BE-PALで活躍するクラフト作家の真島辰也さんは、ないもの、ほしいものをなんでも自作してしまう達人。そのライフスタイルを取材した。
クラフト作家 真島辰也さん
炎を育てるように、ナイフも自分流に育ててこそ
クラフト作家である真島さんのキャンプサイトはひと味違う。既成のフレームに自作の革シートを張ったフォールディングチェア。流木がタープのポール代わりになり、手作りの六角テーブルが焚き火台を囲む。何もかも手が加えられ、オリジナル感が半端ない。
「幼いころから物作りが好きだったな。家電やラジオを分解しては組み立てて。復元できずに怒られた記憶もある」
焚き火の必需品は斧と鉈
いいなぁ、と思うものを見つけたときは、どうやれば作れるだろう、とついつい考えてしまう。それはナイフも然り。使いやすいように柄をすげ替えるのは日常茶飯事。“この木を削るには、こういう長さでこういうカーブのナイフが欲しい”と、フックナイフまで手作りするほど。
「昔は欲しいものがなかなか売ってなかったから、作るしかなかったんだよね。作りたいものに合わせて、まずは作る道具を作る。木を育てるような感覚かな」
料理の種類だけナイフも使い分ける
ここ数年はグリーンウッドカービングにハマっている。生木を使い、初めは斧で大体の形を削り出し、細かいところはナイフで削っていく。従来は木を削るとなるとノミと木槌でコンコンと削っていたのだが、凹面以外はナイフ1本でできてしまうのが、新鮮で面白い。
「ナイフを使ったあとは必ず研ぐ。これも自己流だけど、マメに研ぐことで道具も長持ちする」
せっかく研いだ刃が欠けるとショックだからと、今度は革でケースまで作り出す始末。
「木工作業が終わったら、木屑を集めて焚き火。炎の揺らめきをボーッと眺めながら疲れをとる」
愛犬MEGAを傍らに、このルーティーンがやめられない。
木工カービングには専用ナイフ
ナイフの手入れ道具
達人の流儀
一、ないものは自分の手で作る
二、あるものも自分仕様にカスタマイズ
三、焚き火は炎の色を楽しむ
※構成/大石裕美 撮影/山本 智 協力/sotosotodays CAMPGROUNDS YAMANAKAKO MISAKI
(BE-PAL 2021年12月号より)