9月1日は防災の日。非常持ち出し袋を備えている人も、中身が今の状況にあっているものが備えられているかなど、確認することも大切ですね。なかでも気になるのが、賞味期限のある防災食です。通常の食材より賞味期限が長いこともあり、うっかりすると期限切れで、非常時に食べることができないなんてことのないように確認したいところ。ただ、防災グッズとして、しまい込んでいると、なかなか難しい。取り入れやすい方法があればいいなと思い、マルコメ主催の「みんなで学ぼう!防災料理」のオンラインイベントに参加しました。すると、これはキャンプで作りたい。そんなアイデアいっぱいでした。
防災料理で大切な3つのポイント
防災料理というと、保存できる特別なものを思い浮かべますが、食べ慣れているものを常備することが大切だそう。教えてくれたのは、防災食アドバイザーの今泉マユ子さん。
今泉さんいわく、「ローリングストックがおすすめです」とのこと。
ローリングストックとは、食べ物や日用品を少し多めに購入し、日常生活で古い順に消費し、食べた分を買い足し、補充しながら備蓄する方法のことです。今泉さんは、ローリングストックを含め、3つのポイントを意識して備えておくのがおすすめといいます。
1.好きなものや普段から食べ慣れたものを用意、備蓄する。
災害が起きたときに、食べ方がわからなかったり口に合わなかったリすると、備蓄の意味がなくなるため、普段の料理でも使いなれた食材で保存できるものを備蓄し、家族と備蓄について共有しておくことも大切です。
2.賞味期限の見える化を意識する。
長期保存が可能なものほど、うっかりしてしまうのが賞味期限です。賞味期限は商品によって書かれている場所が違ったり、字が小さかったり、いちいち確認するのを怠りがち。そこでマジックで大きく書くなど、すぐに確認できるようにしておくのがおすすめだそう。
3.電気、ガス、水道が止まったときのことを考える。
被災した場合、ライフラインが止まってしまうことがあります。カセットコンロや水を常備しておきましょう。ここで気をつけたいのが、ガスボンベの使用期限です。あまり意識したことがありませんでしたが、約7年が目安なので、ローリングストックで備えるのがいいですね。
防災料理と聞くと身構えてしまいますが、3つ目のポイントは、キャンプなどのアウトドアでも同じですよね。防災対策としてはもちろん、次のキャンプで試したくなる簡単レシピをご紹介します。
何種類も同時に作ることができる簡単調理
今回のイベントでは、洗いものなし、使用する水も最小限にする今泉さん命名の「お湯ポチャレシピ」から、ご飯とキーマカレー、お味噌汁を作りました。この「お湯ポチャレシピ」とは、ポリ袋の中に食材を入れて作る湯煎調理のことです。ひとつのお鍋で数種類の調理が同時にでき、袋を広げてそのまま食べることが可能というもの。準備するのは、カセットコンロ・ボンベ、大きめのお鍋となべ底にはまるサイズのお皿、トングやハサミ。そして、調理用のポリ袋です。湯煎するため高密度ポリエチレン製のポリ袋を使用してください。
「たくさん作る場合は、1袋にたくさん入れず、袋の数を増やしてください。食材は、厚さが均等になるように平らにしましょう。ご飯なら1膳分ずつ炊けますよ」と、今泉さん。洗い物もなく、一人分からあったかご飯が炊けるなんて、ソロキャンプにもおすすめです。ご飯1膳なら、お米75g(2分の1合)、水100mL(2分の1カップ)をポリ袋に入れ、なるべく空気を抜いて、袋をねじり上げ、上部で結びます。水をはって皿をひいたお鍋にお米と水が入ったポリ袋を入れ、蓋をして火をつけます。沸騰したら中火にして20分加熱。その後、10分蒸らすとできあがりです。ご飯が手軽に炊けるのは便利ですね。鍋底にひいたお皿は、ポリ袋が直接お鍋に触れないためなので、ざるなどでもOKです。
オンラインの参加者はご飯は事前に準備していたため、セミナーでは、キーマカレーとお味噌汁を同じお鍋で作りました。
キーマカレー
材料
大豆のお肉レトルトミンチ 1パック
ミックスビーンズドライパック 1パック
コーンドライパック 1パック
顆粒コンソメ 小さじ2分の1
おろしにんにく(チューブ) 小さじ2分の1
おろし生姜(チューブ) 小さじ2分の1
カレー粉 小さじ1
ケチャップ 小さじ1
塩 少々
水 50mL
作り方
1.器にポリ袋をセットし、すべての材料を入れる。
2.袋の上から揉んで材料を混ぜ、空気を抜いて袋をねじり上げ上部で結ぶ。
3.具材を袋の中で広げ、約10分湯煎する。
湯煎は、90度C以上で一定温度に保つのがポイントです。また、空気を抜いて結ぶときに具材が出てこないように注意しましょう。
お味噌汁
材料
料亭の味フリーズドライ粒みそ 大さじ1
乾燥野菜(乾燥わかめなどでも可) 大さじ1(3g)
水 4分の3カップ
作り方
1.器にポリ袋をセットし、すべての材料を入れる。
2.袋の上から揉んで材料を混ぜ、空気を抜いて袋をねじり上げ上部で結ぶ。
3.5分湯煎する。
キーマカレーと同じお鍋に入れます。ご飯とおかずが同時に同じお鍋ででき、洗いものも出ないのがうれしいですね。トングなどで取り出し、器にそのままポリ袋をいれ、結び目をほどいたら、そのまま食べられます。ただ、お味噌汁は、ポリ袋のまま食べると、横からこぼれ出てやけどする恐れがあるため、器に入れかえるか、スプーンで食べるようにしてください。想像以上に熱々に仕上がるので、入れかえるときも気をつけてくださいね。
袋に入れて揉むだけと、とても簡単ではありますが、実際に作ってみると、揉んでいるうちに具材がこぼれそうになるなど、慣れていないと失敗しそうなポイントもありました。
「材料の分量も、最初は量る必要がありますが、その分量を見て、次からは目分量でできるようになっておくのがいいですね」と、今泉さん。自分の好みの味付けにアレンジもできますし、日常やキャンプで体験しておくと、いざというときに役立ちますね。
今回使用した大豆のお肉は、そのままでも食べられ、パッケージのままの調理も可能です。また粒味噌は通常の生みそと同じ分量で使え、粒状なので、さらさらとしていて和え物にも活用しやすいです。常温保存できるため、キャンプなどに持って行くのにも便利ですね。
防災料理を学ぶというセミナーでしたが、水も貴重で電気やガスを使わないという点ではキャンプと同じ。しかも、数種類のメニューがひとつのお鍋でできるなんて魅力的です。アウトドアでもう1品増やしたいというときのアイデアとしても、覚えておきたいですね。
今泉マユ子さんプロフィール
管理栄養士、防災士、災害食専門員など多くの資格を持ち、防災食アドバイザーとして全国で講演を行なう。「レトルトの女王」「缶詰の達人」 とも呼ばれ、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、WEBサイトなどで活躍中。
お湯ポチャレシピ https://www.youtube.com/watch?v=xioA_xWC1DQ
マルコメ https://www.marukome.co.jp/