電動アシストマウンテンバイク”E-MTB”の最高峰「トレック/レイル9.7」を2か月テストしてわかった、驚異のポテンシャルとは?
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    2022.03.26

    電動アシストマウンテンバイク”E-MTB”の最高峰「トレック/レイル9.7」を2か月テストしてわかった、驚異のポテンシャルとは?

    トレックのE-MTB、レイルl9.7

    「TREK (トレック)/Rail9.7(レイル9.7)」を2か月間テストしてE-MTBのポテンシャルを探ってみた。

    E-MTB=電動アシストマウンテンバイクの真価に迫る

    季節を問わずオフロードを縦横無尽に走り回る「マウンテンバイク」。山の中に広がるトレイルを走ったり、近年は自転車専用で安心して遊べるマウンテンバイクパークも各地にオープンしている。機材の進化も目まぐるしく、フレームの素材、タイヤの太さ、サスペンションの種類、走る場所に合わせた設計志向など、選択肢の幅はとても広い。それも機材スポーツゆえの楽しみのひとつといえるが、さらなる選択肢として「電動アシスト」を備えたマウンテンバイクが続々登場している。

    電動アシストマウンテンバイク、通称「E-MTB」。バッテリーとモーターを備えたマウンテンバイクを指すが、まだその乗り味や楽しみ方は知る人ぞ知るというレベルではないだろうか?そこで今回は、スポーツ自転車歴20年以上の筆者が2か月間、E-MTBを試乗して気がついた特徴や楽しみ方を紹介したい。

    トレック最高峰のフルサスペンションE-MTBと過ごした

    車体の左側からはモーターユニットが良く見える

    レイル9.7は、トレックのE-MTBの最上級グレード。価格は100万円弱!

    筆者は秋から冬の間はシクロクロスというオフロードレース、春から夏はマウンテンバイクで里山ライドと、一年を通して土の上で過ごしている「ガチ」のオフロードライダーと自負している。E-MTBを長期間にわたってテストするのはこれが初めて。正直に白状すれば、それまでE-MTBに「年配の方の乗り物」「バッテリーが重くて扱いづらそう」「電動アシストはチート(ズル)だ」という先入観を抱いていた。

    そんな私と2か月のマウンテンバイク生活を共にしたマシンは、「トレック」のフルサスペンションE-MTB「レイル9.7」というモデル。同社は、アメリカ・ウィスコンシン州に本社を構える総合自転車メーカーで、ラインナップされるE-MTBの中でも最高峰に位置するモデルがレイル9.7だ。

    登りのポテンシャルに圧倒された

    レイル9.7のハンドル周辺

    レイル9.7のハンドル周辺。左側にはアシスト力を選択できるスイッチが備わっている。

    まずは普段乗り慣れた山道で、そのポテンシャルを確認することにした。登り基調で途中に急勾配が点在するハードなルートで、路面が荒れた難所もあり、普段はうっかり足をついてしまうことも少なくない。ところがE-MTBだと、登り始めからペダルを漕ぐペースに合わせてテンポ良くアシストがかかる。のんびりペースで登る分には息も上がらず、とにかく路面に集中して走り切ることができた。ペースを上げるとそれなりに足に負担が掛かるが、その分アシストも強くかかり、いつもとまったく異なるハイペースで山頂まで辿り着いてしまった。

    トップチューブに備わるBOSCHのサイクルコンピュータ

    ハンドル手前にはあらかじめ「BOSCH」のサイクルコンピュータが備わっている。アシスト力の表示のほか、スピードや心拍数、パワーなど一般的なサイクルコンピュータと遜色ない性能が与えられている。

    電動アシストのユニットは自動車電装製品でも有名な「BOSCH(ボッシュ)」製で、アシスト力を制御するコンピュータが搭載されている。漕いだ分に対して定量のアシストがかかるわけではなく、ペダルの回転や力のかけ方によって “リニア” にアシスト力をコントロールしている。乗り手にとっては自分の感覚に沿ったアシストが得られるため、自分の体力が満遍なく増幅されたような、または羽のように軽いマウンテンバイクに乗っているような、そんな乗り味を楽しめる。

