自宅ではなく旅先で働き(work)ながら休暇(vacation)をとる。水辺や山で遊び、キレイな空気の中、パソコンでテレワーク——。そんな新しいライフスタイルをいち早くエンジョイするビジネスパーソンの一日に密着した。
人材サービス会社勤務
西出裕貴さん(29歳)
オンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」を運営する株式会社「ニット」の社員。社内の組織活性化などの業務を担当。
東京→長野・白馬
大自然の中のぶっとび仕事&遊び術
白馬でのスケジュール
7:30 起床
8:00 青木湖で企画立案など
12:00 ランチ(地のもの)
13:00 滞在拠点でテレビ会議など
17:00 温泉
18:30 現地の方と夕食
22:00 読書
24:00 就寝
青木湖でSUPにゆられながらPCをのぞき込むという大胆なワ―ケーション。喧噪の中では思いもよらないアイデアが生まれる。
西出さんが勤める会社は東京に本社を置くが、コロナ禍以前からフルリモートワークを推奨している。西出さんは出身地である大阪と東京の二拠点を行き来して生活していたが、昨年から日本各地でワーケーションを実践。長野の白馬村が特にお気に入りの場所だという。
「四季折々の美しい風景はもちろんですが、移住者が多いので、誰でも温かく迎え入れてくれるところが白馬の素晴らしいところだと思います。僕は『ADDress』という定額制住み放題サービスを利用して滞在していますが、そこのオーナーが地域の面白い方を紹介してくれるので、仕事や休日の過ごし方が広がり充実した日々を送れます」
白馬で「MONSTER CLIFF」というスノーボード・スキーのリユースショップを経営している佐藤敦俊さん(トシさん)もそんな縁で知り合ったひとり。トシさんはDIYした自宅をコワーキングスペース&遊び場として仲間たちに開放している。ツリーデッキやジップライン、ハンモックなど、あちこちに遊べる場所があってログハウスはまるで忍者屋敷のようだ。
そんなトシさんと西出さんがオススメ&実践するのが「エクストリームワ―ケーション」(通称EW)。高所や水上、雪上など、一歩間違えればパソコンなどの仕事道具をダメにしてしまいそうな場所で大胆に仕事をするというものだ。冗談半分の遊びかと思いきや……。
「これからは斬新なアイデアやひらめきが重視される仕事が増えてくると思うんです。そこで閉鎖されたオフィスではなく、自然のど真ん中で仕事をすることでクリエイティビティーを高めようという、新しいワークスタイルの提案なんです。スノボをしながらとか、僕たちが実践しているのは、かなりやりすぎなところはありますが(笑)」
西出さんは白馬でワ―ケーションを行なう仲間たちと「EW部」を結成し、SUPやスノーボードといったアクティビティーをしながらPCに向かう様子をインスタなどで発信している。
「僕は滞在する地域の創生なども複業として手がけていますが、実はEW部の活動もその一部。白馬の自然の素晴らしさを斬新な方法で広く知ってもらう取り組みでもあるんです」
取材を終えると「さて今日は岩岳の頂上で仕事しようかな」と西出さん。う、羨ましい。
フィールドだと創造力が冴える!
トシさんの自宅の2階に設置されたハンモックに揺られながらPC作業することも。
これが仕事道具
ポケットWi-FiとノートPC、騒がしい場所でも集中を保てるよう高性能なヘッドフォンも携える。
オンライン会議など、落ち着いて仕事したい際にはコワーキングスペースなどを利用する。
旅先には出会いあり
ADDressの滞在者たちと意気投合。一緒にこのトシさんのログハウスに集まって仕事をしたり、遊んだりして過ごすこともある。
サブスク型住居サービスを活用して
多拠点生活を実現!
西出さんは月額44,000円で全国各地にある滞在施設を何度も利用できる定額住み放題サービス「ADDress」を利用。光熱費やインターネットの通信費も含まれているので、移動費を含めても都内で一人暮らしするより生活費は安く済んでいるという。
白馬の拠点は駅近くの「白馬A邸」。個室のほか、コワーキングスペースが用意されている。
荷物が多いときは1か月約4万円(軽自動車)で借りられる格安レンタカーサービスを利用。
※構成/佐藤旅宇 撮影/岩崎竜太
(BE-PAL 2021年7月号より)