自然写真家・画家のおくやまひさしさんは、何十年もフィールドに通い続け、気がつけば100万点以上植物の写真を撮影してきた。
その間、新しい品種との出会いも多々あった。

はじめて見つけたオオナルコユリの若芽。草丈は30cmほど。生長すると1mに。草丈は30cmほど。生長すると1mに。
「新潟の湯沢にユキザサを探しに行ったんだけど、斜面に緑の茎がスッと伸びててね。なんか旨そう、もしかしたら……と、太い芽を折って舐めてみたら、少し粘りはあるけどまるで砂糖のように甘い!」
これがはじめて見つけたオオナルコユリ。こんなに甘い山菜はほかには見つからない。
ところが、山地に育つこの野草には、6月ごろに美しい花がつく。

5〜7月に筒状の花が咲く。下向きに垂れる形状を鳴子に見立てたのが名前の由来。
地上部が枯れたものを掘ってみたら、ゴツゴツと連なった丸いイモが出てきた(上のイラスト)。
試しに食べてみたら……こちらも大成功。このイモもやたらと甘いのだ。

根茎は1年に1個増える。ひげ根をきれいに落とし、5㎜ほど薄くスライスする。

地上部の茎はおひたし、根は茹でていただく。何もつけなくても甘さが際立つ。
ただこの山菜は非常に少なくて、よほどの強運の人でないと見つけられないのだとか。

ゲレンデの端の斜面、半分藪で半分原っぱになったところにニョキニョキと生えていた。
おくやまひさしさん

自然写真家であり、画家として植物図鑑なども手がける。山菜名人。体当たりで挑む自然観察がライフワークで、学者とは違った視点と感性で植物を捉える。近著に『サクラ はるなつあきふゆ』『まいて観察! たね図鑑』『木の実のたんけん』『大人の里山さんぽ図鑑』など。
※構成/大石裕美 (BE-PAL 2021年7月号より)