期間限定の旬の味”ベアラオホ”を楽しむ!
スイスの春の味覚といえば「ベアラオホ」。ドイツ語で「Baerlauch」は”熊のネギ”という意味。冬眠から覚めた熊が体力を回復するためにベアラオホを最初に食べたことからこの名がついたらしい。日本の北海道や東北で見られる「行者にんにく」に似ているが別種だそう。山にこもる修験道の行者が食べたことに名が由来し、北海道では「アイヌネギ」と呼ばれることもある。ちなみにフランス語では「ラムソン」。
スイスでは、3月上旬くらいから生のベアラオホや、練りこまれたパスタやラビオリ、パスタソース、チーズ、ソーセージ、乾燥調味料、ポテトチップスなど様々なプロダクトがスーパーに陳列される。まさにこの時期だけの特別な限定品。とくにポテトチップスは絶品で、これがビールに合うこと。
じつはスイスではニラを入手することが難しいので、日本人の私たちは生のベアラオホをニラの代用品として餃子にしたり、卵と炒めてニラ玉風、ひき肉味噌炒め、チジミ、炒飯、鳥鍋、生春巻きなどにして食べている。どうアレンジするかメニューを想像するだけでも楽しい!この時期、家庭ごとのオリジナルレシピとして食卓に並ぶことも。
自宅近くのサイクリングコース脇にも、よく見るとたくさんのベアラオホが自生している。スイスではあちこちで見つけることができる、身近で人気のある山菜だ。ただ犬や鳥の排泄物がついていることもあるので、いただく場合にはきれいな葉を選ぶ必要がある。
また、キツネが生息している地域では、糞の中に”エキノコックス”という寄生虫がいることもあるので、必ずよく洗ってから調理する。有毒なスズランやイヌサフランとも似ているが、葉の形と匂いが違うので、図鑑などを参照に注意して探すように。
葉を摘んでちぎってかぐとネギやニンニクのようないい香りがする。ベアラオホは、ユリ科のネギ属で多年草で、直射日光が当たらない湿気の多い場所に繁殖する。葉の長さは約15cm、幅5cmほどの流線形で、球根は大きさも形もラッキョウに似ている。根は来年のために残し、葉だけ採取する。
初夏を迎え、5月中旬になると白い花が一面にきいれいに咲く。花が育ってしまうと葉が硬く風味も落ちるので、咲く前の時期がちょうど食べごろ。こちらでは、スタミナ増進や血液をサラサラにして血圧を下げる効果も期待できるといわれている。
ベアラオホのペースト作り
生のベアラオホの定番料理といえばパスタソースやスープ。そのほか、生のままサラダに入れて食べることも。今回は簡単すぎる!ベアラオホのペーストソースの作り方を紹介する。日本で作る場合、行者ニンニクを使ったり、手に入らない場合には、生のバジルで作るのもあり。香りもフレッシュでおすすめ!
【材料】※小瓶1個分
(1)生のベアラオホ(生のバジルでも代用可能):50g
(2)松の実(カシューナッツでも代用可能):50g
(3)オリーブオイル:100ml
(4)塩:小さじ1
(5)胡椒:少々
今回はチーズを入れずに作ってみた。完成したベアラオホのペーストを使って料理する際に鮮度の高いチーズを入れて風味を優先したいからだ。もしチーズを入れて作る場合は30g。パルメザンチーズがおすすめ。絞ったレモン汁を入れてもさっぱりして美味しい!
フードプロセッサーに、カットしたベアラオホと一緒に”松の実”を投入。このひと手間で風味にコクが増す。
オリーブオイルを投入。出来上がりが楽しみだ。
塩を投入。塩分控えめに作る場合は小さじ二分の一にするのもよし。チーズを入れて作る場合には塩は半分程度に。
胡椒を少々入れる。
フードプロセッサーをかけてペースト状に。調理時間も短く簡単。
熱湯消毒した瓶に詰めれば完成!保存は冷蔵庫の場合、約1週間。フリーザーバッグに入れて冷凍保存するのもあり。
キャンプや山飯にも!
作ったベアラオホのペーストとパルメザンチーズを削って、茹でたパスタに絡めただけの簡単お手軽パスタが完成!チーズは、粉チーズでもOK。ベアラオホとチーズの相性が良く食がすすむこと。辛いのが好きな方はチリを入れてピリッとさせるのもあり。
このペーストは、人参などの野菜スティックにつけても美味しいし、ゆでたジャガイモに絡めたサラダにしたり、ピザソース、魚介類の味付け、野菜のソテーなど様々なアレンジが楽しめる。ただ食べ過ぎると口臭がきつくなったり、胃がもたれるので注意が必要である!
うちの子供達からも大人気のパスタ。子供用はペーストを少なめにするのがコツ。
ペーストさえ作っておけば、あとは絡めるだけの超絶簡単パスタ。ぜひフリーザーバッグに入れて持ち運び、キャンプや山飯で使っていただきたい。アウトドアでも一味違うフレッシュな香りを楽しもう。