
2002年4月号のBE-PAL。初めての企画は「駅舎レストラン”まんぷく旅”」。5月号から連載「おんなひとりの鉄道旅」がスタート。
みなさま、こんにちは。フォトライターの矢野直美です。
はじめまして。そして、お久しぶりです。
冒頭の写真は2002年4月号のBE-PAL。「今月の遊び」という特集ページで北海道のJR釧網本線を取材し、翌月の5月号から連載「おんなひとりの鉄道旅」がスタートしました。
なんと20年前! こうして書いていて自分でも驚きました。
当時は「鉄道趣味の世界に女性は存在しない」が定説とされていました。
「キリンの首は長い」「ポストの色は赤い」と同じ感覚で「鉄道好きに女性はいない」と語られていたのです。
そのため「鉄道が好き」というと、驚かれる・珍しがられるという以前に、信じてもらえませんでした。
たとえば撮影取材のとき、鉄道会社さんにご挨拶へ行きます。その時「鉄道が好きなのです」と伝えるのですが、かなりの確率で「気を使ってそんなこと言わなくていいから」「仕事だから来ているのでしょう」「女性に鉄道好きはいないから」という言葉をもらいました。
鉄道路線での私は、もちろん線路から離れません。列車を乗り降りして沿線を歩き、ずっと線路沿いにいて写真を撮っています。すると「本当なんですね」「好きなんですね」と改めて驚かれるのです。
そうしていつしか「元祖・鉄子」と呼ばれるようになりました。
最近は新型コロナウイルスの影響でなかなか撮影取材や旅がままならず、そんな時は妄想の翼をはためかせています。鉄道路線図を見て、ここに行きたい、あの町を見たい、そんな気持ちでいっぱいになります。
旅が好きだから、旅ができないさみしさがあります。けれど、これからの旅を考える楽しみがあります。鉄道路線図や世界地図を見ると、わくわくします。いろいろ計画を立てたり、さまざまに想像する夢を与えてくれる「旅」に感謝です。
旅の賢者は「その土地の一番厳しい季節を体験せよ」といいます。
今時期ならきっと、厳冬の北海道でしょう。
2002年4月号のBE-PALで旅をしたJR北海道の釧網本線。その冬景色を、改めてご覧ください。
鉄子のおすすめ鉄道旅(1)北海道・釧網本線

JR北海道・釧網本線。オホーツク海を走る冬の観光列車「流氷物語号」から眺める流氷風景。 JR北海道「流氷物語号」公式webサイト。 https://www.jrhokkaido.co.jp/travel/ryuhyo/

JR北海道・釧網本線。日本で唯一「タンチョウの来る駅」茅沼駅にて。

JR北海道・釧網本線。列車の中から眺める日本で一番大きな湿原・釧路湿原。
……見ているだけですっかり凍えてしまったので、あたたかな場所の鉄道旅もご紹介しましょう。
鉄子のおすすめ鉄道旅(2)沖縄・沖縄都市モノレール「ゆいレール」

沖縄都市モノレール「ゆいレール」。南は沖縄から、北は北海道、海外へも、線路があるならどこまでも行きます。
新型コロナウイルスの影響が続いている今、旅の未来予想図にしていただけたら幸いです。そして、写真の中の鉄道旅を楽しんでいただけたら嬉しいです。
国内外を旅しながら写真を撮り、文章をつづる「フォトライター」。鉄道旅をこよなく愛することから「元祖・鉄子」の愛称でも呼ばれる。写真作品とエッセイを発表しながら、さまざまなメディアで活動。講演会やフォトコンテストの審査員も務める。著書多数。電子書籍に、BE-PALの連載をまとめた「おんなひとりの鉄道旅」、写真集「汽車通学」、「北海道 幸せ鉄道旅」、「鉄子の旅写真日記」、「日本の鉄道 車窓絶景100選」(共著)。