【ナイフのDIY】人気のモーラナイフのブレードだけ購入し、オリジナルハンドルを自作してみる
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    2022.03.13

    【ナイフのDIY】人気のモーラナイフのブレードだけ購入し、オリジナルハンドルを自作してみる


    DIYしたナイフハンドル木製とシカの角製

    キャンプシーンで欠かせない相棒といえば、やはりナイフだろう。数あるアウトドア用ナイフの中で、定番ブランドの一つがモーラナイフ。使いやすいデザインと優れた耐久性を持ちながら、手ごろな価格のモーラナイフは非常に魅力的。そんなモーラのナイフブレードが、ハンドル無しの状態で手に入るとの情報を得た。

    刃だけの状態で購入できるモーラのナイフブレード

    ナイフのDIYは愛好家も多く、金属板をヤスリで削り出したりは当たり前で、自家製の炉で鍛造したりする猛者までいる奥深い世界だが、最難関のブレードが通販で手に入るなら、より気軽に個性豊かなオリジナルナイフに挑戦できる。

    試しに「モーラ ナイフ 刃だけ」でインターネット検索してみれば、多くの情報とともに、販売サイトも複数出てくる。価格も1本が1,500円〜2,000円程度と非常にリーズナブルだったので、早速購入手続きをしてみた。

    ブレードのみ売られているモーラーナイフ

    刃だけの状態で購入できるモーラのナイフブレードは複数種類あるが、その中から私が選んだのは、最もスタンダードな「Knife blade No1」。細身でアウトドア調理にも使いやすいデザインが気に入った。

    基本編 木製ナイフハンドルを作ろう

    ではここから早速、オリジナルのハンドルを作っていきたいと思う。今回使用する材料、ブレードと木材

    材料

    • モーラナイフブレード 1本
    • 好みの木の板(厚さ10mm程度) 1枚
    • 径5mmの木の丸棒  1本

    その他工具など

    • 2液混合型エポキシ接着剤
    • 彫刻刀セット
    • ノコギリ
    • クラフトナイフ
    • ドリル(木工用 φ5mm)
    • 木工用ヤスリ(大・小)
    • サンドペーパー
    • クランプ
    • エゴマ油

    作り方

    1 木の板を切り出す

    木材を切り出す
    板は好みの樹種を選ぼう。なるべく硬質な木を選ぶとハンドルとして長持ちするが、堅い木は加工が難しい。今回は春に向け桜の板を選んでみた。この板を30mm×120mmの大きさで、2枚切り出す。

    2 板にタングがはまる溝の形を写す

    ブレードの溝の形を鉛筆で写し描く
    タングとはハンドル材の内側に入る金属部分のこと。この形状を鉛筆を使い、板に写しとる。この際、板の中心線を描き、その線に沿ってブレードを置くと、2枚の板でズレがおきない。左右でブレードが裏表になるように注意!

    3 タングを固定する目釘の穴を開ける

    木材に描かれたブレードの柄の部分の形
    モーラブレードのタングには、写真のような切り欠きがある。ここにブレードの抜けを防ぐための目釘を引っ掛けるのだ。

    ドリルで木材に穴をあける
    直径5mmの木工用ドリルを使い、目釘が入る穴を開ける。この穴の位置は重要なので、ずれないように気をつけてあけよう。

    4 板に溝を掘る

    彫刻刀で木材に溝を彫る
    いよいよ板に溝を掘っていく。加工に使う道具には小学校で使った彫刻刀をチョイス。

    彫った木材にブレードを合わせてみる

    木材と彫刻刀、木材は少しずつ削っていく
    ブレードの厚さは2mmなので、それぞれの板に掘る溝の深さは1mm。深くなりすぎたり、溝の中に高低差があると、ブレード をはめたときにガタが出る。一気に掘らず、試しにはめてみながら少しずつ掘るように。

    5 ハンドルを接着する

    市販の接着剤
    ハンドルの固定には接着剤を使う。金属と材木が接着できるものなら何でも良いが、ナイフDIY愛好家が好んで使うのは2液混合型エポキシ接着剤。

    接着剤を混合させる

    木材に塗られた接着剤
    2つの液を混ぜ合わせ、ヘラでハンドルにたっぷりと塗り付けよう。

    木材に棒を差し込む
    目釘に使う木の丸棒を適当な長さに切り、穴に差し込む。

    木材にブレード部分を合わせる
    次にブレードのタングを溝にはめる。

    木材を上下合わせる
    上からもう片方のハンドルをかぶせ、ピッタリと合わせる。ここで溝掘りの正確さが問われるのだ!!

