野沢温泉の「トラバースの湯」とスノーボードのよき相棒
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    2022.03.19

    野沢温泉の「トラバースの湯」とスノーボードのよき相棒

    シンガーソングライター東田トモヒロさんの連載Vol.2。今回はスノーボードと温泉のお話しです。春爛漫??まだまだ山には雪はたっぷりあるぞ!

    青空の野沢温泉スキー場

    憧れの野沢温泉へ

    暖かい3月に入っていますので、若干話題がディレイしてしまう感はいなめませんが、今回はスノーボードの旅の話をさせていただきますね。

    毎年1月あるいは2月に、スノーボードを楽しみつつライブツアーをやるというバラ色ルーティンを実行している僕ですが、今年は感染症の拡大が影響したためね、ライブツアーって言う風にうまく組み立てられなかったのです。

    野沢温泉スキー場でスノーボードを楽しむ

    しかしながらお陰様で、局地並びに単発的ではありましたが、スノーボードとライブをいっぺんに楽しむ機会に幾度か恵まれました。いわゆる「横乗り(サーフィン、スノーボード、スケートの3S」業界の人の繋がりの賜物というやつですね。

    今回の舞台は野沢温泉。

    スノーボードを持って温泉街を歩く

    ずっと憧れていたんですよね、僕はこの地に長いこと。だってもう、そのネーミングにおいて温泉の存在が確約されている上に、あの野沢菜の野沢までもが筆頭株主が如くその冠に鎮座している。

    僕の活動をサポートしてくれているシューズメーカーの「KEEN」が旗を振ってくれてのライブパーティー。アメリカ人のガーランドさんが経営するレストランバー「Winter land」には、長野県内外からたくさんのスノーボーダー、アーティスト、そして音楽フリーク、パーティ好きが集まってくれました。外国人の方も結構いらっしゃいましたね。

    東田さんのライブの様子

    そしてウクライナでの戦火が拡大しつつあったタイミングでしたからね、反戦非戦と平和の祈りを込めつつのライブは、やはり熱い気持ちが込み上げましたね、うん。

    パーティーを終えて仲間と共に早速温泉へ。

    野沢温泉にはそのメインストリート辺りに、なんと13軒もの無料温泉施設が点在しているのですよ。無料ではありますが、入り口の賽銭箱にね、ちょっとした志を納めつつ入りました。

    初日と2日目は「横落の湯」。僕らは密かにこの温泉のことをトラバースの湯(滑りつつ横移動することをスノーボードではトラバースと言う)と呼んでいましたが、ここが良かった。

    内湯のみの小さな湯船は、4人も浸かればちょうどといった塩梅。掛け流しのお湯は少しぬるっとしたとろみがあります。上がった後の肌のしっとりとした具合が気持ち良くてね。硫黄の効果でしょうか、ぽかぽかとしばらくその温かさが持続します。

    横落の湯の看板

    しかしながら3日目夜に入った「河原の湯」、ここはやたらと熱かったですね、ほんと。たけし軍団の熱闘コマーシャルかよって思うほどのね、熱さ。あの時のラッシャー板前さんの気持ちがよく分かりましたよ。

    脱衣所でローカルのご年配の方々に静かなる敬意を表明しつつ、テキパキと湯に体を浸す。特に洗い場のようなものは設定されていないので、湯船の縁の小上がりに小さく陣取り、シャボンを弾かないように留意しつつ、手短に洗髪洗身を済ませる。

    最後に再び身体を湯で温めてしばしの瞑想。手ぬぐいで丹念に水滴を拭き取り、引き上げる際に「お休みなさい」の一言をさりげなく浴室に放ち、退散する。少し儀式めいた野沢の湯の作法(僕が勝手に決めていますが)は、これはこれでなかなか気持ちのいい慣わしとして僕の中に定着するのでした、2日目あたりからね。

    「良き相棒」との出会い、見える景色も変わった

    さてさて、スノーボードです。分厚いブーツに足を収めるようになって長い月日が経ってはいますが、僕が本当の意味でその世界にのめり込んだのは、ここ数年のことかも知れません。

    やはり必要とする道具が少ないサーフィンの方が、シンプルな分自分に合っていると思い込んでいたのですね。ところがやはりその道具、他でもないまさにボードとの出会いが、僕をより良き方向へと導いてくれたのです。

    スノーボードの形状は大きく分けてキャンバー、フラット、ロッカーの3つに分かれます。このうち僕にフィットしていたのは、キャンバーと言う形状のパウダーボード(新雪もスタックすることなく走れる)ということが数年前に判明したのですね。

    そのことに気がつくまで、なんと10年以上の時間を要しました。まるで、うっかり通勤に大型トラックを購入して会社に通ってた違和感に、ハッと我に帰る的な痛々しさ覚えた次第です、はい。しかしここはね、もうこれまでのことは忘れて、気がついたんだから、この道程は自分にとって他ならぬ宝だと思うことにして、ひと時ひと時を大事に生きようと決心しましたよ、大袈裟ですが。

    それからと言うもの、リフトの上からのゲレンデ眺めも、ツリーランの最中の凛とした木立も、車窓から眺める白く煌めく山肌さえも、より美しい輝きを放って目に飛び込んでくるようになりました。なぜなら一発一発のターンが、そうカーヴィングが気持ちいからです、うん。

    思えばサーフィンにしても、友人がシェイプしてくれたミッドレングスのツインフィンとの出会いによって楽しみのギアが数段上がりましたし、ギターにおいてもギブソン社のJ-45というモデルとの出会いが、僕をここまで導いてくれたと思います(この辺りはいつかまた改めてしたためますね)。

    もちろんスノーボーディングにおける基礎的な身のこなし方を体得することは言うに及びませんが、その上で良き相棒に出会うことは、道具を必要とする活動においては最重要課題のひとつかも知れません。

    ところで、意外に思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、新潟のかぐらスキー場(2022年は5月22日まで営業予定)や志賀高原スキー場(2022年は5月5日まで営業予定)などに代表されるように、ゴールデンウィーク辺りまでオープンしているスキー場も複数あります。

    これからスノーボードを初められるかた方には、あなたにとっての良きボードとの出会い、またはそんなボードと出会える機会を与えてくれる人との出会いがあらんことを心から祈っています。

    今回のおすすめアウトドアミュージック

    Wilco 「Kamera」

    この曲のグルーヴは、ターンがバシッと決まってゆく軽快感を彷彿とさせます。因みにゲレンデで歌謡曲を流しているスキー場が苦手です。

    東田トモヒロNEWS

    ◎東田トモヒロのサイドプロジェクト、「Storks」
    サーフ、スノーボードシーンにぴったりのlofiミュージック。ぜひお聞きください。

    東田トモヒロの渾身の一曲
    アルバム「Light 」より「Heart Song」のミュージック・ビデオ。

    私が書きました!
    シンガーソングライター
    東田トモヒロ
    1972年生まれ熊本市在住。ニューヨークでのレコーディングを経て2003年にメジャーデビュー。旅とサーフィン、スノーボーディングをこよなく愛し、そのオーガニックなサウンドを通して「LOVE&FREEDOM」を発信し続けるシンガーソングライター。

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