きれいな葉っぱで葉脈標本を作ってみよう
中学生のころ、理科の実験で「葉脈標本」を作ったことがある方も多いのではないでしょうか?学校の実験では水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を使うことが多い葉脈標本作りですが、今回は薬局で手に入る材料を使って葉脈標本作りに挑戦してみたいと思います。
水酸化ナトリウムを使う方法に比べると、少し時間がかかりますが、安全にきれいな葉脈標本が作れます。夏休みの自由研究や思い出作りに、ぜひチャレンジしてみてください。
植物採取時の注意
葉脈標本を作る葉っぱを採取する時は、植物採取を禁止している場所でないか事前に確認してください。私有地や特別保護区はもちろん、キャンプ場や一部の公園などでも「動植物の採取禁止」をルールにしている場所があります。
また、自然環境にはトゲがあったり、ウルシのように触れただけでかぶれてしまうような植物もあります。採取時は十分気をつけるようにしてください。
材料・道具
・葉脈を取り出す葉っぱ
・アルカリウォッシュ(または重曹)
・小鍋(ホウロウなどアルカリ性に強いもの)
・ゴム手袋
・使い古しの歯ブラシ
・ガラス板(下敷きなどツルツルした板や窓ガラスで代用可)
・レジン液(表面をコーティングしたい場合)
・漂白剤、絵の具や食紅など着色できるもの(着色したい場合)
葉っぱはどんなものでも構いませんが、ヒイラギやツバキなど分厚く頑丈な葉っぱだと葉脈が壊れにくく、成功率が上がります。若く柔らかい葉や枯れた葉は避け、頑丈そうな葉を選びましょう。
アルカリウォッシュは「セスキ炭酸ソーダ」という名前でも市販されています。重曹でも同様の効果が得られますが、アルカリウォッシュの方がpHが高いため、時間を少し短縮できます。
小鍋はホウロウなどアルカリ性に強いものを選んでください。アルミ製の鍋は変色の原因になるため、避けてください。
強いアルカリ性の液体を使うため、手を痛めないよう作業はゴム手袋を着用して行なってください。
作り方
小鍋に水100gに対しアルカリウォッシュ(または重曹)10gの割合で溶かした溶液を用意し、葉っぱを煮込みます。
水が少なくなったら足しながら、中火でコトコトと煮ていきます。
※換気には十分気をつけ、葉っぱをお箸などでかき混ぜる作業は手袋を着用して行なってください。
煮込み時間は植物の種類によって異なり、モミジなど薄い葉なら30分、ヒイラギなど厚くて頑丈な葉だと2時間が目安です。
葉っぱが十分に柔らかくなり、全体的に透明感が出てくるまで煮込んでください。
葉っぱを煮込んだら、手袋を着用して水で優しくすすぎます。
お皿に薄く水を張り、歯ブラシを使って葉肉を慎重に落とします。
葉っぱが十分に柔らかくなっていれば、簡単に葉肉がむけます。簡単にむけそうにない場合は、もう少しアルカリウォッシュを入れた鍋で煮てください。無理に葉肉を剥がそうとすると葉脈まで壊れてしまいます。
逆に少し触れただけで葉脈までバラバラになってしまう場合は、煮込みすぎです。テスト用の葉を1枚用意しておき、様子を見ながら少しずつ試してみるのがおすすめです。
作りたてはきれいな緑色ですが、しばらくすると茶色く変色してきます。今回は行ないませんが、もし着色したい場合は、しばらく水にさらしてアルカリ性を完全に除去した後、漂白剤につけて色を抜いてください。
できたら葉脈標本をガラス板(下敷きや窓ガラスでも可)に張りつけ、上からティッシュなどで軽く押さえて密着させます。
乾いた後、そっと剥がせば葉脈標本の完成です!
葉脈標本はそのままでもいいのですが、とても繊細なため、少しの刺激で壊れてしまいます。手にとってよく観察したい場合や、しおりとして使いたい場合はラミネートするか、レジンでコーティングすると保護できます。
今回はレジンを使ってコーティングします。直射日光が当たらない場所でクッキングシートの上に葉脈標本を乗せ、レジンをまんべんなく塗ります。きれいに塗れたら日光に5分(夏場)〜15分(冬場)さらし、レジンが固まったら完成です。
レースのように繊細な葉脈標本。ぜひお子さまと一緒に作ってみてください。