知ってそうで知らないアウトドア・Q&A
焚き火を極める(着火編)
みんな大好き焚き火の時間、あなたの焚き火知識はどのくらいのレベル?クイズに答えてみよう!
Question:次の乾燥した天然材料の中で、雨の日の着火に向く材料はどれ?
1:スギの葉
2:マツボックリ
3:マツの幹
4:シラカバの樹皮
Answer
3:マツの幹
マツの木が倒れたり伐採された後、樹脂が染み込んだ芯材は枯れずに残る。この芯材は、時間がたてばたつほど硬くなり、樹脂や樹液が濃縮され、腐敗しにくくなる。この樹脂を多く含んだ木材のことを「ファットウッド(fatwood)」と呼び、古くから松明(たいまつ)やトーチなど灯りとして使われてきた。
特筆すべきは、その抜群の着火性と耐水性。スギの葉やマツボックリ、シラカバの樹皮などは火つきはいいが、すぐ燃え尽きてしまう。それに対し、脂が多く含まれたファットウッドは一瞬で火がつき、長く燃え続けるのが特徴だ。
水に強く、多少濡れても着火する。火力が一気に上がって高温になるので、雨天時のキャンプの焚き付けもスムーズに行える。*ただし、燃やすと油煙が飛び、煤で鍋などが黒く変色してしまうので、料理には向かない。焚き付け専用にしたい。
ファットウッドを火口にして火をつける
ファットウッドをナイフで細かく削れば、火口(ほくち)としても利用できる。火口とは、古来より用いられてきた燃えやすい燃料のこと。火打ち石や火打ち金などで火花を飛ばして火口に点火させ、それを火種にして、枯れ草や枝などに着火させる。現在はファイヤースチールで火花を飛ばし点火させる方法が用いられている。
ファットウッドは、どんな火花からでも簡単に点火し長く燃焼する伝統的な火口。キャンプアイテムのひとつとして装備しておくと、雨の日の焚き火も容易に行なえて便利だ。
天然素材100%の火口
火口の条件は、乾燥度が高く、脂を多く含み発熱量が大きく、酸素と反応しやすい素材。
火口に向く天然100%の素材にはファットウッド(マツ樹脂)、ガマの穂、タブノキ、サルノコシカケ系のキノコなどがある。
- ガマの穂
ガマ科ガマ属の多年草の抽水植物。円柱状の穂「ガマの穂」は、雄花の結実後に綿くずのような冠毛が出てくる。この綿部分を固めて灰汁に漬けて乾燥させると、上質な火口になる。
- タブノキ
クスノキ科タブノキ属の常緑高木。枝葉に粘液が多く、乾かして粉にすると「タブ粉」が得られ、線香や蚊取線香の材料として用いられる。火つきが良く、火力がぐっと上がるので焚き火の焚き付けに向く。灰汁に漬けて乾燥させると火口としても使える。
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取材・文/松浦裕子