紅葉ベストシーズンに入る前に、保育園の年少さんで4才の娘と山登りへ行くことにした。目的地は高尾山山頂。僕たちは、せっかくなのでこれを“高尾山プロジェクト”として、ひとつの長期型のプロジェクトにした。
長期型のプロジェクトを行ううえで、幼児にとって大切なのは以下の3つ。
1:具体的でワクワクするイメージが本人に次々と沸いてくること
2:自分で納得して決めること
3:じっくり待つこと
この3つを満たしてあげると、たとえきかん坊の我が子と親の関係であっても目標に向かって楽しく進んでいくことが出来るのだ。
このプロジェクトの最初のミッションは「高尾山にはどんな生き物がいるのか?」を調べることから始まった。
図鑑を開いて、高尾山で出会えそうな動物を探す。
うんこの大きさや形、どんなところに住んでいるのか?何を食べるのか?など、彼女の興味が向くままに調査は多岐にわたって進んだ。
その後は持ち物や前日やること、当日の着替え、おやつを一緒に買いに行くなど、ひとつずつミッションをクリアしながら本番をむかえる。
意気揚々とスタートしたものの、歩き出し15分で彼女の計画は変更になる。出だしでいきなりおにぎりを食べはじめ、面白い葉っぱを探し、カタツムリに魅了され、無駄に疲れそうな悪路を進むという、大人からすればいっこうに頂上にたどり着きそうもないペースで山頂を目指した。
それでも、電車ごっこや、吊り橋走りを行い、頂上では約束のソフトクリームを顔いっぱいにほおばるところまではミッションは進む。最後の課題は「空飛ぶ椅子」に乗って下山すること。
ここが今回なかなかの難関になった。
寄り道が多かったために、山頂までトータルで5キロほどは歩いただろうか?
山頂から「空飛ぶ椅子」があるエコーリフト乗り場までの下り道が彼女にとってもっとも長い道のりになった。
歯を食いしばり、無言でトボトボ歩く娘。僕たちはそれを心の中で応援しながら同じペースで歩いた。
この日は我が家にとって今までのどんなことよりも濃密な時間だったように思う。それだけに彼女は間違いなくこのプロジェクトを通して大きな何かを手に入れたようだ。
世間では、「プロジェクト型保育」など、中朝期間をかけて何かに挑戦することの大切さが見直されている。これに予測しきれない楽しい自然をミックスすることで、幼児の成長は数倍にもなったように感じたのでした。
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長谷部雅一
アウトドアプロデューサー。
アウトドアイベントの企画・運営を手がける「Be-Nature School」スタッフ。人と自然をつなぐインタープリターとしても活躍中。
著作に『ネイチャーエデュケーション』1300円+税 みくに出版