海外をはじめ旅行が気軽にできなくなった昨今、本を通して旅気分を味わってみるのはいかがだろうか。
旅行に関連した仕事をする作家、編集者、写真家、翻訳家などが組織する団体一般社団法人「日本旅行作家協会」が、作家の椎名誠さんなどを最終選考委員として「斎藤茂太賞」受賞作と「旅の良書2021」8冊を発表した。
「斎藤茂太賞」は、日本旅行作家協会創立会長の故・斎藤茂太氏の功績をたたえ、その志を引き継ぐために2016年に創設したもので、今年が6回目となる。「旅の良書2021」は、斎藤茂太賞の選考過程でセレクトしたすべての作品を対象に、旅の持つさまざまな魅力を読者に伝えてくれる優れた書籍を選出するもので、今年が第3回目の「旅の良書」の発表となる。 第3回目となる今年度は、2020年に発行された書籍の中から選定し、以下の書籍が選ばれた。
『シェルパ斉藤の遊歩見聞録』が「旅の良書2021」に選ばれました!
作家デビュー30周年を迎え、オートバイや耕うん機、ヒッチハイクなど、さまざまなスタイルで旅を重ねてきたシェルパ斉藤さん。国内外で30年以上さまざまな場所の「歩く旅」を続けてきた筆者の集大成ともいえる1冊。アウトドア誌『BE-PAL』での人気連載「シェルパ斉藤の旅の自由型」から厳選されたさまざまな旅先でのエピソードが収録されている。
今こそ読みたい自由度100%の歩き旅
アウトドア雑誌『BE-PAL』連載の中から山、島、村、被災地、海外、長い道、犬連れをテーマに18のトレイルを選び、加筆・修正したのが本書。著者が見た風景やさまざまな人との出会いを共有していくうちに、誰でも自分の足で一歩踏み出すだけで、この幸せを味わえそうな気になってくる。あなたの歩き旅への起爆剤だ。書き下ろしの「30年目の東海自然歩道」は、シェルパさんの原点を知ることのできる貴重な一編である。(BE-PAL2020年7月号より転載・文/三宅直人)
第6回「斎藤茂太賞」受賞作
山本高樹『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』(雷鳥社)
彼らは確かに、そこで、生きていた。氷の川の上に現れる幻の道“チャダル”を辿る旅。 インド北部、ヒマラヤの西外れの高地、ザンスカール。その最奥の僧院で行われる知られざる祭礼を目指し、氷の川を辿り、洞窟で眠り、雪崩の跡を踏み越える“冬の旅”に挑む。人々はなぜ、この苛烈な土地で生きることを選んだのか。極寒の高地を巡る旅を通じて“人生の意味”を問う物語。
「旅の良書2021」に選ばれた他の7冊も紹介!
奥村忍『中国手仕事紀行』(青幻舎)
生活雑貨の店主である筆者が長年続ける、少数民族たちの民具の買い付けの旅の記録。ガイドブックも無いような中国奥地の知られざる魅力が詰まった一冊。
梨木香歩『風と双眼鏡、膝掛け毛布』(筑摩書房)
地名を手掛かりにその土地の記憶をたどる旅へ。訪れた場所に生きる人や生き物の営みに触れ、想いを綴るユニークな紀行エッセイ集。
谷釜尋徳『歩く江戸の旅人たち』(晃洋書房)
江戸時代、庶民に愛された「お伊勢参り」。総歩行距離2000キロ以上にもおよぶ「徒歩」の旅はどのようにして可能になったのかを紐解く。
池田正孝『世界の児童文学をめぐる旅』(エクスナレッジ)
児童文学の舞台を訪れれば、その物語の持つ意味や作者の思いが見えてくる。40年以上にわたって海外児童文学の舞台を訪れた筆者の記録をまとめた1冊。
川原真由美『山とあめ玉と絵具箱』(リトルモア)
イラストレーターでもある筆者が10年以上にわたり親しむ山の魅力を女性ならではの視点で多数のイラストと共に綴った全31篇のエッセイ集。
中村安希『もてなしとごちそう』(大和書房)
旅先で出会った人からもてなされる料理にはその土地ならではの味わいがある。“もてなし”という世界の深さと広さとおいしさを知る一冊。
岡田悠『0メートルの旅 日常を引き剥がす16の物語』(ダイヤモンド社)
Webメディアで人気の70か国を訪れた会社員兼ライターによる、南極の旅から始まり、家の中でのグーグルマップを使うエアロバイクの旅までの16の物語。
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