“カサゴ”という魚を知っていますか?
鹿児島では“アラカブ”と呼ばれています。
釣りでは引きが強くて楽しく、刺身や素揚げで食べても美味しい魚です。
皆さんも親しみのあるお魚ではないでしょうか?
今回は、鹿児島・錦江湾の海中を舞台にカサゴの話です。
鹿児島のシンボル“桜島”の麓は栄養豊富な海が広がっています。
鹿児島では11月下旬から3月上旬までカサゴの繁殖行動が活発です。
陸上で気温が下がり肌寒くなる頃、海中ではカサゴたちがソワソワと活気付いてきます。秋~冬はカサゴにとって子孫を残す大事な時期なのです。
オスもメスも繁殖の為、栄養を蓄えなければなりません。
捕食しようと小魚を狙うカサゴを多く見かけます。
白い色のウミカラマツというサンゴの仲間に身を潜め、まわりのクロホシイシモチを捕食しようとしています。
昼間、激しく喧嘩するカサゴに遭遇。
繁殖のため、オスはメスの奪い合いや縄張り争いでオス同士、喧嘩をします。
オス同士の喧嘩を観察
気付かれないように遠くから観察。
カサゴのオスの喧嘩は大きな口で相手に激しく噛み付き合うのです。
この喧嘩は前半、上の写真右側の、顔が傷で白くなっているカサゴが大きく噛み付いて勝っています。
しかし、負けじと写真左側のカサゴは尾を大きく振り、右側のカサゴが離れた瞬間、左側のカサゴが噛み付き返し逆転しました。
噛み付いたまま30秒ほど、右のカサゴは身動きがとれなくなってしまいました。
その後、右側のカサゴは敗れてしまい、その場から2~3m離れた場所へ移動していきました。
カサゴの縄張りは半径5mほど
冬の夕陽が海中に差し込む頃、カサゴたちは自分の縄張りにいるメスへ求愛を始めます。カサゴの縄張りはオスの個体の大きさにもよりますが、だいたい半径5mほどです。
1個体のオスの縄張り内の岩陰や岩上に2~3個体メスが隠れていました。
縄張りにいるメスを1個体ずつ巡回し、昼間とは違う優しい表情でメスの様子を伺っています(写真左メス、右オス)。
交接の準備ができたメスは岩の上に出てきています。
そこへオスは、メスの背後からヒレをパタパタさせながら求愛をします。
メスが求愛に応じたら、軽くジャンプするようにホバリング。そこにオスがメスを抱えるように交接するのです。
交接のシーンも追いましたが、なかなか難しく、撮影できた時に、また紹介したいと思います。
夕方にオスがメスへ求愛中の時も、他のオスにメスを狙われ闘争になったり、交接を岩の上から他のオスが盗み見していたりと、カサゴたちの命がけの喧嘩やメスヘ愛情を持ったりと、人間味溢れる生態行動を見る事ができました。
今回の1枚
冬といえば温かいものが食べたい~!
カサゴを観察し冷たい海から上がると焼き芋屋さんがきていたので思わず購入し食べました。
その味が忘れず、自宅で久しぶりに焼き芋を焼いてみました。焼きたてのお芋、ホクホクして美味しいですよね。
撮影協力: ダイビングショップSB http://sb-diving.sakura.ne.jp/