細い月が金星、土星、木星に日替わり接近
夕暮れの西の空が特に美しい季節です。しばらく前から夕方の西の空に明るい金星が見えていますが、12月4日には最高光度マイナス4.7等まで明るくなります。さらに、南西の空には木星と土星。7日からはこの3惑星と月との共演が始まります。
7日は三日月が金星に接近。8日は土星に、9日は木星に接近します。惑星の明るさや色の違いがよくわかることと思います。惑星の名前と曜日が混乱しそうですが。
日没時間は東京で16時半くらい、薄明が18時くらいまで続きます。この1時間半がもっとも美しい時間帯でしょう。空の色もみるみる変化していきます。薄明の空に浮かぶ惑星と細い月のツーショットは、絶好のシャッターチャンス。スマホのカメラでも狙えると思います。
近年、流れ星が増加中のふたご座流星群、今年はどうか?
12月14日の夕方に、ふたご座流星群がピークを迎えます。8月のペルセウス流星群、1月のしぶんぎ座流星群と合わせて3大流星群のひとつに数えられる流星群です。
ただし、14日の夕方から夜中にかけては月齢10の月が出ているので、観測条件はあまりよくありません。月が沈むのは日付が変わって夜中の3時ごろ。それから薄明が始まる5時前までの約2時間が、もっとも見頃となります。
この時期のこの時間は気温が下がります。特に、流星群観察はジッと座っているか、寝ているかしかないので、とにかく冷えます。いつも以上に防寒対策は万全に。ポットに温かい飲み物を用意しておくといいでしょう。
ところで、ふたご座流星群の流れ星の元になる天体は彗星ではありません。名の知れた流星群の多くは、彗星が軌道上に残したチリが流星の原料になります。たとえば、ペルセウス座流星群の元の彗星はスイフト・タットル彗星、オリオン座流星群の元はハレー彗星です。
ところが、ふたご座流星群の元になる天体はファエトンという小惑星です。ただし、火星軌道と木星軌道の間にある小惑星帯に軌道をもつ典型的な小惑星とは違って、ファエトンは小惑星帯から火星や地球の軌道を横切りながら太陽に接近する軌道を持ちます。
細長い楕円形の軌道は彗星によく似ていて、実際ファエトンはもともと彗星だったのではないかと言われています。ですが、蒸発する水分がもはや残ってないため太陽に接近しても尾が伸びず、小惑星として分類されているのです。ファエトンはおよそ1年半で太陽を一周するため、スイフト・タットル彗星の周期が134年、ハレー彗星の周期が75年であるのと比べると、ちょくちょく地球の周りに巡ってくる天体です。
実は近年、ふたご座流星群で見られる流星の数が増えています。ファエトンの残したチリが、何からの理由で地球に降ってきやすくなっていると考えられます。詳しいことは不明ですが、今やふたご座流星群はもっとも流れ星を見るチャンスの多い流星群であると言っていいでしょう。
月明かりや町明かりのない好条件であれば、ピーク時に1時間に50〜60個ほど見られます。今年は夕方16時ごろがピークなので、月が沈む翌日3時ごろなら、1時間に40個くらいと予想されます。
ただ、月が出ている時間帯でも半分から3分の1くらいの数が見られると思います。無理して夜中の3時まで待たなくても、流星は見られるでしょう。なるべく月を視野に入れないようにするのがコツです。
ちなみに夜中の0時くらいですと、ふたご座は南の空の、かなり高くに上がっています。流星の放射点は、ふたご座のカストルのあたりですが、流星はいろんなところから出現しますので、なるべく空が開けた場所を探して観察してください。くれぐれも防寒対策を怠りなく。冬空の天体ショーをお楽しみください。
構成/佐藤恵菜