冬のキャンプは多くの装備が必要になるため、敷居が高そうと思いがちですが、ほかの季節にはない楽しみがあります。今回は冬キャンプに欠かせないアイテムの一つであり、寒い時期ならではの醍醐味でもある『薪ストーブ』の選び方やおすすめ商品を紹介します。
薪ストーブは高い?安い?
一般的に薪ストーブというと高価なイメージがあるかもしれませんが、キャンプ向けならどの程度で購入できるのでしょうか?選び方の前に、価格帯を確認しておきましょう。
素材や機能によって価格帯は異なる
薪ストーブの価格は素材や機能によって大きく異なります。
たとえば、簡単な構造の初心者向け薪ストーブであれば、1万円以下で購入できる商品も少なくありません。しかし、ある程度の性能や条件を求めるなら4万円前後の予算が必要です。
また、有名ブランドや高機能なストーブは10万円を超えることもあり、価格帯は非常に幅広くなっています。
加えて、テントの中でも使えるものや、野外で使うことに特化したものなど、さまざまなタイプがあります。薪ストーブを選ぶ際は、自分のキャンプスタイルから素材や求める条件などを考慮して選ぶとよいでしょう。
キャンプ向けの薪ストーブの選び方
キャンプで使う薪ストーブは、屋内用とは違うチェックポイントがあります。実際に薪ストーブを使うシチュエーションを考慮しながら、素材・機能などを吟味しましょう。
テント内で使うなら煙突付き
テント内で薪ストーブを使用できれば、冬キャンプのハードルを上げている『寒さ』を一気に解決することができます。
しかし、薪ストーブをテント内で使う際には十分な注意が必要です。密閉されたテントの中で薪ストーブを使用すると一酸化炭素中毒になる危険性があるためです。必ず、テント内の使用を可能としている煙突付きの製品を選びましょう。
同時に、テントが薪ストーブに対応しているかどうかも確認しておくと安心です。煙突は非常に高温になるため、場合によっては燃えてしまう危険性もあることを知っておきましょう。
薪ストーブをテント内で使う場合、テントとストーブ両方への注意が必要です。
素材は「ステンレス製」と「鉄製」
薪ストーブには主にステンレスと鉄の二つの素材が使われています。素材によってメリットとデメリットがあるので、自分のキャンプスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
ステンレス製のストーブはサビにくく手入れが簡単なのがメリットです。しかし、鉄製のストーブより価格が高い傾向にあり、暖まるまでの速度がやや遅い(熱伝導性が低い)という特徴もあります。
一方の鉄製ストーブは、定期的なサビ対策が必要ですが、耐久性や熱伝導性が高く、暖める速度が速いという特徴があります。また、片付けるための放熱時間が短いのもメリットといえるでしょう。
日頃からメンテナンスができるのであれば鉄製のストーブを選び、簡単に薪ストーブを楽しみたいのであればステンレス製を選ぶ、というのも一案です。
対応している調理方法を確認する
薪ストーブは、発生する熱を利用して天板でお湯を沸かしたり煮炊きに使ったりすることができます。
中には、さらに凝った調理までできる薪ストーブもあります。たとえば、天板を取り外して直火調理ができる、バーベキューグリルを兼ね備えている、オーブンやかまどとしても使用できるなど、多様なモデルが出ています。
薪ストーブで料理を楽しみたいと考えている人は、さまざまな調理法に対応できるタイプを探してみるとよいでしょう。
おすすめのキャンプ向け薪ストーブ
注意点や選ぶ際のポイントをおさえたところで、どのような商品があるかを確認してみましょう。今回はキャンプをする際におすすめの薪ストーブを3つピックアップしました。
ペトロマックス「LOKI2」
ペトロマックス『LOKI2』は『手軽に移動』をコンセプトに設計された組み立て式のスチール製です。スタイリッシュなデザインと使いやすさを兼ね備えた、人気の高いモデルです。
薪をくべる扉が耐熱性のガラス窓になっていて中が見えるほか、空気の取り込みを調整できるスライダーも備わっており、燃える炎を眺めながら火力調整が可能です。天板を使って湯沸かしや煮炊きも難なく行なえます。
背面にある灰受けトレイのおかげで、使用後の灰を簡単に掃除できるのも嬉しいポイントです。
また、公式販売されているアタッチメントを購入すれば、テント内でも使用できます。
コンパクトに持ち運べて組み立てや片付けも簡単、使用中も快適そのものと、『価格に見合った高い品質』が魅力的な商品といえるでしょう。
- 商品名:ペトロマックス「LOKI2」
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テンマクデザイン「ウッドストーブサイドヴューMサイズ ケース付き2点セット」
グッドデザイン賞を受賞したこともある、テンマクデザインの『ウッドストーブ』です。
ステンレスの中でも耐久性が高いステンレス304を使用しています。天板に付いている丸蓋を外すことで直火調理もできます。左右と正面にガラス窓が付いており、パチパチと炎の燃える様子を楽しめるのも大きな魅力です。
また、ボディ側面に使い勝手のよいバタフライ型ステンレス棚が付いており、野外での調理中に道具を吊るしたり料理を保温したりすることができます。
脚はワンタッチで開閉できるので、設営や移動が楽にできる点も利便性が高いといえます。テントの中で使用しないのであれば、おすすめの製品です。
- 商品名:テンマクデザイン「ウッドストーブサイドヴューMサイズ ケース付き2点セット」
