最近、巷では色々なものをゲットしてコレクションする遊びが流行っている。僕が日々一緒に遊んでいるネイチャー幼児達も、巷の流行に遅れをとることなくコレクション好きだ。
彼らが集めているのは「樹皮の模様」で、僕たちは「魚拓」ならぬ「たくぼく」と呼んでいる。集め方は簡単かつ100%アナログな方法で、コピー用紙を樹皮にあててクレヨンでこすり出して模様をゲットしていく。
きれいな「たくぼく」をとるには、ポイントが3つある。まずは、コピー用紙をしっかりと押さえてくれる仲間が必要であること。ふたつめは、クレヨンをいつもと違う持ち方、使い方をしなくてはならないこと。そして模様を出す前に実際に樹皮を触り、出したい模様を想像することだ。
説明が終了する前に、子供達は森の中を四方八方へ散らばっていく。まずは誰がたくぼくをとって、誰が紙を押さえるかの一悶着があった後、作業があちこちではじまる。
コレクションするべき木の選び方に、こだわりがあってものすごく面白い。同じ樹種だけど、微妙な模様の違いを集める女の子。周辺のお友達のコレクションを見て、自分は違うのを探す男の子。納得がいく木の模様に出会えずなかなか1枚目が始まらない子など、見ているだけでその真剣な思考とまなざしにニンマリしてしまう。
もちろんこの遊びには、どれがレアな樹皮模様でどれがありふれた模様なんていう仕分けはない。子供達ひとりひとり、自分が気に入ったものを探せればそれで良いのだ。「自分のもの」を探すからこそ、この遊びに夢中になれる。光、風、虫、音・・・と、たくさん気を散らすものが周りにある中で、その夢中になる時間が子供の成長にとってとても大切なのだ。
ある子供は、おでこに蚊がとまっているのにクレヨン作業を止めたくないがために「おい!蚊!おまえどっかいけ!」とおでこの蚊に怒鳴りながら作業をしていた。もちろん手で払ってあげましたが、この誰にも邪魔をさせない集中力と気迫は間違いなく未来の日本を元気にしてくれる力になるだろうなあ。
ちなみに、悪天候で外に出られない時などに、たくさん集あつめたたくぼくを使って大きな木をみんなでつくるのだ。こっちもたのしみだなあ~。
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長谷部雅一
アウトドアプロデューサー。
アウトドアイベントの企画・運営を手がける「Be-Nature School」スタッフ。人と自然をつなぐインタープリターとしても活躍中。
著作に『ネイチャーエデュケーション』1300円+税 みくに出版