夏が終わり、暑さも落ち着いてきたからハイキングにでも、と思っているのに、外出プランを練るたびに、雨。こうも計画が頓挫してばかりだと、近場でもいいからとにかく自然に触れたい! という衝動に駆られる。
──そうだ、家から歩いていける「浄明寺緑地」に行こう。
鎌倉市と逗子市の境界近くにある浄明寺緑地の正式名称は「鎌倉市子ども自然ふれあいの森」。冬の晴れた日には正面に雄大な富士山を拝めるこの緑地は、関東の富士見百景にも選定されている。
逗子側から行くなら、最寄りの「夕陽台公園」バス停から7~8分ほど平坦な道を歩けば到着するが、鎌倉側から向かう場合、住宅街を進んだ先にある286段もの長い長い階段が待っている。
なお、ここを通るたびに毎回段数を数えるものの、いつも数が一致しない。微妙な段差をカウントしたりしなかったり、登るのに夢中で数え忘れたりしているのだろう。まあ、正確な数字についてはどうかご容赦のほどを。
「あ、いい棒見つけた!」
息子の棒センサーが反応した。子どもってどうして落っこちている枝を見つけると興奮するのだろうか。ほら、持つとすぐに振り回して……と思いきや、太さの違う2本をカンカンと打ち鳴らして「おー、いい音がするねえ」とまさかの音チェック。
実はこの棒、あとで大切な役割を果たすことになるのだが、それはまた後ほど。
芝生ゾーンに着いたら、一息つく間もなく持ってきた遊び道具一式をガサゴソと漁る。
息子がいちばんに取り出したのは、駄菓子屋でよく見かける、ひもを引っ張って羽を飛ばすおもちゃ。飛ばした羽を追いかけてキャッチするのを、ひとり黙々と、何度も繰り返していた。狭い家で遠慮がちに遊ぶときとは違い、思いっきり飛ばせるから楽しくて仕方がないらしい。その様子を見ているこちらも、なんだか楽しい。
そろそろ大人も体を動かしたくなってきたので、バドミントンで対戦を挑む。少し前まではサーブしても打ち返すことができず、サーブの応酬だけでおしまいだったのに、6歳になった今では、わずかながらラリーが続くようになった。