山、天狗岳、硫黄岳などは特に危険な個所もなく、八ヶ岳周辺は比較的天候も安定します。

    北アルプス周辺

    乗鞍岳、焼岳、燕岳、唐松岳、木曽駒ケ岳などは上記に挙げた八ヶ岳を1度経験してから、次のステップで行きたい山です。雪山の経験が豊富な方と一緒であれば、初めてでも行くことは可能です。

    ただし、これらの山々は標高が高く、天候が荒れれば厳冬期さながらの雪山になるので、天候の変化には十分に気を付けてください。GWに度々発生する、山岳遭難の事故は急な天候の悪化によるものがほとんどです。万が一に備えて、しっかりとした防寒対策や装備を準備してから挑戦してください。

    まとめ

    残雪期登山は、比較的簡単に冬山登山を経験できることを知っていただけましたでしょうか。最低限必要な装備は多くありますが、厳冬期登山ほどではありません。

    天候の悪化や、雪崩といったリスクに十分に注意し、登山ルートの下調べや装備をきちんと確認して、楽しんでいただければと思います。

     ※地域の新型コロナウイルスの感染対策状況をご確認の上、三密回避、マスク着用、検温対応など感染拡大防止を心がけるようお願いします。

    私が書きました!
    山岳指導員(アルパインクライミング)
    ミツル
    山と自然に囲まれた長野県在住。登山では日本体育協会公認・山岳指導員(アルパインクライミング)の資格を持つ本格派。登山、バックカントリー、フリークライミング、アルパインクライミング、沢登りと山に関する遊びが生きがい。2児の父親をしながら、アウトドア系のフリーライターとして活躍中。

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