自然写真家・画家のおくやまひさしさんは、何十年もフィールドに通い続け、気がつけば100万点以上植物の写真を撮影してきた。
その間、新しい品種との出会いも多々あった。
「新潟の湯沢にユキザサを探しに行ったんだけど、斜面に緑の茎がスッと伸びててね。なんか旨そう、もしかしたら……と、太い芽を折って舐めてみたら、少し粘りはあるけどまるで砂糖のように甘い!」
これがはじめて見つけたオオナルコユリ。こんなに甘い山菜はほかには見つからない。
ところが、山地に育つこの野草には、6月ごろに美しい花がつく。
地上部が枯れたものを掘ってみたら、ゴツゴツと連なった丸いイモが出てきた(上のイラスト)。
試しに食べてみたら……こちらも大成功。このイモもやたらと甘いのだ。
ただこの山菜は非常に少なくて、よほどの強運の人でないと見つけられないのだとか。
おくやまひさしさん
※構成/大石裕美 (BE-PAL 2021年7月号より)