ワンダー・レイクでのキャンプ中は、早朝に北のカンティシュナに向かうキャンパー・バスに乗せてもらって、ワンダー・レイクの北側の岸辺に行き、そこから湖越しにデナリを眺めるのが僕の日課でした。
デナリは普段は雲に覆われていることが多く、この地を訪れてもその姿を見ることができるとは限らないのですが、このキャンプ中は、最初の雪が降った日以外はかなり天候に恵まれ、何度もデナリの全容を目にすることができました。
これはリフレクション・ポンドと呼ばれる小さな池のほとりで撮った一枚。風のない晴れた日には、湖面が鏡のようにくっきりとデナリの姿を映し出します。
ワンダー・レイクの周辺には、マッキンリー・バー・トレイルをはじめとするトレイルがいくつかあります。天気のいい日には、僕はカメラとレンズとベアスプレーをバッグに入れて、そうしたトレイルをゆっくりと散歩しました。朽ちて倒れた木から、無数の新たな命が芽吹いていました。
アラスカのツンドラがこんな風に燃えるような深紅と黄金色に染まるのは、ほんの2、3週間の間だけ。その後は急激に色褪せ、冷たい雪に覆われて、長く厳しい冬が始まるのだそうです。それはほんのつかの間のことだからこそ感じられる、極北の生命の輝きなのかもしれません。