メンテナンスの基本は、汚れを拭き取ること。頑固な汚れは中性洗剤で洗い乾燥させる。落ちた切れ味は応急で回復させたり、鋭利に研ぎ直す専用グッズでの活用で甦る。またブレードを含めた金属部分は、汚れ、水気を放置すると錆びるので磨きや保護が必要だ。可動部は常にスムーズな動きができるようにしておこう。また、ハンドル、シースの使い心地も手入れで向上する。シース内に湿気がこもり錆びるため、保管時はナイフと分けよう。
※2021年に取材した記事です。最新情報は各HPなどでご確認ください。
Step1 研ぐ
切れ味の一時的な回復と本格的な研ぎがあると知るべし!
切れ味を一時的に復活させるシャープナー
ランスキー/ブレードメディックシャープナー
シャープナーは、キャンプ中に鈍くなった切れ味を一時的に復活させるアイテム。荒目、中目、仕上げ用の砥石を組み込み波刃にも対応する。収納時全長10㎝と持ち運びに便利。
本体のくぼみが荒目と中目の砥石。白い部分は仕上げ用で、折りたたみ式のダイヤモンドシャープナーと同じく波刃の切れ味も整える。
問い合わせ先:飯塚カンパニー 03(3862)3881
本格的な研ぎで、切れ味は手早く確実に仕上げ直せる
ランスキー/ダイヤモンドキット
砥石4種とナイフをはさむクランプ、ブラシ、保管ケースのセット。砥石表面は工業用ダイヤモンドの微粒子で覆われ、荒目、中目、細目、仕上げ用の順で研ぐ。写真上の角形台座と支柱は別売り。
ブレード後部から先端に向け、砥石を動かして研ぐ。ダイヤモンド砥石は研磨力が高く、軽く撫でるようにするだけでOK。
ブレードを付属クランプではさみ、砥石を刃先に当てる。砥石を刃の角度へ的確に合わせられて研ぎやすく、切れ味が簡単に復活する。
問い合わせ先:飯塚カンパニー 03(3862)3881
Step2 磨く
切れ味の良さに見合う、たくましい外観にせよ!
金属のくすみを落としと錆び取りを実行
フリッツ/メタルポリッシュ150g
ブレードのステンレススチールやハンドルの真ちゅうなどに最適な金属用の微粒子研磨剤。布きれに少量を取り丹念に磨くと、くすみや錆びが目立たなくなり輝きが増す。
問い合わせ先:マルキン商店 03(3831)8423
Step3 護る
最良の稼働状態を維持しながら使うべき!
金属可動部の汚れを除去し表面も保護
エバース/メタルケアー 420㎖
浸透性に優れた潤滑オイルスプレー。可動部の汚れた油分を除去し、プライヤーの動きも滑らかになる。金属表面へ油分を薄く伸ばすと湿気を寄せ付けずサビ止めに有効。
問い合わせ先:宝商 03(3274)2435
可動部の動きが新品の滑らかさが戻る
ビクトリノックス/マルチツールオイル
可動部用の潤滑オイル。少量のオイルを可動部にさし、ツールを動かしてなじませるのがコツだ。余分なオイルを拭き取ると、ホコリやゴミの付着を防げるので忘れずに。
問い合わせ先:ビクトリノックス・ジャパン 03(3796)0951
金属部分以外
ハンドルや付属品のメンテも重要事項である!
鮮やかな樹脂の色合いを磨いて引き出す
KOYO/ポリマール プラスチックみがきクロス(2枚入り)
微粒子研磨剤が染み込み、樹脂製ハンドルの小傷やくすみを目立たなくできる。均等に力を掛けながら磨き込むと樹脂の光沢が増す。表面に凹凸のない樹脂製ハンドルに効果的。
問い合わせ先:光陽社 03(3805)8361
木製ハンドルの耐久性と自然な質感を保つ
ハワード/フィーデンワックス 8OZ
家具や楽器の木部用ワックスは木製ハンドルに最適。木製ハンドルは乾燥しすぎると劣化するため、擦り込んで油脂分を与え保護したい。乾拭きすると木目が際立って艶が出る。
問い合わせ先:ゼンブジャパン 06(6441)2263
ナイロン地のシースを水濡れに強くしたい
キザキ/防水スプレー
ウェアや皮革用の撥水スプレー。ナイロンシースは、まず汚れを洗い落とし乾燥させる。表面と内側へ吹き付けると撥水力を維持できる。
問い合わせ先:ヴィクトリアお茶の水本店 03(3295)2955
レザーシースは皮革用ケアグッズを活用する
コロニル/1909レザークリーム
馬毛ブラシ
表革製のレザーシースには、シューズやバッグなど皮革製品用ケアグッズが使える。レザークリームが汚れを取り、革に潤いをプラス。ブラッシングで油脂分を全体に伸ばすと質感が向上する。
問い合わせ先:エス・アイザックス商会 0120-654-664
最近多い樹脂製シースなら簡単に手入れができる
KURE/クレポリメイト DX
樹脂用のクリーナー&保護艶出しスプレー。樹脂全般に使えて自動車の手入れでも活躍している。布きれで磨くことで艶を取り戻せ、紫外線による色あせやひび割れを防げる。
問い合わせ先:呉工業お客様相談室 03(5773)2391
Caution!
"刃こぼれ"になってしまったら一刻も早く専門店へ相談に!
刃先の欠けは"刃こぼれ"というアクシデント。刃先へ横から強い力が加わると発生し、刃先が曲がる現象も起こる。もはや自分で直すことは難しい状態なので、ナイフ専門店に相談しよう。1949年に東京で創業した日本一古いナイフ専門店、マルキン商店の蓬莱博史代表によると「刃こぼれや曲がった刃先を自己流で直すと、ブレード形状や刃の角度が変わり切断力が落ちます。ナイフ専門店に相談してください。状態によっては修復できるんです」と語る。またマルチツールに限るが、ビクトリノックス・ジャパンはブレードとツールの交換を受け付ける。レザーマンツールジャパンでは、研ぎ直しと全ツールの交換が可能。両社とも、自社で販売した製品にのみ対応する。困ったら、すぐ相談すべしだ!
刃こぼれや刃先が曲がると、切り進む方向が定まらず作業効率が低下。ケガの恐れもあるので修復したい。
※構成/鶴田康男 撮影/中村文隆 イラスト/うぬまいちろう 協力/マルキン商店 03(3831)8423
(BE-PAL 2021年12月号より)