郊外の住宅地のすぐ近くにある公園や河原で暮らす、多種多様な生きものたち。
そんな身近な生きものの世界を、横浜市泉区・戸塚区を拠点に生態調査や里山保全活動を行なっている“ご近所生きもの観察案内人”の相川健志さんがご紹介します。今回は、ヒキガエルについて調べました!
ヒキガエルってどんなカエル?
今回はヒキガエルの仲間、アズマヒキガエルとニホンヒキガエルについてです。2種とも日本の固有種で、アズマヒキガエルは東北地方から近畿地方、島根県東部までの山陰地方北部に、ニホンヒキガエルは鈴鹿山脈以西の近畿地方南部から山陽地方、四国、九州、屋久島に分布しています。
ただし、近年ではアズマヒキガエルとニホンヒキガエルとの交雑個体も確認されています。観察できるヒキガエルたちが1種ではないので、ここからは総称として『ヒキガエル』と記載します。
ヒキガエルたちは、普段は水に入る必要がほとんどなく、民家の庭や雑木林などのさまざまな場所で暮らしています。そして、繁殖期を迎える2月下旬から3月にかけて、身近な公園などの池に卵を産みに集まってきます。何もないように見える池にも、目を凝らすとヒキガエルが潜んでいますし、愛を育む様子も目にすることができます。
この日は、恋路を邪魔しないように写真を撮って退散。1日で10匹以上のヒキガエルたちに会うことができました。
春を迎えたオタマジャクシは?
ヒキガエルの仲間はヒモ状の卵塊を生みます。このゼラチン質のヒモは、赤ちゃんオタマジャクシたちの最初のごはんとなります。
卵からオタマジャクシが孵ると、場所によっては池の水面が真っ黒になるほどです。
このうち、どのくらいの数が大人になってまた池へ戻ってくるのでしょうか。
この時期になると、ヒバカリやヤマカガシといったヘビの仲間がオタマジャクシを狙って池の周りに集まってきます。運がいいと、カエルと一緒にヘビたちも観察することができます。
卵から孵った稚ガエルは?
5~6月、脚が生え、尻尾がなくなった稚ガエルたちは一斉に陸上へ上がります。
まだ肌がオタマジャクシのような質感でぬるっとしたような感じです。
夏、オタマジャクシがうじゃうじゃいた場所を再訪してみると、いました!
もう立派なヒキガエルの姿に!
2、3年後、この場所に産卵をしに戻ってきてくれること期待して逃がしました。
身近な生きものにスポットを当てて観察すると、いろいろな物語が見えてきます。
近所の池を覗いてみると、ヒキガエルの暮らしぶりを垣間見ることができるかもしれません。
今の時期しか見ることができないヒキガエルたちに出会いに、近所の水辺に足を運んでみてください。