【小豆島お遍路】手つかずの自然と海の青さが際立つ三都半島をたっぷり歩く一日(モデルコース6日目)
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    2021.10.11

    【小豆島お遍路】手つかずの自然と海の青さが際立つ三都半島をたっぷり歩く一日(モデルコース6日目)

    5日目を26番阿弥陀寺で終了し、オリーブ公園周辺で宿泊された方もバスで各宿泊地に宿泊された方も、オリーブ公園の南にある「オリーブナビ」という観光案内所を始点にお遍路道に戻っていきます。

    6日目は約16km:28番薬師堂〜33番長勝寺

    オリーブナビの前に広がる風景。夏は海水浴などを楽しむ人で賑わいます

    オリーブナビを出発し、小豆島の南に長く突き出ている三都(みと)半島へ向かいます。

    この三都半島、目立った観光施設はなくバスの本数も少ないため、初めて小豆島観光に訪れる人にはほとんど知られていません。しかし車道は海岸線をグルっと周っており、海の景色を楽しめるためサイクリストやライダー、カヤックやSUPを楽しむ人など、アウトドアファンには人気のスポットなのです。

    お遍路道は下記の地図のように、この半島の半分くらいを周るようになっています。

    歩き始めてすぐ、地図内の①②のようにルートが2つ分かれている所があります。

    オリーブナビからアスファルトで舗装された道を歩き、集落を過ぎると山側へ導くように車道脇に作られた、お遍路道のサインがある階段があります。これが分岐点となります。

    ①のルートでは、階段を登り山側を歩きます。眺望は開けていませんが木陰が多いので夏には良さそうです。車が通れるくらい整備されていますが、実際は車がほぼ通らないので歩きやすいです。

    道中、「飯神山登山口」と「長崎のしし垣」を通り過ぎます。長崎のしし垣の後、一軒家の横に建つアンテナがあるところで道が二手に分かれています。左手(海側へ出る方)を進みます。

    ※ここには遍路道のサインがないので要注意。右手の道は旧遍路道でしたが、28番の薬師堂の場所が海側へ変わって以来、右手へそのまま進むと山から旧薬師寺の場所を経て現在の薬師堂へ降り、また山へ登ることになります。結構な遠回りです。

    元の場所に置かれている移転のお知らせ

    小蒲野のバス停あたりに出たら、そのまま海岸に沿って薬師堂へ。この辺りで大きく開けた海の絶景が見られます。

    ②のルートでは、山手へ行かず、海側の車道をそのままずっと道なりに歩きます。海の眺めに癒されますがずっとアスファルトの道なので夏は厳しいかも。道幅が狭いところがあるので車が行き交う時は要注意。

    薬師堂手前の海岸線。視界が急に大きく開けて爽快な道

    28番薬師堂に着きました。納経は30番正法寺にていただきます。

    この後また山手に戻り三都半島の西側へと移りますが、その間お遍路らしい山道を歩きます。地図内にも書かれていますが急な坂道を登り切った後は、ウバメガシの林がトンネルのようになっていて、土もフカフカしていて歩きやすい道。個人的には小豆島遍路の道の中でも特に好きな道です。

    山道を出ると、また素晴らしい海の眺望とともに29番風穴庵(かざあなあん)が現れます。

    29番風穴庵。建物の中に小堂があります。納経は30番正法寺にて。

    風穴庵の前に広がる景色。遠くに見えるのは神浦と呼ばれる集落

    お遍路道では行きませんが、この風穴庵からさらに南へ行くと海の色がさらにキレイになります。風穴庵からは三都半島の折り返し、北に向かって進みます。

    ここから先はほぼアスファルトに舗装された道ですが、「吉野」と呼ばれる集落の手前で少しだけ山道へ。その短い遍路道を抜けると田園の広がる豊かな吉野と30番正法寺(しょうほうじ)が現れます。

    30番正法寺。やや小さいながらもどっしりと落ち着いたお寺

    次はまた海岸線に沿ってアスファルトの車道を進み、31番誓願寺(せいがんじ)へ。

    山門をくぐると目の前にとてつもない存在感の蘇鉄(ソテツ)がお目見え。なんと樹齢千年を超える大木で、日本一の蘇鉄として国指定の天然記念物となっています。この蘇鉄から左手奥へ行くと岩を使ったこれまた美しい庭園があり、本堂はその上にあります。

    ここから保寿寺庵へ向かう道から少し外れたところに32番の奥の院、大師堂があります。こちらへもちょこっとご挨拶へ。

    34番保寿寺庵(ほじゅじあん)。室生(むろう)集落の中央、小高い丘の上にあります。納経は32番愛染寺にて。

    ここから少し進むと公共の大きなレジャー施設、小豆島ふるさと村に出てきます。この日歩き始めて約14km、やっと出会う飲食店が敷地内にあります。しかし閑散期にはお茶やスイーツだけで食事メニューがないこともあるため、お昼ご飯用の休憩場所として計画するなら、事前に営業日やメニューの確認をしておきましょう。大浴場のある国民宿舎やコテージ、設備の整ったキャンプ場もあるので、5日目または6日目の宿泊施設の候補でもあります。

