中華鍋はアウトドアの強い味方
「え?キャンプに中華鍋?」
そう思った方も多いのではないでしょうか。中華料理でよく使われ、近年ではフライパンの代用品として人気を集めつつある中華鍋。
アウトドアとは結びつかない調理器具と思われがちです。しかし、実際に使ってみると使い勝手が非常によく、筆者にとって手放せないギアとなっています。
今回は中華鍋がキャンプに向いているポイントや、使い始める際の注意点をご紹介します。
中華鍋の3つの利点
それでは、中華鍋はどこが優れているのか、見ていきましょう。
利点その1.加熱調理をすべてカバーできる万能ギア
中華鍋の特徴は、独特な底部分の形状です。鍋としては浅く、フライパンとしては深い絶妙な塩梅となっており、さまざまな料理に活用できる応用力の高さを秘めています。
チャーハンのような炒め料理はもちろん、焼く、煮る、揚げる、蒸す、燻製にする……と、加熱調理ならなんでもござれ。火を使うレシピなら、中華鍋ひとつで対応できます。
このように、インスタントラーメンも作れる懐の深さが中華鍋の魅力です。
キャンプの定番調理ギアといえば、メスティンやスキレットが挙げられます。しかし、調理法に応じてギアを使いわけるのは面倒ですし、持ち運びの問題もあります。
調理ギアを中華鍋に統一してしまえば、そういったストレスを感じず、さまざまな料理をアウトドアで楽しめますよ。
利点その2.鉄製で丈夫な上、お手入れ次第で長く使える
中華鍋は、鉄で造られているものがメジャーです。鉄製の大きなメリットは、その頑丈さ。ちょっと乱暴に扱っても歪んだり割れたりしないので、アウトドアに持っていっても安心なのは嬉しいポイントでしょう。
また、熱に強いのも見逃せない長所です。たとえば一般的なテフロン加工のフライパンは、長く使いつづけると加熱の影響でフッ素が劣化し、焦げつきやすくなります。しかし、鉄製の中華鍋は1000度C以上の熱でもびくともせず、使いこんでもなかなか劣化しません。
それどころか使えば使うほど鍋肌に油がなじみ、焦げつかなくなる性質があるのです。正しくお手入れすれば、ずっと使えますよ。
利点その3.蓄熱性が高く、強火で食材に一気に火を通せる
鉄のもうひとつのメリットは、蓄熱性能の高さにあります。
アルミや銅に比べると、鉄の熱伝導率は低いです。そのため、最初に鍋を火に掛けてから温まるまでに少々時間が掛かりますが、いったん温まると冷めにくく、中華鍋に蓄えられた熱がすばやく食材に伝わり、あっという間に熱々の料理が仕上がります。
また、中華鍋は、テフロン加工のフライパンと違い、焚き火などの強烈な強火でも使用できます。食材を入れても温度が下がりにくいので、仕上がりがベチャッとならず、綺麗に仕上がります。お店のチャーハンがおいしいのは、中華鍋のこの性質も理由のひとつなのです。
揚げ物なら油を高温のままキープできるため、衣が水っぽくならずカリッとなるのもポイント。底に油が溜まりやすい形状なので、少なめの油でも揚げられて経済的なのもありがたいです。
キャンプで中華鍋を活かすなら、やっぱり焚き火がおすすめ。燃えさかる炎を使って炒め物をすれば、あっという間に食材に火が通り、絶品料理が楽しめますよ。
中華鍋の注意点:使う前に空焼きと油ならしを
「自分も中華鍋を使ってみたい!」
そう思って中華鍋を買った方は、ちょっと待ってください。買ったばかりの中華鍋を、そのまま料理に使うのは厳禁です。そのまま調理してしまうと、食材がこびりついたりしてうまく調理できません。中華鍋は使用する前に、ある準備をする必要があります。
買ったばかりの中華鍋はまず洗剤で軽く洗い、なにも入れずコンロの火にかけましょう。これは空焼きと呼び、中華鍋に塗られている錆止めのコーティングを剥がすための作業です。
画像のように煙が出ますので換気しつつ、ひたすら焼いていきます。真っ黒な鍋肌が次第に青黒くなったり、白くなったりしていけば順調な証拠。鍋全体の色が変わったら火を止めてそのまま数分置きます。
鍋が冷めてきたら再び火をつけて、大さじ1、2杯の油を全体に伸ばしましょう。これを油ならしといい、新品の鍋に油をなじませて、焦げつきを予防するテクニックです。この時、使わない野菜くず(キャベツの芯やネギの青い部分)を炒めると、油が染みこみやすくなります。
空焼きと油ならしを終えたら準備は完了です。使い終わったあとは洗剤を使わず水かお湯で洗い、水気をとったら油をなじませましょう。最初のうちは焦げつくかもしれませんが、2回3回と使っていけば油が定着して扱いやすくなりますよ。
中華鍋をキャンプ飯の相棒に
「中華鍋は一生モノ」といわれるほど、丈夫で便利な中華鍋。上手にお手入れして使いこめば、あらゆる料理で大活躍する相棒になってくれるでしょう。
キャンプ飯をよりおいしく、便利にしたい方は中華鍋という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。