近ごろ、民芸品を取り扱う店でよく見かけるのが、ござ。畳の部屋を持つ家が少なくなった日本において、夏場に床の上に敷いて涼をとるのに売れているそうだ。値段はピンキリだが、高級とされるのが岡山県倉敷市の名産品、「花ござ」。花など美しい文様を織り込んだござだ。
明治時代は、花ござが絹や綿などと並んで日本の5大輸出品といわれていた。イグサの産地である岡山県の繁栄ぶりは、「岡山」を表わす手話がイグサを織り込む様子を表現しているほど。今となっては、イグサ商品のニーズはぐっと減ってしまったが、それでも名品を生み出し続ける職人は残っている。
畑で刈り取ったばかり のイグサの長さをそろえカット する。材料のていねいな準備こそが、いいイグサ製品の要となる。
木の板に三角状のコマをはりつけ、独自の「紋板」とよばれる模様の設計図をつくる。「青海波」「麻の葉」など日本古典文様もある。