昔から万能薬とされたホルンダー
5月後半から6月に乳白色の花を咲かせる「ホルンダー」(ドイツ語名)。夏から秋にかけては赤黒い実がなる。スイカズラ科のホルンダーはスイスのいたる所で咲き誇り、昔から薬用植物としても知られている。英語名は「エーデルフラワー」、日本語名は「西洋ニワトコ」。
日本にも分布しており、よく庭に植えられていたことから「庭常」または「接骨木」と書いて「ニワトコ」と読む。かつて枝や幹を煎じて水あめ状になったものを、骨折の治療の湿布剤に用いたためそう名付けられたとか。
「ハリーポッターシリーズ」では主人公が持つ最強の杖の材料として選ばれている。ヨーロッパの多くの国ではこの木に精霊が宿り、切ると不幸や祟りがあるとも伝えられている。
花には抗酸化作用を持つポリフェノールやビタミンAとCを含んでおり、老化や風邪の予防、咳、免疫力アップ、健康維持、美肌・美白などの効果が期待できる。
ヨーロッパでは古来より抗炎症作用があると伝えられており、インフルエンザの予防として飲むことが多い。春は白樺やヘーゼルナッツなどの花粉症に悩まされる人が多く、鼻の通りをよくするために薬局で自然療法としてホルンダーのお茶をおすすめされることもある。
手作りシロップに挑戦!
マスカットやライチのような香りの成分には、緊張や興奮を和らげるリラックス効果が期待できる。筆者は寝る前にカモミールのお茶の代わりにホルンダーのお茶を飲むと、香りに癒され安眠につながる気がしている。花を乾燥させてお茶にするだけでなく、葉や枝もお茶や入浴剤にできるそうだ。
花言葉は、「熱中」「思いやり」「苦しみを癒す人」。スイスに嫁ぎ生活に慣れず日本が恋しかったころ、よくこのシロップを飲んでいたことを思い出した。そのときは花言葉の意味を知らなかったが、爽やかな香りに気分が落ち着きとても癒されていた。
スイスのスーパーや薬局では、ホルンダーのシロップやハーブティー、フレーバーウォーター、キャンディやヨーグルト、シャンプーやハンドクリームなど様々な商品が販売されている。
初夏には自家製の花のシロップを作る家庭が多いスイス。今回は義母と一緒にシロップ作りに挑戦!まずは摘んだお花を風通しの良い場所で2~3日乾燥させる。
【材料】
(1)ホルンダーの花 10束(ミントを代用する場合は約60g)
(2)砂糖 500g
(3)レモン 半分
(4)クエン酸 10g
(5)水 500ml
【ホルンダーブリューテンシロップの作り方】
ホルンダーが手に入らない場合は、ミント(約60g)で代用することをすすめする。クエン酸は薬局にて購入。
ボウルに水を入れ、軽く花を洗う。
花の先端を摘んでボウルに貯める。
摘んだホルンダーの花の上に、カットしたレモンをのせる。
お鍋に水500mlと砂糖500gを入れ、火をつけてゆっくりと溶かす。
砂糖が溶けたら、クエン酸を投入。
花とレモンのボウルに、砂糖とクエン酸が溶けたシロップを流し込む。
粗熱が取れたら、冷蔵庫で3日ほど寝かす。
冷蔵庫から出し、ザルで花とレモンをこす。
さらに布で細かい花をこす。
布できちんとこされて出てくるか気になったが、パーフェクト!
泡が出てくる程度、約80度くらいまで煮る。
煮沸した瓶に詰める。保存は約1年可能。秋に実がなったら、同じ手順で実のシロップも作ってみたい。
花瓶の花は、ホルンダー、アルペンアスター、フウロソウ、フタマタタンポポ。
暑い日にぴったりのドリンク!
冷えた炭酸水とシロップをお好みで割っていただく。氷はお好みで。フルーティーな香りで心身ともに癒され、リラックス効果が高いなぁと再確認!かき氷やパンケーキに使ったり、リンゴを一緒に煮るのもおすすめ。
夏のバーやカフェレストランでは、ホルンダーブリューテンシロップとプロセッコ(イタリアのスパークリングワイン)&ミント&ライム&氷を混ぜた「Hugo(フーゴ)」が流行っている。プロセッコの代わりにシャンパンを使うと、さらに豪華で贅沢な気分に。女性に人気が高い、大人のためのお洒落なシロップの楽しみ方だ。
ミントでシロップを作った方は、ぜひモヒートに!
モヒートは、ラム酒&ミント&ライム&炭酸水&氷&ガムシロップや砂糖で作る。ガムシロップの代わりにミントで作ったシロップを入れるだけ。
キャンプでは、大人も子供も美味しく楽しめるホルンダーブリューテンシロップ。登山では疲れた体と心を癒してくれるはず。この夏は、シロップのさまざまな味わい方を楽しんでいただきたい!