長野修平さんのアウトドアスモーク術とおすすめレシピ
「冬は朝起きたらまず火をおこすのが日課。その火でお湯を沸かして暖をとり、木を燃やして出てきた煙で燻製する。なんでも利活用するのが好きなんです」
と、長野さん。肉を燻すことが多いが、キャンプでなら、時間が短くてすむ魚もおすすめ。
「魚を丸ごと、シャンデリアみたいに焚き火の上に吊るしてみるのも面白いね」
煙が効率良くかかるように、焚き火の周りはティピーで囲む。
「アイヌでは食べ物を保存するために、シャケとかクマの肉をティピーの上部にぶら下げておく。日本の囲炉裏も同じ。上を見ると火棚があるでしょ。あそこに魚や穀物を吊るして、乾燥させたり、燻煙して保存する」
魚を下処理したら、まず上部に吊るして低い温度の煙をあてながら乾燥させる。乾燥してきたら、焚き火の際まで降ろし、一気に温度を上げて熱燻する。
「まずは外側を乾燥させないと、煙が付着しないから。1時間半から2時間もかければ大丈夫」
ティピーの中にごろりと横たわる。焚き火で暖をとりつつ、一緒に燻されるのもまた一興。
内臓を取り出し、ウロコを引いてよく水洗いする。
両側の背骨上と背びれ下に包丁で筋目を入れる(計4か所)。
15%の塩水に1時間ほど漬ける。あれば卵や肝、白子も一緒に。
30分ほど低温の煙をあてて乾かしたら、火に近づけ熱燻する。
煙をかけている間は、入り口を閉め、スモークフラップも閉じてなるべく隙間をなくす。
シンプル・イズ・ザ・ベスト!
スモークタイ茶漬け
タイの出汁に燻煙が滲み出たコク旨な仕上がり。味付けはあえてシンプルに下味の塩分だけにすることで、タイの旨みと香りを存分に楽しむ。
材料
タイ燻製の頭とアラ…1尾分
タイ燻製…半身分
ご飯…茶碗1杯分
水、ワサビ…適量
作り方
燻製した頭とアラを鍋に入れ、お湯で煮出して出汁をとる。
器にご飯を盛り、ほぐしたタイの身を乗せたら、出汁をかける。おろしたてのワサビを添えていただく。
スッキリ大葉がアクセント
スモークアジのサンガ焼き
アジのなめろうをじっくり焼き上げた、南房総の漁師料理、サンガ焼き。燻煙と香ばしい焦げ目が相まり、バーボンがよく似合う。
材料
アジ燻製…1尾
ネギ…½本
白味噌…大さじ6
みりん…大さじ1
酒…大さじ1
ショウガ…1片
作り方
薪を割り杉板を切り出し、長方形に形を整える。四隅にV字型の切り込みを入れ、針金のツルを付ける。
容器に刻んだネギと調味料をすべて入れ、よく混ぜ合わせる。
杉板に平らに塗る。あまり厚くなりすぎないよう均等に。
焚き火にかざして炎で炙り、焦げ目を付ける。
ほぐした燻製アジを加え、叩きながら混ぜ合わせる。
大葉で挟みながら、チビチビいただく。ご飯に乗せてもイケる。甘めの白味噌と合わせることでマイルドに。
燻煙とイタリアンは相性抜群!
スモークカレイのパスタ トマト風味
味が濃く、コクがあるカレイはトマト&ニンニクと組み合わせると味が引き立つ。香りも強く出すぎず丁度いい。
材料
カレイの燻製…1尾
ショートパスタ…200g
パスタの茹で塩…適量
トマト…1個
ニンニク…1片
パルミジャーノチーズ…適量
作り方
パスタを袋の表示どおりの分数で茹で上げる。
トマトは細かめのざく切り、ニンニクはスライスする。
お湯を切ったパスタにそのほかの材料を全部入れ加熱。
半身はほぐしてパスタに混ぜ合わせ、残りの半身は燻煙をかけたキモや卵とともにトッピングする。
ネイチャークラフト作家
長野修平さん
木、石、貝などを使った物作りが得意。最近はグリーンウッドワークが楽しい。北海道の山菜料理店で育ち、独自の焚き火料理を数々披露。モーラナイフ公認アンバサダー。
※構成/大石裕美 撮影/柏倉陽介
(BE-PAL 2022年2月号より)