    32番愛染寺(あいぜんじ)はふるさと村を出てすぐ。ふるさと村と海を見下ろす丘の上にあります。

    名前から察するようにご本尊の愛染明王は縁結びの仏として知られています。

    愛染寺を出てトンネルを抜けたところ。池田地区に入ります。

    ふるさと村の看板の下にある「城山桜公園」、桜と海のコントラストが見事な名所です。ドラマの撮影でよく使われている場所もあって、観光客にも結構な夕陽人気スポットになっています。(トップの写真は城山桜公園の写真です)

    池田の集落に入ってすぐに見かける、気になる地形のこの場所。モデルコース一日目でもご紹介した、10月に各地で行われる太鼓祭りの池田地区「池田亀山八幡宮秋季例大祭」ではここが舞台となり、石造りの桟敷に人々が座って祭りを見学します。

    さてこの日最後の札所、33番長勝寺は亀山八幡宮のすぐ近くにあります。

    本堂へは、納経をいただく社務所の中を抜けて行くのがちょっとおもしろい。社務所を出ると、どーーんと立派な本堂が現れます。また、長勝寺では重要文化財がいくつか保存されており、興味のある人はゆっくり時間をかけて見物したいところ。そのうちの一つは、3体の本地仏座像(ほんじぶつざぞう)です。

    「本地仏」とは首から上は仏様、下は神様の姿をしている仏像のこと。仏が人々を救うために神の姿で現れるという「本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)」を具現化した全国的にも珍しい作例だそうで、ファンの方も度々見に来られるのだとか。

    普段は鍵をかけて保管されていますが、希望すれば快く見学させていただけます。お疲れさまでした!

    6日目は約16km、距離はやや短いですが次の7日目に向けて区切りがいいのでここで終了します。前半は黙々と自然の中を歩き、後半は立派なお寺参拝が続いた一日でした。

    6日目の宿泊

    この日の宿泊候補は2つあります。

    ①途中で通過した小豆島ふるさと村で宿泊。
    ②池田の小豆島中央病院あたりからバスで土庄方面へ移動。ホテル、民宿、ゲストハウス、選べます。7日目の最後には土庄に帰って来るので、2泊続けて同じ宿に泊まるなら荷物を置いて身軽に歩けます。

    いよいよ次は7日目、最終日です。最後の日も絶景あり棚田風景ありの盛りだくさんな一日です。お楽しみに!

    6日の道中で見かける見どころスポット

    最後に、6日目のお遍路のルートではありませんが、道中で見かけるお遍路以外の見どころスポットを紹介します!

    飯神山

    登山口までは車で行くことができ、そこからわずか30分くらいで頂上まで行けます。それなのに岩場などチャレンジな場所あり、かつ頂上からは絶景あり、と、子連れ(4歳以上推奨)でも行ける密かな人気ハイキングコースです。

    頂上の一つ手前の岩から。頂上も大きな岩場です。

    長崎のしし垣

    この付近で唯一の観光地と言える場所で、小豆島町の指定有形民俗文化財にも指定されています。「しし垣」とは猪や鹿からの農作物の被害を防ぐために小豆島中に作られた壁のこと。お遍路中にもあちこちで見かけることができますが、小豆島町はこの長崎地区と橘峠の物を文化財としています。

    看板の場所から草むらを分け入り、延々と続くしし垣をつたって海が見えるところまできたところ。土壁のしし垣は全国でも珍しいそうです。

    池田の太鼓祭り

    本文でも紹介した池田亀山八幡宮秋季例大祭。小豆島の中でも、池田の太鼓祭りは特に有名です。その理由の一つが先ほどの三都半島の先、神浦地区からなんと太鼓が手漕ぎの船で運ばれてくる「押し込み」が見られること。私は残念なことにまだ押し込みは見れていませんが、秋にお遍路を歩くならぜひタイミングを合わせて見学に行ってみて欲しい行事です。

    釈迦ヶ鼻(しゃかがはな)園地

    三都半島最南端には、釈迦ヶ鼻(しゃかがはな)園地があります。春には早咲きの河津桜が見事な芝生広場があり、その下には白く長いビーチが広がっています。

    釈迦ヶ鼻(しゃかがはな)園地の芝生広場

    芝生広場の下の長い長いビーチ。沖を行きかう船を間近に見られます

    またこの三都半島では、瀬戸内海界隈で3年に一度開催されている瀬戸内芸術祭のみならず、独自の「三都半島アートプロジェクト」も定期的に開催されています。芸術祭期間以外もそのまま残されている作品もあるので、ぜひ時間を作って大自然とアートを一緒に楽しみに来ていただきたいと思います。

    瀬戸内芸術祭作品の一つ、潮耳荘

    私が書きました!
    ゲストハウスオーナー
    アイエアナロン範子
    ゲストハウス「Sen Guesthouse」を夫婦で経営。香川県出身。ニュージーランドのホステルで働いてから、世界中の旅人が「自分の家」のように帰ってきてくれるゲストハウスを将来作りたいなぁと大阪のゲストハウスで修行した後まずは松山で6年半ゲストハウスを開き、Senの第二幕として小豆島へ移ってきました。四国から、関西・本州・世界に近い立場として、もっともっとディープな四国ファンを増やしていこうと思います。

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