みなさんの自宅にも1枚はあるであろう、ゴアテックス(GORE-TEX)素材を使用したウェア。
ご存じの通り、耐久防水性で雨や雪を防ぎ、高い透湿性で汗の水蒸気を外に排出することでドライな快適さをキープ。さらに優れた防風性で、体温を奪う冷たい風から、身体を守ってくれる頼もしい相棒だ。
モンベルやパタゴニア、ザ・ノース・フェイスなど名だたるアウトドアブランドからも、ゴアテックスが採用されたウェアが登場し、機能素材として著名にも関わらず、自宅でメンテナンスが可能ということを知っている人は少ない。
このゴアテックス製品のお手入れの方法と、メンテナンスが必要な理由をご紹介しよう。
ゴアテックス アウターウェアの家庭でのお手入れ方法
製品についている洗濯表示を確認し、その内容に従うのが大前提。ウェアは、ゴアテックス生地だけでなく、さまざまな部材との組み合わせでつくられているため、アイテムごとにつけられた洗濯表示は重要だ。
まず、すべてのファスナーとポケットを完全に閉じ、ゆるんだフラップやストラップはしっかり留める。
衣料用液体洗剤は少なめに使用する。粉末洗剤や漂白剤、柔軟剤、染み抜きの使用は避ける。
アイテムを洗濯機に入れ、40度C以下のぬるま湯で洗濯する。すすぎは2回以上しっかり行ない、脱水は短時間で軽く行う。この2回以上のすすぎが重要で、洗剤を生地に残さないようにする。
十分すすいだあと、水気をきったら、日陰の吊り干しでしっかり乾かす。乾燥機を使用する場合は、中温以下にし、高温は避ける。
表生地の撥水性が落ちてきたと感じる場合は、洗濯・乾燥後にさらに熱処理することで、撥水性が回復する。
乾燥機で行う場合は、さらに20分乾燥する。アイロンで行なう場合は、低温・スチームなしの設定で、必ず当て布をしてアイロンをかける。
洗濯乾燥後に、熱処理をしてもウェアの表面が水を弾かなくなった場合は、撥水の再加工を行なう。市販のウォッシュイン、またはスプレータイプの撥水剤を使用する。
※市販の撥水剤は、説明書をよく読み、その使用方法に従ってください。
※ゴアテックス メンブレンを表面に採用した「GORE-TEX ガーメント with persistent beading surface」(GORE-TEX SHAKEDRY ウェアなど)には、上記のお手入れを行なわないようにする。
ゴアテックス アウターウェアを洗うべき理由
お話を伺った日本ゴア合同会社 ゴアテックスブランド マーケティング担当の伊藤由里子さんは、メンテナンスをすべき理由として次のふたつを挙げている。
「ひとつは、ウェアの機能が充分に生かされること、もうひとつは長持ちすることです」と伊藤さん。
「アウトドアでは、雨にあたる、手で触る、泥が跳ねる、汗がつく、虫よけや日焼け止めクリームがつくなど、ウェアが汚れる条件は多々あります」
身体を守る虫よけや日焼け止めも、ウェアについた時点で汚れのひとつとなって機能性を損なう原因になるのだ。
そしてウェアの表側に汚れが残ると、水をはじかなくなり(撥水性を損なう)、水が生地表面に広がり、ウェア自体が重くなったり、冷たく感じたりする原因になる。これは体が冷える一因にもなり、快適性もが失われる。
「安全に、快適にアウトドアを楽しむために、メンテナンスをすることでウェアの撥水性を十分に生かすことをおすすめします」(伊藤さん)
さらにウェアの内側に汚れが残ると、ウェアの縫い目をとめているシームテープがはがれやすくなるのも見過ごせないポイントだ。
「シームテープがはがれると縫い目から水がウェア内に入ってくることになり、防水性が失われます。汗や皮脂の汚れは目に見えづらいので見落としがちですが、汗をかきやすい首回りや脇などは汚れがたまりやすいので、見た目がきれいでもぜひ洗濯してください」と伊藤さん。
ゴアテックスウェアは、Protection(保護性)が一番の特徴。自然の中でしっかりと体を守るためにも、ウェアに備わっている機能を十分に生かせるよう、メンテナンスすることが大切なのだ。
ゴアテックスがメンテナンスを推奨するのは、機能性を保持するほか、愛用のウェアを長く使ってほしいというサステナビリティにもつながる願いも込められている。
「メンテナンスを怠ることはウェア本来の機能が失われることにつながります。機能が低下したウェアは体を十分に守れなくなることや快適性が失われる他にも、見た目にも良くない状態になるため、新しいものを購入することになるでしょう。ゴアテックスウェアのメンテナンスは難しいことではないので、ぜひその他のウェアやギアと同じようにメンテナンスをして、愛用のウェアを長く使っていただきたいです」(伊藤さん)
アウトドアライフをより快適に楽しく過ごせるよう、身体を守ってくれるゴアテックス ウェア。
機能をしっかり長く使いこなせるよう、自宅での定期的なメンテナンスを習慣化していきたいものだ。