今回ご紹介するのは、天然の丸太を利用した「丸太ストーブ」を作る方法と使い方です。丸太ストーブは、丸太を直接燃やすので、暖房になりますし、上部にクッカーやケトルを置けるため、調理もできます。
冬キャンプで使用すれば、便利なだけでなく、見た目も楽しめます。
丸太ストーブとは?
今回紹介する丸太ストーブは、丸太の上部と側面に穴が開けて作ります。丸太の内部で、上部の穴と側面の穴をつなげます。
穴を開けた丸太の内側に、木くずや着火剤などの火種を入れて着火し、内側を燃やします。すると、内側の空気が温められ、浮力が生じます。これにより、冷たい空気が下から吸い上げられるので、側面の穴から新鮮な空気を取り込むことができ、火が強くなる、という仕組みで火を焚き続けます。この仕組みや効果のことを「煙突効果」と呼びます。
丸太ストーブは、この煙突効果を利用したストーブです。燃焼が進むと、煙突効果によって安定した空気の流れが作り出され、高温の燃焼が可能になるのです。
丸太ストーブの作り方
丸太を利用した代表的なストーブと言えば、「スウェーディッシュトーチ(スウェーデントーチ)」が有名です。
スウェーディッシュトーチを作るには、丸太の上部に切り込みを入れる必要があるので、チェーンソーを使います。ただ、チェーンソーは扱い方を誤ると、大怪我をする恐れがある道具です。それゆえスウェーディッシュトーチのDIYは、どなたにでもおすすめできるものではありません。
そこで今回は、丸太の上部と側面に円形の穴を開けるだけで作ることができる丸太ストーブを紹介します。
穴を開けるのにはドリルを使用するので注意が必要ですが、チェーンソーを使うよりは危険がないので安心して作ることができます。
【必要な道具と材料】
・直径30mm以上のドリルビット
・電動ドリル
・マーカー用のペン
・メジャー
・長さ30〜40cmほどの丸太
電動ドリルとドリルビットは、丸太に穴を開けるために使用します。
30mm以上の穴を開けることで、火種を入れて火がつけやすくなります。そのため、直径が30mm以上のドリルビットの使用をおすすめしています。
丸太の長さは30cm以上あれば大丈夫です。丸太があまりに長いと、穴をあける際に、ドリルビットの先が足りなくなります。30〜40cmほどの丸太がちょうどいいと思います。
丸太は材木屋さんや、お住まいの地域の森林組合などで手に入ります。ホームセンターで売られていることもあります。
使用する丸太は杉や松などの、針葉樹のものをおすすめします。針葉樹は広葉樹と違ってやわらかいので、穴が開けやすいからです。また、油分が多いので、火をつけやすいです。
1.丸太の中央に穴を開ける。
丸太には年輪があります。年輪の中央に穴を開ければ、丸太の中央に穴が開けられると思いがちですが、それは間違い。年輪の中央と丸太の中央がずれている丸太もあります。しっかりと直径を図り、丸太の中央にペンでマーキングしましょう。
マーキングした位置にドリルビットの先を垂直に当て、丸太の長さの3分の2ほどの深さまで、まっすぐに穴を開けます。今回は長さ30cmの丸太なので、20cmほどの深さの穴を開けました。
穴を開ける際は、ドリルと一緒に勢いよく丸太が回転することがあります。必ず両足で丸太を挟みながら穴開けを行ってくださいね。
ドリルの先は尖っているので、怪我をしないように慎重に作業をしましょう。
2.丸太の側面に穴を開ける
丸太の中央にあいた穴の深さは20cmです。側面に開ける穴と丸太の内側でつなげるために、側面にもマーキングしましょう。丸太の上から20cmの位置の側面にマーキングします。
マーキングの位置にドリルビットを垂直に当てて、まっすぐに穴を開けます。
中央の穴と側面の穴が繫がったらできあがりです!
実際に丸太ストーブを使用してみましょう
丸太ストーブに火をつける
着火剤や、ほぐした麻紐などの火種を、丸太ストーブの側面の穴に入れ、マッチやライターで火をつけます。
火が丸太ストーブに着火するまで、火種を継ぎ足しましょう。
火を安定させるために、火吹き棒などで、側面の穴に新鮮な空気を送り込みます。風が吹いている場合は、風の吹いてくる方角に側面の穴を向けるのも効果的です。
丸太の内側に着火し、丸太の中央の穴からも炎が上がれば、着火成功です。
丸太ストーブを調理に使用してみる
火が安定したら、実際に調理に使用してみましょう。
丸太ストーブの上にクッカーやケトルを直接乗せると、空気の通り道を塞いでしまいますので、火が消えてしまいます。調理するためには、丸太ストーブと調理器具の間に五徳をセットしましょう。
丸太ストーブの上にケトルを乗せて、お湯を沸かしてみました。火力が強いので、500mlの水が3分ほどで沸騰しました!
鉄板を乗せれば焼き物ができるほどの火力があります。広島名物のがんす(魚のすり身のフライ)を鉄板に乗せたところ、乗せてすぐに、表面がパリパリに焼きあがりました。
火をつけて1時間後の様子
火をつけてから1時間ほど経過した丸太ストーブの上部です。中心の穴から火が燃え広がっているのがお分かりいただけるかと思います。目の前にいると、身体がホカホカと暖まります。
側面の穴も大きく燃え広がっています。
火をつけて2時間後の様子
火をつけて2時間ほど経過した丸太ストーブです。ここまで火が燃え広がると、上に調理器具を乗せて調理することはできませんが、暖を取るにはいい火です。
最後は焚き火の焚き付けにしましょう
2時間半ほど経過し、中心部のほとんどが燃え尽きて、崩れた丸太ストーブです。崩れた薪ストーブは倒して、焚き火の焚き付けにしましょう。上から薪をくべれば、そのまま焚き火をはじめることができますよ。
さいごに
丸太ストーブは電動ドリルがあれば、誰にでも簡単に作ることができます。見た目にインパクトがあるだけでなく、調理ができ暖も取れるので、とっても実用的。冬キャンプにはおすすめできるDIYです!直火が禁止のキャンプ場では、焚き火台の上に設置して燃やしてくださいね。