数多のキャンプスタイルがあるなかで、よりシンプルに自然と対峙するブッシュクラフト。最近ではソロキャンプの延長線としてブッシュクラフトを楽しむ人も増えつつあるなど、愛好者が増えつつある。
限られたギアのみを持ち、ロープワークを駆使してその日の寝床を備え、ナイフで木を削り、必要な道具をつくる。そこには焚き火も欠かせない。暖を取るのはもちろん、調理も焚き火でまかなうのがブッシュクラフトスタイル。いわば“野営術”であり、自然のなかで過ごす生活の知恵だ。
そんなブッシュクラフトを愛してやまないのが、お笑いコンビ「うしろシティ」の阿諏訪泰義(あすわ たいぎ)さん。松竹芸能に所属し、各種メディアで活躍している阿諏訪さんは、スウェーデンのアウトドアブランド、フェールラーベンの公式アンバサダーとしての顔も持つ。そんな芸能界屈指のアウトドアズマン、ブッシュクラフターである阿諏訪さんのブッシュクラフトキャンプに同行した。
道具はできるだけ少なくシンプルに。バックパックに収まるのが理想
愛車のジムニーで登場した阿諏訪さん。フィールドをくまなく探索して野営地にふさわしい場所を探す。とくに見ているのは木。最近ではハンモックやタープを使用しているので、幕を吊って張れる場所選びはとくに重要とのこと。適度な間隔でしっかりと立つ2本の木を見つけ、バックパックをおろし、ここを本日の野営地と決めた。
「キャンプフィールドを選ぶポイントは低規格。なるべく自然に近いカタチで、手入れされていないような場所が好きです」
バックパックから取り出したのはDD Hammocksの「DD Tarp 3x3」。軽く丈夫で、取り付けポイントが多いことからバリエーション豊かな設営ができると、ブッシュクラフト愛好者に人気のタープだ。もちろん、ポールを使うこともできるが、阿諏訪さんは2mmと3mmのガイロープを使って幕を張っていく。
ロープワークを駆使してDD Tarp 3x3を設営
2mmのガイロープを短く切り、輪っかをつくる「プルージック・ノット」。そこに小枝を用いることで取り外しやすくなる「トグルヒッチ」テクニックを組み合わせるなど、ロープワークを駆使してテキパキと設営していく。
「トグルヒッチは小枝を引くだけでガイロープを解くことができて楽なんです。パッと撤収するのが好きなんです。プルージック・ノットはタープをピンと張れ、調整もできます。自在金具は…失くしちゃうんで使いません」
グリーンウッドワークでペグをつくり、アディロンダックスタイルのサイトが完成
そこに薪を削ってつくった即席のペグで固定していき、あっという間にサイトが完成した。DD Tarp 3x3の張り方は「アディロンダック」スタイル。屋根部分ができ、焚き火を熱を効率よく内部に取り込む方法だ。
「チェアもテーブルも持っていきません。バックパックひとつと決めていけば、積み込みや片付けも楽じゃないですか」
タープを張り、ブランケットをひく。そこはくつろぎスペースにもキャンピングマット代わりにもなる、ブッシュクラフターのリビングが完成した。
ブッシュクラフター、阿諏訪さんが設営で使用したギア
タープ「DD Tarp 3x3」¥12,100
3m四方の正方形タープ。耐久性と順応性を併せ持つ。スタイルに応じて日差しや雨よけになり、快適なスペースを設けることが可能。3000mmの耐水コーティングを施し、190Tポリエステルで作られている。
DD Tarp 3×3 | ddhammocksjapan : https://www.ddhammocks.jp/product-page/dd-tarp-3×3
マット「イケアで購入したブランケット」
イケアのブランケットをマット代わりに使用。ここに寝袋を入れれば快適な寝床が完成する。
ナイフ「モーラ・ナイフ ウッド カービング120」¥2860円
刃長60mmほどの木彫り用ナイフ。ブレードが短く、鋭利に尖っているのが特徴。樺材のグリップ部が握りやすく細かな作業が行なえる。
MORAKNIV WOOD CARVING 120 / モーラナイフ ウッド カービング 120 │ UPI ONLINE STORE : https://store.upioutdoor.com/products/morakniv-wood-carving-120
キャンプでごはん作って食べるだけはつまらない。もっと自然と触れ合う時間が大事
幕を張ってひと段落したら、フィールド探索に向かうのが阿諏訪さんの過ごし方。自身のYouTubeチャンネル「野あすわ」の撮影も兼ねて、iPhone片手に森の中へと入っていった。キャンプはごはんを作って食べているだけだどつまらない。野草を見つけたり、木や花の種類を調べたり。フィールドワークの時間を大切にする。
「日常でも道すがら野草探しをしてしまいます。犬を飼っているのでよく散歩に行くのですが、ここにミントが生えてるぞ、とか。分からないものは写真に撮って後で調べるのも楽しみのひとつです」
次回は「うしろシティ阿諏訪さんのグリーンウッドワークからの火おこし」編です。お楽しみに!
松竹芸能所属。1983年神奈川県出身。
金子学とお笑いコンビ「うしろシティ」を結成。
得意のキャンプと料理を活かし、キャンプ料理本も出版している。
野あすわ – YouTube :
https://www.youtube.com/channel/UCFoTc4bdk-AuG16Pwezzt0A
取材・撮影/編集部早坂