    木材をクランプで固定する
    エポキシ接着剤の硬化時間は約10時間。クランプでしっかりと固定し、一晩以上は安静に置くこと。

    接着剤を硬化するのを待つ
    ワンポイント
    クランプでねじ込むと、接着剤が染み出してくる。ハンドル周りは後で削るので問題ないが、ブレードに付着したものは硬化する前に拭き取るように。アルコールを使うと、キレイに落ちる。

    6 ハンドルの整形を始めよう2枚の木材で固定されたブレード

    余計な木材をカットする
    一晩待って、しっかりと接着がされた。まずはノコギリではみ出た目釘の丸棒を切断する。

    木材に厚紙を貼りつける
    次にブレードへの傷つき防止と作業の安全のために、ブレードに厚紙を貼り付ける。

    ナイフで柄を削っていく

    木材をヤスリで削る
    ここからはウッドクラフト。ナイフとヤスリを使い、好みのデザインにハンドルを整形していく。少し削るたびに握り心地を確かめ、全体のバランスを見ながら加工を進めよう。

    7 最後の仕上げ

    木材をサンドペーパーで仕上げる
    納得のいくまでハンドル加工ができたら、サンドペーパーを使い磨きあげる。120番くらいから始め、240番、400番と進めるとよい。どこまで細かく磨くかは自分次第だ!!

    形成した木材にオイルを塗る
    ペーパーがけが終わったら、オイルフィニッシュで仕上げる。オススメはエゴマ油。少量を時間をかけ磨くように塗り込むと良い。

    8 完成!!

    手作りハンドルがついた完成品
    ついに完成だ。使い込むことで、また違った顔を見せてくれるのも木製ハンドルの魅力。フィールドに持ち出し、思う存分にオリジナルナイフを楽しんでほしい!

    応用編 ディアホーンハンドルにも挑戦!

    シカの角
    実は先日、近所の猟師さんから鹿肉と一緒に、立派な角をもらった。せっかくなので、これもナイフハンドルに加工してみよう!!

    材料

    • モーラナイフブレード 1本
    • 鹿の角 1本
    • 径5mmの木の丸棒  1本

    その他工具など

     

    • 2液混合型エポキシ接着剤
    • 金属用ノコギリ
    • ドリル(鉄工用 φ5mm)
    • 鉄工用ヤスリ(大・小)
    • 電動リューター
    • 電動ディスクグラインダ
    • クランプ

    作り方

    1 角の切断

    シカの角を切る

    シカの角の直線部分を切り出す

    切り出した直線部分の角を縦方向に切る

    縦方向に切られたシカの角の断面
    鹿の角は硬いので、金ノコを使って切断した。中心線をずらさぬよう、縦に半分に切るのが難しい。

    2 タングを写して目釘の穴あけ

    シカの角の断面にブレードの柄の輪郭を描き写す

    シカの角にドリルで穴をあける
    木製ハンドルと同じく、タングの形を写しとり、目釘の穴をあける。今回はハンドル表面に丸棒が見えると変なので、ドリルが貫通しないようテープで目印をつけ作業した。

    3 いよいよ溝掘り

    電動リューター

    リューターで溝を彫る

    シカの角に溝を作りブレードの柄を当てる
    いろいろ試したのだが、やはり角は硬い。そこで電動リューターを使うことにした。リューターは先端ビットが高速回転し、素材を切削する工具。深さを1mmに合わせ、慎重に削る。

    4 ハンドルの接着

    シカの角に穴をあける

    シカの角に丸棒を差し込み、ブレードの溝を噛ませる

    半分に割ったシカの角の間にブレードを挟む

    ブレードの柄の部分にシカの角を合わせる

    柄の部分に接着剤を塗り、クランプで固定する

    エポキシ接着剤を使い、角のハンドルに目釘そしてタングを接着し、クランプで固定し一晩置く。

    5 ハンドルの整形

    シカの角をヤスリで成型する

    電動ディスクグラインダーでシカの角を成型する

    しっかりと接着されたことを確認し、ヤスリで角を整形するが、硬い……。痺れを切らし、電動ディスクグラインダを取り出して研磨。電動工具はやはり速い。が、削り過ぎには注意が必要だ。

    6 完成

    シカの角の柄がついたナイフ
    ディアホーンハンドルのモーラナイフが完成。木製とは違った硬質な手触りで、高級感たっぷりだ。見た目もワイルドで満足度の非常に高い逸品ができた。

    皆さんもこの記事を参考に、自分だけのオリジナルナイフに挑戦してみてほしい!!

    私が書きました!
    アウトドア&DIYカメラマン
    阪口克
    1972年生まれ。オーストラリア大陸1万2000kmを自転車で一周し、帰国後フリーランス。日本航空機内誌のカメラマンを長年務めるほか、多くのアウトドア雑誌で取材撮影を担当する。自宅は家族・友人とセルフビルド。旅と自然の中の暮らしがテーマ。著書に『家をセルフでビルドしたい』(文藝春秋)、『焚き火のすべて』(草思社)、『ファイアーサイドクラフト』(山と渓谷社)ほか多数。オーストラリア担当の写真家として参加した『世界のともだち』(偕成社)で第64回産経児童出版文化賞大賞を共同受賞。(社)日本広告写真家協会会員。

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