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    2021.05.15

    ロードムービーのような美しい映像が人気。a diffrent hippyさんの世界。

    アウトドアに目覚めたのは30歳のとき

    ソロキャンプやバイクツーリング、釣り(テンカラ)にDIYなどさまざまなアウトドアを楽しむa diffrent hippyさん。アウトドアを始めたのは、30歳のときだ。

    「映像編集の仕事をしているんですが、20代の頃はとにかくパソコンに向かうばかりの日々で。ガムシャラに仕事ばかりしていたんです。若い頃はそれでもよかったんですが30歳に近づくにつれて少しずつ余裕も出てきたら「なにかやらなくちゃ!」という意識が強くなってきて、知り合いがやっていたサーフィンをやってみることにしました。

    名古屋の住宅街育ちの僕にとってアウトドアは無縁の世界。だから車に2時間揺られて田舎風景を見るというだけでもワクワクしてきましたね。実際にサーフィンを体験してみると、波に揉まれる感覚とか、自然に抗えない自分に衝撃! 一気に魅了されました」

    同時期に始めた一眼レフの写真もアウトドアにハマるきっかけになったそう。

    「写真を撮っているうちに自然にも哀愁があるということに気づいたんですよね。木が枯れていく姿とか、そういうのが好き。映像はどちらかというときらびやかな世界観をメインにしていますが、その隙間に見える哀愁がたまらないんです。

    写真に撮ることで、日々流れていく中で見落としているものがあるのではないかということにも気づきました。自然の温かみや時間に追われていない楽しさを再確認。仕事では、CGを使った映像も作っているので、例えば、CGで山に偶然のように雲をかけることは簡単にできる。だけど自然の映像は一期一会がおもしろいので、それをやらない。その場でしか出会えない一瞬を大事にしています。自然を撮るのが楽しくて、今では絶景を求めてアウトドアをしにいくようになっています」

    まるでロードムービーのように編集された映像には、プロならではのこだわりも。

    「グレーディングといって、最初からフィルターをかけて色味を変えられるように設定して撮影をしています。1本30分近い動画ですが、カット割りを早めにして飽きさせないような工夫も。クリア感やきれいさも大事に、展開を早めにするのがこだわりです。

    撮影する前にざっくりと見出しだけは考えていますね。1本前の動画を作ったあとから次のキャンプに行くときまで前の動画から引き継いだ“何か”が僕の中に生まれてきて、それが題材になります。おそらく前回の動画で突き詰められなかったことを次の動画に活かしているんだとは思います。でもそのときの感覚的なものも重要視していて、準備はしていても偶然何かが起きて自分の想定外のことが起きる。それがおもしろさですよね。

    ソロでバイクツーリングに行くときはGoProを使っていて、ツーリングの臨場感も盛り込んでいます。キャンプに行くだけじゃなくて、行く最中からすでに楽しくて。撮影をするから、到着が遅い時間になったりするんですけど、それでも楽しい。普段とは違った感覚があるんですよね。

    でも、このほうが視聴者数が伸びるかなって頭に浮かんだ時点で、遊びが楽しめなくなっちゃう(笑)。だから、あまり束縛されないようにもしています」

    言葉にならないことを映像で表現

    仕事も映像編集をして、趣味も映像編集。パソコンの前を離れるために始めたアウトドアだったのに、結局パソコンの前にいる時間が増えている。一見大変では……と思ってしまいそうだが、プライベートで映像編集をすることで、逆に今まで抱えていたストレスを減らすことができたそうだ。

    「仕事で映像を制作していると、商業的なものなので自分の意図を100%表現できないことがあります。なんとなく見落としているものがあるなぁというのが感覚的にあって。その表現できない部分をYouTubeに映像に盛り込んでいます。言葉にできないモヤモヤを映像にしているんですね。編集は、自分に問いかけて見つめ直す時間でもあります。自分の思考をつなぎ合わせて、映像で再編集しているんです。自我が爆発しているので、ときに見返すのが恥ずかしいときもあるんですけどね(笑)でも、素でできること、頑張らないでできるということがYouTubeを続けられる理由のだとも思いますよ」

    愛着のあるものを作って使う

    車内を車中泊用に改造したり、自宅のリビングをリモートワークがしやすいように改装したりなど、DIYにも力を入れている。

    「手作業は好きです。細かいものを作るのがとくに好きですね。昔、画家を目指していて、映像みたいな写実的なアクリル画を描いていたので、その緻密さがDIYにも活きているのかもしれません。

    買ったのもを壊れたから捨てるみたいなことは好きじゃなくて、何かを始めるときは大事にしたい道具を手に入れることから始めたいんですよね。しかもそれが作ったものなら、なおよし。面倒くさいような作業が逆に楽しいし、使う度に愛情も増しますよ」

    a diffrent hippyさん

    キャンプだけでなく、バイクツーリングや車中泊なども得意とする。星空をタイムラプスで撮った映像や一緒に旅をしているようになれるツーリング映像が人気。登録者数約5.7万人(2021年5月上旬現在)。

    構成・文=中山夏美

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