子どもからお年寄りまで、幅広い層が楽しめる気楽な登山として、低山ハイクの人気が高まっています。生活に身近な里山は絶好のフィールドです。
今回は登山初心者におすすめな、低山ハイクの魅力をお伝えしたいと思います。
そもそも低山とは?
実は、高山と低山には、明確な定義はありません。山の区分では500m以下の山が低山性山地とされています。しかし、これらの分類も研究者によって異なるのが現状です。一般的には標高500m以下の山が低山と認識されています。
低山ハイクの魅力とは?
1.気楽に日帰りハイクができる
一般的な低山は、高山のように綿密な登山計画をしなくても、気楽に出かけることができます。日帰りの低山ハイクならば、本格的な登山用の装備がなくても大丈夫です。普段から履きなれた靴と動きやすい服があれば、すぐに始められます!
2.子ども連れでも安心
道が整備されている低山ならば、子ども連れでも安心です。中にはロープーウェイが通っている山もあります。
子どもは大人と違い、体力のペース配分ができずに、ばててしまうことがあります。ロープーウェイがある山ならば、子どもが疲れてしまった場合、行きは徒歩で、帰りはロープーウェイという選択もできますね。
また、子ども連れで低山ハイクへ出かける場合、あまり登頂は目的とせず、「子どもと一緒に自然を楽しむことができれば成功」ぐらいの、ゆったりとした気持ちで出かけることをおすすめします。
3.展望が良い山も多い
「標高が高いところに行かなければ、素晴らしい景色は目にできない」とお考えの方も多いと思いますが、そんなことはありません。標高500m以下の低山でも、頂上からの素晴らしい展望が望める山が多くあります。
4.人が少ない
アルプス山系の有名な山と比べて、低山は登山客が少なく、登山道が人で混雑することはほとんどありません。人が少ないぶん、歩くことに集中がしやすく、景色や木々、川の流れなどの自然をより深く堪能できます。
ただし、人が極端に少ない低山は、登山道の整備が不十分なことがあります。荒れた登山道は、遭難の恐れがあるので、初心者にはおすすめできません。低山といえども、極端にマイナーな山へは、読図や応急処置の方法などの知識を得てから出かけましょう。
5.低山ハイクは冬がハイシーズン!初心者も出かけることができる。
登山のハイシーズンである夏が過ぎ、紅葉の秋が過ぎると、冬山登山のスタートです。冬山登山は、冬山装備や、高い経験や技術が必要になるので、どちらかというと玄人むき。しかし、平地の環境に近い低山ハイクならば、冬がハイシーズンです。
低山は標高が低いので、気温が極端に下がることがありません。冬場の低山ハイクは、適度に身体が温まるので、快適に歩くことができます。逆に、夏場の低山ハイクは、平地と変わらずに気温が高く、体力の消耗が激しいので、個人的にはおすすめできません。
実際に低山ハイクに出かけました
出かけたのは房総のマッターホルンこと伊予ヶ岳
出かけたのは千葉県の房総エリアにある伊予ヶ岳。
伊予ヶ岳の特徴といえば、麓からも望める、突き出た岩峰です。その景観から、房総のマッターホルンとも呼ばれています。関東百名山に数えられ、人気があるので、秋から春先にかけてのシーズンの週末には登山客でにぎわう山です。初心者でも山頂から麓までを、1時間ほどで往復できます。
ちなみに、著者の住んでいる千葉県の南房総エリアは、500m以下の丘陵地帯が広がり、都心からのアクセスも良い地域。今回ご紹介した伊予ヶ岳以外にも、初心者でも挑戦できる山が多くあります。
登山のスタートは平群天神社
登山口は平群天神社の奥にあります。神社を正面にして左側に進みましょう。
登山道はよく整備されており、本格的な登山靴でなくても、普段から履きなれた靴で歩くことができます。著者の足で20分ほど歩くと、富山(とみさん)への分岐点を通過し、見晴らしのいい場所に出ました。
屋根のある東屋があるので、一息つくのにぴったりです。眼下には平群の集落と南側の山々が望めます。
本格的な鎖場もある
東屋を過ぎると、今までの登山道よりも傾斜がきつくなり、鎖やロープを頼りに登る鎖場が続きます。ただ、鎖場といっても、慎重に進めば誰でも登ることができるほどの鎖場です。著者の6歳になる娘でも、登ることができました。
鎖場は道が細くなるので、混雑しているときは譲り合いが必要です。登りと下りでバッティングしてしまった場合は、どちらが先に行くのか、お互いに声を掛け合うようにしましょう。また、鎖やロープの破損による事故を防ぐためにも、鎖やロープに取りつくのは一人ずつにしましょう。
山頂はぐるり360度の絶景
著者の足で10分~15分ほど鎖場を登ると、南峰山頂に到着です。安全のために山頂は柵で仕切られています。
そこからの景色はぐるり360度の絶景!眼前には御殿山や、対になったピークを持つ富山(とみさん)を望むことができ、遠くには東京湾、天気が良ければ伊豆半島も望めます。
頂上には広いスペースはありませんが、頂上の岩場の真下には机とベンチが設置されています。
南峰山頂から著者の足で5分ほど足を延ばすと、北峰山頂に着きます。北峰山頂からは、先ほどまでいた南峰山頂の岩場を眺めることができます。
山頂を堪能したら来た道を戻りましょう。登山中の事故のほとんどは体力と集中力が切れる下山中に起こります。麓に着くまで、十分に注意して下山しましょうね。
アクセス情報
公共交通機関
JR内房線「岩井駅(北口)」から市営路線バス富山線「天神郷」下車
マイカー
館山自動車道 鋸南富山ICから県道184号を経て平群天神社駐車場
駐車可能台数:約20台 料金:無料
伊予ヶ岳データ
山頂所在地:千葉県
山域:房総半島
標高:約336M
さいごに
低山ハイクは、登山経験が浅い初心者でも気楽に楽しむことができます。わざわざ遠出をしなくても、身近な自然を満喫できるのが低山ハイクの魅力です。これからがシーズン本番!ぜひ挑戦してみて下さいね。
※地域の新型コロナウイルス状況を必ずご確認ください。