カヤック旅で出会ったグルメなドイツ人!彼が極寒の冬にドナウ川を下る理由とは?
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    2022.03.27

    カヤック旅で出会ったグルメなドイツ人!彼が極寒の冬にドナウ川を下る理由とは?

    ドナウ川をカヤックで下る旅人の後ろ姿

    偶然出会った、同じくドナウ川を海まで下る旅人。彼の正体とは…。

    冬のドナウ川を旅する人

    こんにちは!ドナウ川源流地域のドイツからエーゲ海沿いのトルコを目指して、カヤック旅をしているジョアナです。半年くらいの放浪を予定していて、この記事も旅先から書いています。

    川と海を漕いで、総移動距離が4,000km近くになると思われる今回の旅行。わざわざカヤックでそんな旅行をするなんて、これを書いているのはよっぽどの変人に違いない。と思われるかもしれませんが、実はドイツからドナウ川をカヤックで下って海まで行く人は、世界中に少なからずいるようです。たとえば、夏に行なわれる「TID(ツアー・インターナショナル・ドナウ)」では、毎年100名近くがドイツから黒海までを漕ぎ抜いています。また、TIDに参加しないでも、個人的にそういう旅をする人たちもいるそうです。

    ただし、そうはいっても、ドナウ川をカヤックで旅する人が現われるのは夏の話。寒い冬のドナウ川でわざわざカヤックを漕ぐ人なんて、いるわけがない。

    と思っていたら、なんと、川を下り始めて1か月近くが経過したころ、オーストリアのリンツで偶然、私と同じくドナウ川を旅するカヤッカーに遭遇したのです!

    出会いは突然に

    それは、リンツのカヌークラブでのできごと。併設されているキャンプ場でテントを張って、迎えた翌朝。すぐ隣にまったく見覚えのないテントを発見。

    朝起きると隣に張ってあったテント

    朝起きると隣には謎のテントが。その持ち主の正体やいかに。

    一泊めの朝は確かに私のテントしかなくて、それから一日、町を観光して夜遅くに帰った翌朝、二泊目の出来事でした。カヌークラブの建物にいくと、そのテントの持ち主を発見。

    テントの持ち主とのツーショット

    写真右に映るのが、同じくドナウ川を下っている旅人のハインツさん。

    テントを張ったのは良いものの、外は寒いので、カヌークラブの屋内仮眠エリアを利用して寝ていたとのこと。

    「いやー、今年ドナウ川を下る旅人は、僕が最初のひとりだと思ってたんだ。そしたら、どっかで村の人に、自分より前にもうひとりここを通過したカヤックがいるって聞いて。ウソだと思ったさ。誰がこんな冬にわざわざドナウ川を下るもんかって。でも水門を越えるとき、土手に敷かれた迂回路の泥っぽい道で、細い車輪の跡が2本、等間隔に伸びているのを見つけてね。こりゃあ、間違いない。確かにだれかがカヤックをカートで引っ張ってるな。なーんだ、今年最初の旅人は僕じゃなかったんだ、とびっくり仰天さ」

    「変人は自分ひとりじゃないってことさ、ガッハッハッハ!!」と笑う彼の名前は、ハインツさん。

    彼がドナウ川を下る理由

    私がドナウ川を冬に下っているのは、以前住んでいた米国での就労許可が切れて、ビザ的に出国しなければいけなくなり、たまたまそのタイミングが冬だったから。

    だけどハインツさんは、ドイツ在住者。もっと条件の良い夏に下ることだってできたはず。それなのに彼が冬のドナウ川を選んだのはなぜか?尋ねてみると一言、「蚊が嫌いだから」と。

    暑い夏場は川沿いにたくさん蚊や虫が出る。虫が嫌いなので、そういう害虫が出ない冬を選んだ、というのです。ドナウ川下りの旅のアイデアを思いついて、4年間、準備を重ねて、そしてたどり着いた答えが「冬に出発すること」だったそう。

