世界的スポーツの祭典がはじまった。この東京五輪から、スポーツクライミングやサーフィンといったアウトドアや自然と親和性の高い種目が加わり、いずれも注目を集めている。
新しい競技は、世界の多くの人びとの目に触れる機会にもなり、競技のさらなる発展も期待できる。また、選手の活躍は、そのスポーツ種目に対する世間一般の関心を高めるきっかけにもなっている。
さて、今回注目するのは「カヌーオーシャンレーシング」。読んで字の如く、海で漕ぎ、その速さを競うものだ。この競技がゆくゆくは五輪競技に!? もしかすると次のパリ五輪、あるいはその次のロサンゼルス五輪で、新たな種目になるかも!? という話を聞きつけた。
上記の映像は、昨年神奈川県で行なわれたオーシャンレースの様子。サーフスキーとともにアウトリガーカヌーも出走している。
「日本の競技人口(世界を目指すような)は、恐らく100にも届いていません。でも世界に目を向ければ、レースが盛んに行なわれ、ジュニア世代の選手も育成されていて、盛り上がりを見せているんです」と、話すのは、オーシャンアスリートの大西アキラさん。
大西さんは、2018年と2019年の日本代表選手。長年ライフセーバーとしても活動する海のプロフェッショナルだ。競技で使われるカヤック「サーフスキー」は30年以上、漕ぎ続けている。
サーフスキーは、シットオンタイプのフネ。名前が示す通り、波(サーフ)を滑走(スキー)するようデザインされている。
じつは最近、湘南界隈の海岸ではこのサーフスキーをちらほら見かけるようになり、じわじわ人気を集めている。かつてはライフセーバーがトレーニングの一環で漕いでいることが多かったが、昨今は純粋にパドリングを楽しみたい人が漕いでいる模様。また、コロナ禍の現在、ソーシャルディスタンススポーツでもあるので世界的に愛好者が増えているのだという。
一般的なシーカヤックより必要装備も少なく、ローリング技術も必要ないという手軽さもある。ただ、大西さんは次のように続ける。
「じつは、サーフスキーは乗り手に求められることが多いんです。漕ぐスキルはもちろん、海でのスキルも欠かせません。ある程度の経験を積まないとならないので、講習会などを開いたりしています。最近はSUPやカヤックフィッシングがとても人気が高いですが、事故もかなり起きてしまっています」
サーフスキーの普及が進み愛好者の人口が増えて欲しいと願いつつも、このスポーツを楽しむにはしっかりしたスキルと経験、そして安全面を身につけなければならないと、大西さんは強調する。手軽で始めやすいが、きちんとした技術は身につけたい。
さて、今回実際に乗艇させてもらったが、一般的なシーカヤックよりは細身だ。なので、慣れていないと沈必須、何度か泳ぐことになるだろう……。だが、海面を滑るなんともいえない爽快さ! 速い! 沖を少し漕いだだけだったが、いずれのモデルもスムースな推進力は快適だった。パドリングそのものにとても集中できる気がするので、これはエクササイズとしてもいいかもしれない。たとえレースを目指さずとも、楽しいパドリングライフを始められる予感がした。
「SUP、フォイル、ウォータースポーツは次世代の遊びがどんどん入ってきています。次はサーフスキーですよ!」
まだまだ続く暑〜い夏、海へ漕ぎ出てみてはいかがだろう。
◎参考ウェブサイト
大西アキラさんのHP。サーフスキーのあれこれ、なんでも相談してみよう!
https://www.assurfski.com/
エピックジャパン
https://www.epickayaks.jp/
ノルディックカヤックジャパン
https://nordic-kayaks-japan.business.site/
※構成/須藤ナオミ