    これまで登り道は、楽しい下りを走るために避けて通れない厳しいものだとイメージしていた。しかし、これなら登りも下り同様に楽しめるうえ、いままで自分の体力を考え、出かけることを躊躇していた難易度の高いルートにも足を運ぶことができた。

    E-MTBだからこそ選べる走破性の高いモデル

    バッテリーユニットとリアサスペンション

    このモデル自体、かなり下りに特化した設計となっており、サスペンションも大きく稼働する仕様となっている。

    普段と違った “楽しい登り” を満喫したあとは、登った分の下りが待っている。バッテリーによる重さは走りにどう影響するだろうか?登りと同じく、普段走り慣れた山道や、激しく荒れたルートなどで比較をしてみた。

    直線の道、大きめのコーナー、落差の大きな段差など、どこを走っても重量による違和感はない。それどころか、自転車自体が許容する動きは異次元とも感じられた。というのも、このレイル9.7、タイヤ径は大きめの29インチで、タイヤ幅は太めの2.5インチ。これに加えて前・後に稼働量の多いサスペンションが装備されている。設計はホイールベースが長く、下りにおける走破性を引き出す方向に振っている。電動アシストがなければ、下りをメインに楽しむ、いわゆるダウンヒル系のモデルのような乗り味だ。

    レイル9.7を前方、斜め上から見たところ

    ひと昔前なら「ダウンヒルバイク」と呼んでもおかしくないほどの高い走破性が与えられたレイル9.7。

    搬送サービスがない一般の山道でマウンテンバイクを楽しむ場合、下りを楽しむためには自身で山を登ってスタート地点までアプローチする必要がある。しかし、タイヤやサスペンションなど、下りを満喫するための装備は重い。これが登りでハンデとなってしまうため「下りと登りの中間」をバランスよく楽しめる設計のマウンテンバイクが選択されやすい。私自身、普段は登りで楽ができる軽いマウンテンバイクに乗っているが、このレイル9.7の登りと下り、どちらにも強いハイレベルの走破性には大変驚かせられた。

    初心者からベテランライダーまで幅広くオススメしたい

    普段は行かない山頂で記念撮影

    普段訪れることのないような山の頂にも、思い立って走りにいけるのがE-MTBの良いところだ。

    結果として、E-MTBだからこそ思い切ってサスペンションやタイヤ幅に余裕のあるモデルを選んだほうが吉といえる。普通なら登りで足かせとなる重量も、電動アシストがすべて解決してくれるからだ。それどころか楽なペースで漕いでも遅さを感じさせないし、力を込めれば異次元のスピードを体験することもできる。また下りでは、その走破性を余すことなく発揮させられる。

    「トレック/レイル9.7」は、そんな現代のE-MTBを象徴するようなモデルだ。これからマウンテンバイクを楽しんでみたいと考えている人にも、長年山道と付き合ってきたベテランライダーにも、幅広くオススメできる一台だ。

    トレック/レイル9.7

    • サイズ:S、M、L、XL
    • バッテリー:Bosch Power Tube 625
    • モーター:Bosch Performance CX(250W)
    • 価格:976,800円

    販売元:トレック・ジャパン
    https://www.trekbikes.com/jp/ja_JP/

    私が書きました!
    CX/BMXアスリート
    腰山雅大
    自転車歴20年の社会人アスリート。BMXパーク競技を経て泥の中をレースするシクロクロスへ参戦、ボーダーレスな自転車競技活動を続けている。All-City Cyclesの本国契約ライダーとして国内トップカテゴリーを走る一方、本職では自動車整備業に従事。乗り物のほかコーヒー、銭湯、カメラにアウトドアなど、趣味は常に多彩でオーバーフロー気味。https://www.instagram.com/vhlg/

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