    私も実は、一昨年アメリカのミシシッピ川を夏場にカヤック旅したとき、一番大変だったことが害虫との格闘なのですが…。それでも虫を避けるために冬に出発するなんて、大胆な作戦です…。世の中、変わった人もいるもんだ…。

    せっかくなので、数日、行動を共にしてみた

    ハインツさんに撮ってもらったカヤックに乗っている私

    自分が川に浮かんでいる全体像を撮れるのは、一緒に旅する人がいるからこそ。

    リンツでの偶然の出会いをきっかけに、数日一緒に川を下ってみることに。漕ぎながら話す相手がいるのは良いものです。が、カヤックで川を下って海を目指す、という基本的なゴールは同じなのに、私たちの旅のスタイルにはひとつ、根本的に違う点があることが浮き彫りに。何を隠そう、それはズバリ、資金力。

    「僕はもう出発してから10日経過してるけど、このキャンプ用コンロを使うのは今日が2回目でね」と、テント場で調理に取りかかると早速、慣れない作業のせいなのか、液体燃料をこぼしてしまうアクシデント発生。

    そう、彼は基本的に、よく外食をするのです。町の近くでテントを張って、朝と夜は地元のカフェやレストラン、昼は抜く。これが彼のスタイル。

    対して私は、町から遠いところにひっそりとテントを張って、朝と夜はコンロで調理、昼はサンドイッチ。このスタイルは食費節約のためではあるのですが、せっかくなので今回ハインツさんのドナウ川グルメ巡りに同行することに。

    カヤック旅で出会ったグルメ紹介

    立ち寄ったのは、名前も知らない、というか私には発音できないような、ドナウ川沿いのオーストリアの村の食堂。

    ドイツとオーストリアの名物、レバーの肉団子スープ

    ドイツとオーストリアの名物、レバーの肉団子スープ。

    「やっぱり食事はまずスープがないとね。レバーの肉団子スープが、ドイツ、オーストリア名物なのさ」スープの味付けは強めのコンソメがきいていて、レバーの臭みなし。よく裏ごしされているのか、肉団子の食感もかなり滑らか。

    ポークステーキとフライドポテトのプレート

    ポークステーキとフライドポテトのプレート。

    「えー、せっかくオーストリアまで来てフライドポテトはないでしょうー」と言いながら、ハインツさんも同じメニューを頼んでいました。ポークステーキと目玉焼き、フライドポテトのプレート。かなり熱々で、口内を火傷しました。

    オーストリアを代表するスイーツのクレープ

    オーストリアのスイーツといえば、クレープ。

    「オーストリアでデザートといえば、クレープを食べなくちゃ」とハインツさん。別の友人に聞いても、「オーストリアに行ったらクレープを食べるべし」と言われたので、どうやら名物の模様。中にマーマレードジャムが入っています。これも熱々で運ばれてきました。

    こちらもオーストリアで人気のチョコケーキ

    もうひとつ、オーストリアといえばチョコケーキ。ホイップクリームがつくのが、定番です。

    実は甘いものに目がない私。ヨーロッパのチョコレートは、やっぱり美味しんです。このチョコレートケーキは、アーモンドパウダーが効いた高級なお味。マーマレードジャムはデザートの定番なのか、このチョコケーキも少しマーマレード風味でした。美味しい!

    普段、自炊しているパスタ

    普段の食事はこんな感じで、麺類が多いです。

    ジョアナ、豪遊しすぎじゃないかと白目をむいているそこのあなた。安心してください、こんな食事は私の資金力では続きません。コンビは解散しました。現在は、こんな感じの適当なキャンプ飯を食べる日々。適当に味づけした麺です。物価が安くなる東欧地域まで行けたら、また外食したいなー!

    私が書きました!
    剥製師
    佐藤ジョアナ玲子
    フォールディングカヤックで世界を旅する剥製師。著書『ホームレス女子大生川を下る』(報知新聞社刊)。じつは山登りも好きで、アメリカのロッキー山脈にあるフォーティナーズ全58座(標高4,367m以上)をいつか制覇したいと思っている。

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