「見た目重視から持続性重視のおかいもの」をテーマにした「選ぶ、食べる、サステナブル展」が開催されています。自分自身のお買い物がどれくらいサステナブルなのか、シミュレーション診断ができる体験型の展覧会です。オープンを前に、プレス発表会が開催され、料理愛好家の平野レミさんと料理家の和田明日香さんが登場し、実際にお買い物を体験するとともに、何を基準に選んで買うかなど、お買い物についてのトークが繰り広げられました。そういえばこんな風に意識していなかったな……、と気づきがいっぱいありました。
「選ぶ、食べる、サステナブル展」とは
農林水産省が、消費者庁と環境省と連携し、「あふの環(わ)2030プロジェクト~食と農林水産業のサステナビリティを考える~」の取り組みの一環として2021年9月18日から28日までをサステナウィークとし、「未来につながるおかいもの」を実施中です。この「あふの環(わ)プロジェクト」とは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の2030年までの達成を目指し、持続可能な生産・消費を広めるための活動を推進するプロジェクトです。「スペンドシフト~サステナブルを日常に、エシカルを当たり前に!~」を合言葉に、生産から消費までのステークスホルダーの連携を促進し、今の世代だけでなく次の世代も豊かに暮らせる未来を創造することを目指しているそう。サステナウィークのほか、勉強会や交流会、サステナアワードなどを実施し、個々のメンバーの取り組みについて国内外への発信なども行なっています。
そんな取り組みのひとつとして開催されているのが「選ぶ、食べる、サステナブル展」です。このイベントでは、見た目重視から持続性重視のお買いものをテーマに、サステナブルなお買いものチェックの体験ができます。しかも、なぜそうなのかという答えがその場でわかるのもポイントです。トークイベントに登壇した平野レミさんと和田明日香さんが、軽妙なトークと共に、体験コースを紹介してくれました。
お買いものでサステナブル度をチェック
お弁当のおかずを購入するということで、鮭、ほうれん草、卵、りんごを、選択していきます。まずは、鮭。
「選ぶのむずかしいわね~」という平野レミさんに対して、食育インストラクターの資格も持つ和田明日香さんは、
「まず、裏側を見て表示を見て、添加物が入っていないもの。国産か海外のものかとかを確認します。しっかり作られている物なら、全部書かれているので」と、日ごろからお買い物のときに、食のトレーサビリティーを意識しているそうです。
和田さんは「このASC認証のマーク。近所のスーパーで売ってないんですけど、育て方がサステナブルだったはず」と、育ててくれる人のことも考えないと続かないから、という観点で選んでいました。
「有機JASマーク。体にいいと思うから、これを買うわ」と、マークの付いたほうれん草を選んだ平野レミさんに対し、「働く人のことを考えると、農薬を少し使ったほうが安定的に作ることができる気がする」という和田明日香さん。
それぞれ意見を出し合いながら、お買い物が進んでいきます。そんな中、平野レミさんらしいコメントが飛び出したのが、卵です。
「卵は高い方がおいしいよね。一度食べるとやめられない。これは不幸よ」(平野レミさん)
ユニークなコメントですが、確かに毎日の食事を考えると、家計も気になります。
最後は、りんご選びです。
「おしりのにおいをかぐのが一番いい」と、和田さんが教えてくれましたが、この展示ではレプリカのため色で選ぶことに。りんごの種類によって色も変わりますが、どちらがいいのかおふたりが思い思いの方を選んで、レジに進みます。
実は、それぞれのアイテムにはマークが付けられていて、その数が多いほど、サステナブルなお買い物ができていたということになります。結果は、和田明日香さんが2点で「お買い物リーダー」。平野レミさんは3点。「お買い物ハカセ」という結果に。この結果だけでなく、なぜサステナブルかをしっかり確認することが大切です。
「見た目がきれいなものしかスーパーで売ってないよね。運ぶ人のことを考えると同じ形、同じ色になっちゃうよね」という平野レミさん。
「それって自然じゃない」という和田明日香さん。
流通の無駄を省くために仕方がない部分もあるかもしれませんが、そこを含めて消費者が、まず知ることから始め、考える機会になるといいですね。
この展示とコラボしたお弁当も限定販売
今回、お弁当を作るお買い物として2択の中から選ぶ体験でしたが、このお弁当が、「幸也飯」とのコラボで、東急フードショーで限定販売されています。コラボレーションのお弁当を監修した料理家の寺井幸也さんも登場し、お弁当についてお話してくれました。
「今回は、みなさんが感じやすいように、いろんな方の舌に合うように薄味で調整しました」という寺井幸也さん。
着色料など一切使わず、素材の味が活かされています。
「食材自体のおいしさを感じてもらいたいです。食材のつくられた背景がわかっていると、皮なども安心して使うことができます。選ぶときに、一度立ち止まって、どういう風に作られたかを見て、買って欲しいですね」(寺井幸也さん)
一品作るときに残る食材を別の料理にどう使うか、また、旬の食材を使うことにもこだわっているそうです。
「魚の骨もチンして、フードプロセッサーで砕いてふりかけにするの」という平野さんや、「旬のものって季節に応じて提供されるサプリメントのよう」という和田さん。「幸也飯」のお弁当箱は自然に還る素材のものを使用しているなど、地球の循環を考え、取り組んでいる3人のトークが繰り広げられました。
「必ず自分に還ってくるから他人事じゃない。その視点を持つだけで変わるはず」という和田さんの言葉が心に残りました。
お買い物度チェックを体験
トークイベントがオンラインだったので、その後、「選ぶ、食べる、サステナブル展」に足を運んでみました。おふたりのお買い物シーンを見た後だったこともあり、満点の結果に。ただ、いつも行くスーパーでASC認証のシールをなかなか見かけなかったり、有機野菜のコーナーが少なかったりするので、まだまだ広まっていないことを実感するとともに、できることから自分自身の買い物を変えていこうと思いました。
また、「幸也飯」とのコラボ弁当は、1日10食限定で、渋谷東急フードショーで販売中です。筆者も食べてみたところ、薄味とのことでしたが、噛めば噛むほど素材の味が口の中に広がりました。焼き鮭は、鮭ってこんなに味わい深かったっけと思うほどの驚きがあり、素材選びのこだわりと、素材を生かす調理のすばらしさを改めて感じました。
毎日の食事は、私たちの体を作ってくれるものなので、体にとっていいものを選びたい。それが環境に配慮され、サステナブルな作り方をされていると気持ちもやさしくなれますね。形や色で選ぶのではなく、その食材の背景を知って選ぶことで、作り手のみなさんを応援することにもなります。サステナブルなお買い物チェックで、自分のサステナブル度を確認して、もう一歩先に進むきっかけにしてみませんか。
選ぶ、食べる、サステナブル展
https://www.itochu.co.jp/ja/corporatebranding/sdgs/about.html
期間:2021年9月18日~10月10日
時間:11:00~18:00※休館日:毎週月曜日。月曜が休日の場合翌営業日が休館。
会場:ITOCHU SDGs STUDIO(東京都港区北青山2-3-1)
料金:入場料無料