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G-Stove「Heat View 本体セット」
雪の多いノルウェー発祥の薪ストーブです。ステンレスの重厚かつスタイリッシュなデザインと、耐熱温度が1000度Cいう頑丈な造りが特徴です。
サイドに調理器具や料理を置けるスタンドが付いているほか、付属の煙突を使ってテント内でも暖がとれるなど、使い勝手がよい商品です。
さらに特筆すべきは収納性のよさです。かさばりがちな煙突・煙突蓋・スクレーパーをすべて内部に収納することが可能なため、コンパクトな本体と相まって保管や持ち運びに便利でしょう。
また、オプション部品が豊富で、予備のクリップやネジから後付けのオーブン、タンク、テント用アタッチメントなどさまざまなアイテムを購入できます。必要に応じて買い足すことで、柔軟な使い方ができる点も魅力の一つではないでしょうか。
- 商品名:G-Stove「Heat View 本体セット」
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手頃な価格のキャンプ向け薪ストーブ
上で紹介した薪ストーブは多機能でデザイン性が高いアイテムですが、価格はどれも3万円以上とやや高額です。そこで、もう少し手軽に楽しめる、お手頃価格の薪ストーブを2つ紹介します。
ホンマ製作所「時計1型薪ストーブ AF-60」
薪ストーブや煙突の製作で、40年以上の歴史を誇るホンマ製作所のベストセラーともいえる薪ストーブが『時計1型薪ストーブ AF-60』です。その名のとおり振り子時計のような形が特徴的で、長年愛され続ける商品です。
天板での湯沸かしや簡単な調理が可能で、薪ストーブの基本をしっかり備えていますが、特筆すべきはその価格です。『薪ストーブの良さを試してみたい』というビギナーにもピッタリの、買い求めやすい商品といえるでしょう。
サイズはやや大きいものの、別売の煙突を本体内部に収納することができます。使わないときや持ち運びの際にかさばらないのも嬉しいポイントです。
- 商品名:ホンマ製作所「時計1型薪ストーブ AF-60」
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ecozoom「EcoZoom Versa(エコズーム・バーサ)」
『EcoZoom Versa』はロケットストーブと呼ばれるタイプの製品です。一般的な薪ストーブでは火が穏やかに燃えるのに対し、ロケットストーブは少ない燃料で高火力を引き出せます。
穏やかな火を見て楽しむという用途には不向きですが、枝や草を使って簡単に着火できるほか、薪ストーブでは使用できない燃料も使えるといった、独自のメリットがあります。
キャンプサイトに落ちている枝を活用できるので、名前の通りエコでサステイナブルな製品といえるでしょう。
また、非常に高火力なため、極寒地でのキャンプや、高火力が必要な料理をする場合にもおすすめです。
- 商品名:ecozoom「EcoZoom Versa(エコズーム・バーサ)」
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テント内で使用するときの注意点
暖を取るために、薪ストーブをテント内で使いたいと考える人は少なくありません。メーカーによってはテント用アタッチメントを販売しているので、快適な使用が可能です。しかし、万が一誤った使い方をすれば危険を伴うことも認識しておきましょう。
怖いのは一酸化炭素中毒
薪ストーブをテント内で使う際に最も注意すべきことは、『一酸化炭素中毒』です。
一酸化炭素中毒は、不完全燃焼で発生する一酸化炭素が体内に取り込まれ、血液中の酸素濃度が低下することで発生します。酸素濃度が低下すると頭痛や吐き気などの症状から始まり、昏倒や意識不明を経て、死んでしまうケースも少なくありません。
また、一酸化炭素は無色無臭の気体です。そのため、気が付かないうちに一酸化炭素中毒に陥る危険性があります。
薪ストーブを室内で使う場合、煙突付きのモデルであっても定期的な換気を行ないましょう。また、一酸化炭素が一定濃度を超えると警報を発する検知器も使用するようにしましょう。
やけどや火災にも十分気を付ける
一酸化炭素中毒と並んで注意したいことが、『やけど』と『火災』です。
薪ストーブはストーブ本体が放熱して空気を暖めるので、本体や煙突部分は非常に高温になります。テント内でうっかり触れてやけどをしないように注意をしましょう。
また、薪などを燃やしているわけですから、火災の危険もあります。誤った使用法によって本体が倒れ、火災につながる可能性や、薪ストーブを置いた地面に生えている草や、テント内にある近くの燃えやすい素材が高温になり、発火する可能性もゼロではありません。
薪ストーブは日常生活で使う火より大きくなるため、よりいっそうの注意が必要です。細心の注意を払いながら、安全に楽しみましょう。
まとめ
冬のキャンプならではの醍醐味といえる薪ストーブは、魅力がたくさん詰まったアイテムです。注意すべきことは少なくありませんが、うまく使いこなせるようになれば、寒さのためにハードルが高いと思っていた冬のキャンプも、楽しく暖かく過ごすことができるでしょう。
今回は薪ストーブの選び方や、価格別のおすすめアイテム、使用時の注意点などを紹介しました。
ぜひ自分のスタイルに合う薪ストーブを手に入れて、冬のキャンプを存分に楽しんでみてください。