キャンプで使ったお皿、どうやってキレイにする?
Question:キャンプで使ったお皿や調理器具、どうやって洗うのが正解?
1:炊事場で食器用洗剤を大量に使ってガシガシ洗う
2:キッチンペーパーなどで汚れを拭き取ってから、炊事場で洗う
3:川や湖で洗う
Answer
2:キッチンペーパーなどで汚れを拭き取ってから、洗う
キャンプ場には炊事場が設置されています。食器を洗う際、まずはきちんと決められた場所を使いましょう。自分のサイトから川や湖が近いからといって、そこで洗う行為は絶対やめましょう。
食器用洗剤の多くは、石油や石炭を原料とした合成界面活性剤を利用しています。それらは自然界にあるものではないので、川や海へ流れると分解されず、自然を壊す可能性が。できる限り、植物由来の界面活性剤を使っているものを選び、排水口に流しても自然に分解処理できる洗剤を選びましょう。
さらに汚れをキッチンペーパーやウエスなどで拭き取ってから洗えば、少ない洗剤でもキレイになりますよ。
自然遊びのモラルを考える
キャンプがブームになると同時に、キャンパーのマナーの悪さについても問題になっています。ゴミをポイ捨てする、分別をしない、植物を荒らすなどの問題行動は、地球を傷つける行動と同じ。自然で遊ばせてもらっている私達ができる最低限のルールについて、環境マンガ家・カヌーイストとして世界中の大自然を旅し『ムズカシそうなSDGsのことがひと目でやさしくわかる本』を出版されたばかりの本田亮さんにお伺いしました。
ー本田さんがキャンプをしていてマナーについて気になったことはありますか?
「とくに気になっているのはキャンプの後始末の悪さですね。自然を知らない人は遊び方も知らないから、森にゴミを捨てたり油を川に流すような行動をとってしまうように思います。まずは植物や動物、昆虫について、もっと深く知っていってほしい。知識があることによって愛情が生まれ、自ずと守ろうという行動に繋がるのではないかと思います。
僕はSDGsが抱えている環境問題の中でも、とくに海のことが心配なんです。海はマイクロプラスチック、海水温上昇、酸性化など多くの問題を抱えています。川に流したものは、ほとんど海に流れ込んでしまう。海のものの70〜80%は陸からきたものと言われています。何気なく捨てた、自分の意識のないところで落としたものが川から海にいき、マイクロプラスチックになってしまうという実態もある。だからプラスチック製品類は、しっかり管理してゴミは持ち帰り、都会のゴミ箱にちゃんと捨てなくちゃいけないと思います
あとは、炊事場で洗剤を大量に使って洗うのもできればやめてほしいですね。食器を洗うのはしょうがないですが、分解できる洗剤を使ったり最初にキッチンペーパーなどで汚れを拭いてから洗えば、自然へのストレスも少なく済みます。単純な行動だけど、実はとっても大事。水に流す瞬間への気遣いが重要なんだと思います。
キャンプに行くと、つい盛大に食べ物を買ってきて盛り上げちゃうことがありますが、フードロスの観点からいえば食べる分しか作らず、作ったものは全部食べきるということも心がけてほしいですね」
ー焚き火の後始末についても問題に取り上げられることが多いですよね。
「キャンプ場によって、直火が許可されているところとそうじゃないところがあるので、そのルールは最低限守るとして、許されているところでも、焚き火の跡を残さない工夫をしてほしいですね。僕が焚き火をするときには、どこで焚き火をしたのかわからないぐらいキレイにします。釜戸にした石も元の位置に戻してたっぷり水をかけ、砂も上にかぶせます。時々、そこで焚き火をしたことがはっきりわかるキャンプ跡を見つけることがあって、しかも燃えカスに空き缶やプラスチックが入っていることがあります。これは最悪。直火をやりたいなら、『飛ぶ鳥跡を濁さず』の精神で跡形もなくキレイにしてほしいですね」
ー自然遊びから見るSDGsとは、どういうことだと考えますか?
「基本的にふたつあります。ひとつはモラル問題。ゴミを捨てない、油を流さないようにしよう、動植物を殺さないようにしようというようなことは、どれも人間としてやらなくちゃいけないモラル。守るべきことです。誰もが守るべきモラルとしてのSDGsです。
もうひとつは、貢献です。例えば多くの生物が絶滅危惧種になっていることや森がなくなろうとしていることなどの問題がある中で、自分が積極的にできることを見つけて、何か行動してみる。企業が取り組んでいるゼロ・エミッション、CO2削減、廃棄物を減らすといったことに応援してみるのもいいです。『これは自分が貢献したい』と思うテーマを1つ選んでサポートしてみる。すべての人が1つずつ選ぶことができればSDGs達成へと大きく前進するのじゃないかと思います」
SDGsを楽しく知るための1冊が発売中!
テレビや雑誌などでも多く取り上げられ、世界中に意識が高まっているSDGs。しかし、ちょっと難しそうで苦手と思っている人も多いのでは。この本は、SDGsの17の目標と主要なターゲットをユーモラスなイラストで紹介。著者である本田さんが世界を旅して体験したリアルな状況をもとに解説しているので、自然や旅好きにはとくにわかりやすい内容となっています。
本田亮さん
1953年、東京生まれ。電通にCMプランナーとして入社し「ピカピカの一年生」(小学館)など数多くのヒットCMをつくる。1990年に環境問題に目覚めて以降、日本全国で「エコノザウルス環境マンガ展」を開催。カヌーイストとして世界中を旅し、BE-PAL本誌では「サラリーマン転覆隊」を連載中。
|
構成・文=中山夏美