多くの人が1度は憧れる「ファイヤースターター」を使った火起こし
焚き火の最初の段階で必要となる、火起こし。
ライターやマッチで簡単に火を起こすのは味気ないと、ファイヤースターターの使用にこだわる人も多くいます。
今でこそライターの使用に落ち着いている人でも、「過去にファイヤースターターでの火起こしに挑戦した経験がある」というケースも少なくないはずです。
自然のなかを散策し、火起こしに使用する素材を集め、シュッシュッと火花を飛ばして火を手に入れる。
そんな様子をYouTubeなどで観ると、そのワイルドさに強く惹かれてしまいますね。
今回はキャンプ場や自宅の周辺で採取できる植物のなかから、ファイヤースターターでの火起こしに適した素材をピックアップします。
ファイヤースターターでの火起こしを体験したことがないのであれば、ぜひこの魅力に触れてみてください。
【ススキの穂】ファイヤースターターで一発着火
秋の風物詩でもあるススキ。火起こしにおいて、非常に使いやすい植物です。
秋が深まるとともにフワフワとした“わた状”に変化するススキの穂は、ファイヤースターターを用いて簡単に着火できます。
基本的に群生しているため、同じ場所で大量に手に入る点もススキの穂のいいところ。
採取できる時期が限られていること以外は、きわめて優秀な天然の着火剤です。
【猫じゃらし】ススキの穂に負けない着火性
その特徴的な見た目から、多くの人が子どもの頃に遊んだ経験を持っているであろう、猫じゃらし。
ススキの穂と並ぶほど、着火しやすい素材です。
ただしススキの穂とくらべると1個1個のサイズが小さく、1か所に生えている本数も少なめ。そしてすぐに燃え尽きてしまう弱点もあります。
大量に手に入れるには少々骨が折れるため、ススキが手に入らない場合には探してみるといいでしょう。
【枯れ葉】おすすめは針葉樹の葉っぱ
木が生えている場所には、かならず落ちている葉っぱ。
ススキの穂や猫じゃらしほど簡単ではありませんが、水分がしっかり抜けた枯れ葉は、ファイヤースターターの火花で着火できます。
枯れ葉は広葉樹のものでも火起こしに使用できますが、スギやヒノキなど、針葉樹のものが理想的です。
ちょっとでも火がつくと、またたく間に激しく燃えあがります。
時期によっては、木のまわりを覆い尽くすほど大量に落ちているので、そのなかから手で触るとパリパリと砕けるほど乾燥しているものを選びましょう。
【スギやシラカバなどの樹皮】火を育てるのにも役立つ
木の下を注意深く見てみると、剥がれ落ちた樹皮が見つかることがあります。なかでもスギやマツやシラカバなどの樹皮は、立派な天然の着火剤。
とくにスギの樹皮は繊維っぽいのが特徴で、ナイフで削いだり手でほぐして繊維をまとめれば、そのままファイヤースターターで着火可能です。
着火できたところで余っている樹皮を追加すれば、すぐに大きな炎に変わります。着火から火を大きく育てるところまで対応できるのが、樹皮の強みです。
ただし、採取するのはあくまで地面に落ちているもの。生えている木からはぎ取るのはやめましょう。
【松ぼっくり】かわいい見た目に秘めたポテンシャル
特徴的でかわいらしい見た目から、オブジェやインテリアグッズにも取り入れられる松ぼっくり。
ですがキャンプ好きな方たちは、それとはちがった価値観のもと、落ちている松ぼっくりに視線を送っています。
松ぼっくりはひとたび火がつくと、激しく、そしてある程度長い時間燃え続けることから、着火剤として非常に優秀。そして入手がしやすいことも魅力です。
松ぼっくりがなるマツの木は分布が広く、秋になると拾いきれないほど大量の松ぼっくりが落ちています。
そのなかから、傘がよく開いている大きめのものを選びましょう。
ファイヤースターターでの着火は難易度が高いので、火がつきやすいススキの穂や枯れ葉とあわせて使うのがおすすめです。
火起こし用の植物を採取するときのポイント
火起こしに使用する植物を採取する際、ただやみくもにおこなってはいけません。以下の3つのポイントを意識しましょう。
・よく乾燥しているものを選ぶ
・必要以上に採取しない
・落ち葉や枝を採取してはいけない場所もある!
1つ目の「よく乾燥しているものを選ぶ」については、着火のしやすさに関係するポイントです。
乾燥しているほど着火が簡単なので、見た目や手触りを頼りに、水分がしっかり抜けているものを選びましょう。
2つ目の「必要以上に採取しない」に関しては、感覚的な問題も含まれます。
自然に生えている植物を娯楽のために使うのであれば、そこにはある程度の節度を保つべきと考えます。
たとえ落ちている葉っぱや樹皮であっても、自然のサイクルのなかにある存在。自然に対する敬意は忘れずにいたいものです。
3つ目の「落ち葉や枝を採取してはいけない場所もある!」は、おそらく知らない人も多い、超重要なポイントです。
他人の私有地にむやみに入ってはいけないのは当然として、注意すべきは「国立公園」や「国定公園」。
この2つのなかでも「特別保護地区」に指定されるエリアでは、落ちている葉っぱや枝でさえも採取が禁止されています。
自分がいる場所が国立公園や国定公園でないか、特別保護地区のなかに入っていないか、不安な場合はその場で調べましょう。
以上のように注意すべきことはありますが、自然のなかで火起こしに使える植物を探し回るのは楽しいものです。
たまにはライターなどの便利な道具に頼らず、苦労して手に入れた火のありがたみを感じてみるのもいいのではないでしょうか。